人材不足に悩む中小企業にとって、外国人留学生の採用は解決策のひとつです。
しかし在留資格の申請、採用後の育成、定着率を考えると外国人留学生の採用に今一歩踏み出せないかもしれません。特に在留資格が不許可になった場合、採用計画が狂ってしまい今後の会社経営にも影響が出てきます。
在留資格の申請がもう少し簡単なら外国人留学生の採用を考えるのに、と悩んでいる中小企業は「ユースエール認定企業」に申請を考えてください。

「ユースエール認定企業」とは

「ユースエール認定企業」とは、「若者雇用促進法」に基づき、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良であると厚生労働大臣が認定した企業です。

「ユースエール認定企業」に認定されると、以下のメリットがあります。

  • 「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などで認定企業として自社をアピールすることができる
  • 厚生労働省が運営する「若者雇用促進総合サイ」に認定企業として掲載される
  • 認定企業向けの就職面接会など、各都道府県労働局・ハローワークが開催する就職面接会へ優先的に参加できる
  • 自社の商品や広告などにユースエール認定マークを使うことができ、若者雇用促進の優良企業であることがアピールできる
  • キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、トライアル雇用助成金、特定求職者雇用開発助成金を利用する際、一定額が加算される
  • 日本政策金融公庫による低利融資を受けることができる
  • 入札価格以外を評価する総合評価落札方式・企画競争方式に参加する際にユースエール認定企業として加点を受ける場合がある

私が勤めていた専門学校の外国人留学生の多くがハローワークに登録をしていました。「ユースエール認定企業」としてハローワークに求人を掲載すること、ハローワーク主催の就職説明会に参加をすることで外国人留学生にアピールする機会が増えます。

また在留資格認定証明書交付申請でも大きなメリットがあります。審査時にカテゴリー1の大企業と同じ扱いになるのです。

技術・人文知識・国際業務のカテゴリー

技術・人文知識・国際業務の所属機関(勤務先)は4つのカテゴリーで区分されています。
カテゴリー1から上場している大企業→給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある企業→1,000万円以下の企業→設立されたばかりの起業、と言葉が悪いですがランキングされています。
このカテゴリーは在留資格の継続性と安定性を検討する審査項目です。企業体が小さいほど倒産のリスクがないこと、継続して安定した業務があることを証明しなければいけません。

カテゴリー1の大企業の場合、企業の説明は
・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書
だけで問題ありません。

しかしカテゴリー3の中小企業は
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
・労働契約書
・ 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
・登記事項証明書
・ 事業内容を明らかにする資料
を提出しなければいけません。また疑義が生じた場合は追加書類を求められます。

外国人留学生を採用した経験のある中小企業では、出入国管理局に書類を何度も提出してやっと許可が取れた経験、結局許可が取れなかった経験はないでしょうか。

「ユースエール認定企業」に認定されれば
・基準適合事業主認定通知書写し、または基準適合事業主状況確認通知書写し
を提出するだけで勤務先の証明が終わります。

ハローワークなどで外国人留学生を採用するチャンスが増え、大企業と同じように在留資格認定証明書交付の申請が簡素化される。「ユースエール認定企業」は大きなメリットがあります。

まとめ

「ユースエール認定企業」に認定されるためには ”中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)” で各認定基準をクリアしなければいけません。認定基準は大変難しく、愛知県内でも「ユースエール認定企業」に認定されている中小企業は現段階で18社しかありません。認定基準をクリアするために大規模な企業改革が必要になるかもしれません。

しかし「ユースエール認定企業」はメリットがたくさんあります。今後外国人留学生の採用を考えた場合、外国人従業員の定着率向上のため就業規則の見直しも必要になってきます。「ユースエール認定企業」の認定基準を参考に就業規則を見直し、外国人留学生の採用の準備をしてみるのもいいかもしれません。