精巧な偽造在留カードが販売され、不法滞在・不法就労が問題となる中、出入国在留管理庁から在留カード等読取アプリケーションがリリースされました。

このアプリケーションを使うことで今後は偽造在留カードで不法に就労する外国人を雇用することがないように、外国人を雇用する企業はより重い責任を求められるようになるかもしれません。

在留カード等読取アプリケーション

在留カード等読取アプリケーションとは、在留カードと特別永住者証明書のICチップに記録された氏名などの情報を表示させ、在留カードなどが偽造されたものでないことを確認できるアプリです。

パソコンではWindows版とMac版、スマホではiPhone版とAndroid版がリリースされましたので、すべての方が利用できるようになっています。

※パソコン版ではICカードリーダーが必要で、スマホ版では古い機種に対応していません。残念ながら私の古いiPhonSEは対応していませんでした。

パソコン版の使用方法

まずは出入国在留管理庁のホームページからアプリをダウンロードします。ダウンロード後、デスクトップに『在留カード等読取アプリケーション』のショートカットが表示されますのでダブルクリックでアプリを起動します。

アプリが起動すると画面が立ち上がりますので手順通り進めていきます。

STEP1 在留カード等番号を入力
STEP2 在留カード・特別永住者証明書をICカードリーダーにセットして「読み取り開始」ボタンをクリックします。

スマホ版の使用方法

Google Play、App Storeからアプリがダウンロードできます。ダウンロード後の流れはパソコン版と同じです。在留カード等番号を入力して、在留カード・特別永住者証明書をスキャンします。

検証結果

検証画面ですが、ICチップに保存された在留カードのデータが写真のように表示されます。正規の在留カードでしたら在留カードの写真の上に『正常な在留カードを読み取りました』と表示され、画面右上に改ざん検証結果、発行元検証結果に緑色で☑がされます。

万が一偽造された在留カードを読み取った場合、『異常なカードを読み取りました』と表示され、改ざん検証結果、発行元検証結果が赤色で✖になります。
ほかにも、改ざん検証結果、発行元検証結果のどちらかが✖になった場合、また『正常な在留カードを読み取りました』と表示され、改ざん検証結果も発行元検証結果も緑色の☑がされても実際の在留カードの顔写真と画面上に表示された在留カードの顔写真が違う場合は偽造在留カードです。出入国在留管理庁に報告をしてください。

もう1点、検証画面では画面左下に『資格外活動許可』と表示されます。外国人は在留資格によっては日本で働くことができませんので、このアプリを使えば留学生や家族滞在の外国人が出入国在留管理庁から就労の許可を取っているかわかります。

ただし、私の妻の在留カードを確認したところ、妻の在留カードでも『資格外活動許可』と表示されました。妻の在留資格は「日本人の配偶者等」で、就労制限はありません。『資格外活動許可』と表示されるのは違和感がありました。

外国人を雇用する企業が気をつけること

外国人に不法就労させた企業は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこの両方を科せられます。

ただし以下について【過失】なく知らなかったときは罪に問われません。

  1. 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
  2. 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可(資格外活動許可)を受けていないこと。
  3. 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。

【過失】とは、注意不足などによって結果の回避を怠ることを言います。簡単に言えば注意して確認をしなかったときに【過失】かどうか問題になります。

外国人の不法就労の場合、雇用する企業側が在留カードの確認、資格外活動許可の確認を怠ったときに罪に問われます。

今までは偽造在留カードの見分けは難しく、在留カードの確認や資格外活動許可の確認をしても偽造在留カードの場合は過失がないものとみなされて企業側の罪は問われてこなかったでしょう。

しかし、在留カード等読取アプリケーションが出入国在留管理庁からリリースされたことにより、企業側は偽造在留カードか正規の在留カードか調べられるようになりました。在留カード等読取アプリケーションを使って偽造された在留カードではないか調べないことは【過失】があるものとみなされる可能性が出てきました。

当事務所にできること

偽造された在留カードかどうか、企業側が絶対に確認をしないといけないか、まだ正確なことはわかりません。しかし不法就労の【過失】を回避するためにも、リスクを回避するためにも確認をしたほうが良いことは確かです。

留学生や家族滞在の外国人をアルバイトで雇用するとき、外国人を雇用するために在留資格変更許可申請をするとき、日本人の配偶者など就労制限のない外国人を雇用するとき、在留カード等読取アプリケーションを使って在留カードの確認をしてください。

もし貴社でアプリケーションを使用できないときはJOY行政書士事務所までお問い合わせください。在留資格の申請も含めてご対応いたします。