所在不明の「研究生」から端を発した外国人留学生問題は、「研究生」の在り方から各大学にある日本語学校的な「別科」の認定まで広がりました。
2019年6月11日に法務省が出した『留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針』を知らないと、学校の認定が取り消されるかもしれません。

「研究生」とは何なのか。「別科」とは何なのか。

研究生とは ”学部での専門と異なる大学院に入学を希望する場合や、大学院の入学試験や就職試験、医療系などの国家試験に失敗した場合における準備期間として考えられることが多い。いわゆる就職浪人、院浪人である。(Wikipediaより)”

これを読む限り日本人学生が「研究生」になるのは、外国人留学生が「研究生」になる目的と変わりません。しかし各大学が研究生制度を作った当初の目的は “大学の研究室に所属し特別の事項について研究を希望する者を受け入れる制度” だったはずです。

日本人学生も外国人留学生も当初の目的とは違った「研究生」の利用をしています。

「別科」は大学が設けた日本語学校的なものです。日本語学校的なものなので、日本語学校ではありません。
そのため文科省が定める日本語学校の設置基準が適用されず、教育の質の確保や留学生の適正な受入れのための仕組みがありません。日本語能力の低い留学生が多く在籍するなどの問題が考えられ、大学に進学する留学生も多くないのが実情です。

文科省と出入国管理局の対応

上記の問題を含め、法務省と文科省は対応策を上げました。

研究生の対応

文科省
・実質的に大学学部進学のための予備教育課程として運用されていないか、大学入学相当(日本語能力試験N2相当)の日本語能力を入学時に求めているかについて確認、法務省に通告
・専門学校についても所轄庁(都道府県)が同様の情報把握や地方出入国在留管理局への提供を行うよう、所轄庁に要請、あわせて確認の観点など必要なノウハウを提供

まずは「研究生」を本来の意味である “研究を希望する者” しか認めなくします。そのため “大学入学相当” の日本語レベル(N2相当)の外国人留学生しか「研究生」になれません。
また正規学生と同じ履修科目を受講する必要がありますので、他の大学に進学するなど、問題になっている進学の準備はできなくなります。
経費支弁能力の確認もありますが、授業に出ない「研究生」の対策でしょう。お金不足よりもオーバーワークの抑止だと考えられます。

出入国管理局
・大学学部進学のための予備教育を受ける場合は、上陸基準省令上の研究生・聴講生による在留資格「留学」の対象外とする
・専門学校についても、文部科学省、地方出入国在留管理局及び所轄庁との情報共有等の連携の枠組により、在籍管理が不適切な専門学校が判明した場合には、1(2)と同様に、改善が認められるまでの間、留学生への在留資格「留学」の付与を停止し、専門学校名を所轄庁と同時に公表

大学に進学するための「研究生」には留学ビザを更新させないとはっきりと書かれています。就職活動のための「研究生」も同じでしょう。「研究生」とは正規学生ではなくても大学で勉強(研究)をするもので、それ以外は認められないとする意志が読み取れます。

専門学校も同様で、在留管理が不適切な学校の外国人留学生は留学ビザの許可が取れなくなります。
(適正な在留管理は、外国人留学生の不明率が10%以下だったと思います)

「別科」について

大学の「別科」として存在した日本語学校は教育の質確保や留学生の適正な受入れのための仕組みがありませんでした。

今後は日本語教育機関に関する法務省の告示基準に準じた上陸基準省令に基づく基準が策定されます。
この基準をクリアしない「別科」は認定の取り消し(そもそも認定があったのかわかりませんが)になるでしょう。

準用する告示基準の例として、学則 ・教育課程 ・生徒数 ・教員・事務職員 ・施設・設備(校地・校舎、教室等) ・入学者の募集・選考 ・在籍管理 ・抹消の基準などが挙げられています。

JOY行政書士事務所としてできること

学校の設置基準、在留管理などが厳しくなれば、学校の先生方の負担はより増えていきます。週末も外国人留学生の対応に追われる先生方の苦労は同じ現場で働いていた私はよくわかります。

JOY行政書士事務所では専門学校の進路指導室で働いてきた経験を活かし、日本語学校・専門学校・大学の先生方のお力添えをしていきたいと考えます。

  • 留学ビザの取得、更新
  • 資格外活動許可の申請
  • 留学生の在留管理の書類作成
  • 進路に悩む留学生の面談
  • 留学生の就職活動と在留資格の相談
  • 日本語能力試験、TOEICなどの試験を一括登録
  • 就労ビザの変更
  • 継続就職活動のための特定活動の変更

以上に挙げた業務は一部だけです。JOY行政書士事務所は外国人留学生の業務を承ります。
また単発の依頼だけではなく顧問契約も承っております。詳細などのご質問もお待ちしておりますので、お問い合わせフォームよりご連絡ください。