外国人の方が在留資格「経営・管理」の許可を取るには2つのハードルがあります。会社設立のハードルとビザのハードルです。2つのハードルは別々に存在しますので、ひとつずつクリアしていかなければいけません。

会社設立のハードル

外国人の方、特に海外に住んでいる外国人の方にとって最も高いハードルは日本で会社を設立することかもしれません。
日本に住んでいないと日本の銀行口座が作れませんし、日本でオフィスの契約もできません。銀行口座がなければ資本金の振り込みができませんし、オフィスがなければ法人登記もできません。レンタルオフィスやバーチャルオフィスならパスポートのみで契約ができるかもしれませんが、在留資格の申請をする際に不許可になるケースがあるようです。出入国在留管理局に安定した経営を証明するため、レンタルオフィスやバーチャルオフィスは避けたほうがいいでしょう。

日本の銀行口座、オフィスを持てない外国人の方は日本に住む協力者が必要になります。協力者の方の名義になると思いますが、銀行口座を開設し、オフィスの契約をしてください。

ただし、発起人(社長)は申請人ご本人様で問題ありません。出資者である発起人は協力者の方の名前ではなく申請人の方のお名前になります。

会社の設立には以上のハードルがあります。日本に住んでいないだけで大変なハードルです。逆に言えば、日本に住めばこのハードルはなくなります。「技術・人文知識・国際業務」で来日し、日本で数年働いた後に「経営・管理」の取得を目指してみてはいかがでしょうか。日本で働くことで自分の口座が開設できますし、仕事のコネクションができます。「経営・管理」の申請にプラスになるかもしれません。
4カ月の「経営・管理」もありますが、4カ月で会社設立の準備を終えるのは大変難しいようです。

先日「愛知県の独自ビザ」を紹介しましたが、利用できるのはすでに日本に住んでいる留学生でしょう。海外に住んでいる方が利用するのは想定されていないと考えます。

在留資格のハードル

せっかく箱を作っても、在留資格が不許可になっては意味がありません。「経営・管理」の許可のためきめ細かい照明が必要となります。

「経営・管理」のハードルは「技術・人文知識・国際業務」に近いものがあります。会社のカテゴリー区分は同じですし、証明しなければいけないことも変わりません。
在留資格に該当し、それが安定していること、継続性があることを証明します。

在留資格の該当は、会社の経営をしていること、管理をしていることです。名ばかり社長ではいけません。経営権、管理権を持っていることが重要になります。

新しく設立した会社で安定性・継続性を証明するには事業計画書を提出します。経営管理ビザでは2年間債務超過が続くと不許可になると言われています。2年目から生活できる最低限の売上を見込めるように事業計画書を作成してください。

私が申請した在留資格は「日本人の配偶者等」ですが、行政書士事務所を設立する準備中だったため出入国在留管理局に事業計画書を提出しました。
事業計画書では入管業務をメイン業務として最初の売上は200万円に設定、2年目で300万円の売上を計上しました。300万円はサラリーマン時代の私の年収です。2年目までにサラリーマン時代と同じ年収にするので生活に問題はありません、と出入国在留管理局に説明しました。

まとめ

  1. 会社の基本事項を決める
  2. 定款を作成する
  3. 資本金を振り込む
  4. 法人設立登記をする(会社設立)
  5. 税務署に必要書類を届出する
  6. 必要なら各種許認可を申請する
  7. 経営管理ビザの申請をする

以上が会社設立から「経営・管理」の申請までの流れとなります。ご自身で申請が難しい場合、司法書士(会社登記)・税理士(税務関係)・行政書士(在留資格)と三つの士業に依頼をしなければいけません。当事務所は行政書士事務所のため在留資格の申請しかできません。
これら一連の流れをひとつの事務所でクリアするためには大きな法律ファームでご依頼をするのもいいかもしれません。ひとつの事務所ですべてご依頼したほうが費用を安く抑えることができるかもしれません。