日本経済新聞によると、2018年の在留資格取り消しが832件あったと法務省が発表しました。前年の385件から2倍増え、統計を取り始めてから最多となっています。在留資格別では「留学」が412件と最も多く、次いで「技能実習」の153件、偽装結婚を含む「日本人の配偶者等」が80件です。
苦労して許可が取れた在留資格も、取り消されてしまっては意味がありません。どのようなときに在留資格が取り消されるのか見ていきます。

在留資格が取り消されるとき

在留資格が取り消される場合、大きく3つに分けられます。

  • 虚偽の申請をした
  • 在留資格の活動をしていない
  • 申請を怠った

ひとつずつ見ていきます。

虚偽の申請
出入国管理局はウソの申請を嫌います。少しでも許可が取れるようにウソをついてしまうと、後戻りができません。一度不許可になっても、不許可になった原因を解消することで許可が取れます。ウソをつかず正直に申請し、自分の弱点を把握してリカバリーをしてください。

在留資格の活動をしていない
在留資格とは活動内容によって与えられる日本の滞在許可証です。留学生が出席不良などで除籍になった場合、3カ月以内に新しい学校に入学するか、新しい活動内容を決めてそれに見合った在留資格の許可を取らなければ日本にいることはできません。
日本人・永住者の配偶者の場合は6カ月以内です。離婚後、定住者か就労ビザに変更できるか検討する必要があります。

申請を怠った
外国人の方は住所が変更したとき、14日以内にお住いの市役所に提出しなければいけません。転居届です。転居届は市役所から出入国管理局に報告が行きますので、転居届を提出しないと出入国管理局に報告していないこととなり在留資格が取り消されます。

在留資格の取り消しについて法務省のHPに詳細が書かれていますので下記に転載します。

在留資格取り消し制度

在留資格の取消しとは、本邦に在留する外国人が、偽りその他不正の手段により上陸許可の証印等を受けた場合や、在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合などに、当該外国人の在留資格を取り消す制度です。

入管法22条の4第1項に規定されており、法務大臣は、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、外国人が現に有する在留資格を取り消すことができます。

  1. 偽りその他不正の手段により、上陸拒否事由該当性に関する入国審査官の判断を誤らせて上陸許可の証印等を受けた場合。
  2. 1のほか、偽りその他不正の手段により、本邦で行おうとする活動を偽り、上陸許可の証印等を受けた場合(例えば、本邦で単純労働を行おうとする者が「技術」の在留資格に該当する活動を行う旨申告した場合) 又は本邦で行おうとする活動以外の事実を偽り、上陸許可の証印等を受けた場合(例えば,申請人が自身の経歴を偽った場合)。
  3. 1又は2に該当する以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可の証印等を受けた場合。本号においては、偽りその他不正の手段によることは要件となっておらず、申請人に故意があることは要しません。
  4. 偽りその他不正の手段により、在留特別許可を受けた場合。
  5. 入管法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合(ただし、正当な理由がある場合を除きます。)。
  6. 入管法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(ただし、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
  7. 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(永住者等の子を除く。)が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(ただし,当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
  8. 上陸の許可又は在留資格の変更許可等により、新たに中長期在留者となった者が,当該許可を受けてから90日以内に、法務大臣に住居地の届出をしない場合(ただし,届出をしないことにつき正当な理由ある場合を除きます。)。
  9. 中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に新しい住居地の届出をしない場合(ただし,届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
  10. 中長期在留者が、法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合。

在留資格が取り消されないために

在留資格が取り消される前に、入国審査官が在留資格の取消しの対象となる外国人から意見を聴取することとされており、当該外国人は、意見の聴取に当たって意見を述べ、証拠を提出し、又は資料の閲覧を求めることができます。

例えば「日本人の配偶者等」で”その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合”の正当な理由として、DV被害にあっているなどが考えられます。入国審査官も認めてくれる確率が高いでしょう。
「留学」なら重い病気で3カ月以上入院生活をしている場合は正当な理由になると考えられます。

しかし入管が出入国在留管理庁となり、在留管理にも力を入れています。今後ますます在留資格取り消しの事案が増えていくものと考えられます。

在留資格とは活動内容です。ご自身に合った在留資格の許可を取ってください。その際は、ウソをつかずに正直に申請をしてください。一度不許可になっても、それは自分の弱点を知るきっかけです。

JOY行政書士事務所では、一度不許可になった申請も承っています。不許可理由を一緒にリカバリーしますので、日本にJOINT、日本をENJOYしてください。