在留資格を英語で何というかご存じでしょうか?

VISAですか? 残念ながら違います。在留資格は英語で「residence status」などと訳されます。VISAは日本語で「査証」を意味します。

多くの方が在留資格のことをビザと呼びますので、在留資格とビザはごっちゃになっていますが、本来は別の申請・審査になります。(私もお客様との会話で「ビザ」と言っていますし、ホームページにも「配偶者ビザ」などと書いてエラそうなことは言えませんが)

では、在留資格とビザの違いを見ていきます。

ビザ(査証)とは?

まずビザですが、日本人にはなじみがありません。なぜなら日本のパスポートは世界一信頼をされているからです。そのため日本人は、よく言う”ノービザ”で海外旅行に行けます。

これがタイ人の妻になるとアメリカ、ヨーロッパなどなど、多くの国に旅行に行くとき、ビザを取ってからでないと行くことができません。タイ国が発行したパスポートは信頼がないために、海外旅行に行く前にパスポートの審査を受けないといけないのです。逆にタイ国と仲のよい国、日本やトルコなどはタイ人でも”ノービザ”で行くことができます。

ビザとはパスポートの審査=査証のことです。”ノービザ”とはパスポートの信頼が高いために査証が免除されていることなのです。

査証が免除されていても、ずっとその国にいることはできません。日本人はタイ国に30日間滞在することができますが、タイ人は日本国に14日しか滞在できません。同じノービザでも滞在日時はイコールの関係ではありませんし、いつかは帰らなければいけません。

またノービザで日本に来た外国人、ノービザで海外に行った日本人は現地で働くことはできせん。日本を例に説明をすると、ノービザで認められた在留資格は「短期滞在」で、「短期滞在」で認められた活動には就労(仕事をすること)が含まれていないためです。いつかは帰ることが約束された「短期滞在」のため、「短期滞在」から在留資格を変更することも難しくなっています。

ここで在留資格が登場します。

在留資格とは?

在留資格とは漢字そのまま、日本に”在留”=滞在するための”資格”です。日本に滞在する目的=活動がないのに日本にいることはできません。

「短期滞在」の活動目的は”観光”だったり”知人訪問”などが認められています。観光ビザとは在留資格「短期滞在」と査証がセットになった言葉、とも言えます。
観光や知人訪問の活動しか認められていませんので日本で働くことはできません。ただし、お金を稼ぐ活動以外の活動は認められています。

…難しいですね。お金というのはとても大切なもので、海外に持っていかれると国にとっては大変です。国の中にあるお金が少なくなってしまいますからね。国や国民のために使えるお金が少なくなってしまいます。そのため国は外国人がその国のお金を稼ぐことをきびしく審査をする必要があるのです。

それが在留資格=日本での活動目的の審査になります。

就労系の在留資格では在留資格ごとに業務内容とその要件がきびしく審査されます。通訳などで必要な在留資格「技術・人文知識・国際業務」では外国人の学歴と業務内容の関連性が審査をされますので現場作業などができません。調理師などで必要な在留資格「技能」では10年以上の経験が審査されます。在留資格「特定技能」は現場作業が認められていますが試験に合格しないといけません。就労系の在留資格は20種類以上ありますが、できる業務内容とその要件がすべて違います。

日本人の配偶者などの身分系の在留資格は日本で働くためにきびしい要件はありません。すべての業務内容で働くことができますが、偽装結婚ではないかと厳しく審査をされます。

これほど外国人が日本で働くことは難しいのです。

ビザと在留資格、どちらから申請する?

日本に行くためにビザの審査が必要で、日本で活動するためには在留資格が必要なことがわかりました。

では、どちらから申請をしたらいいのでしょうか?

答えは在留資格です。在留資格の申請から始めましょう。日本に行く目的=活動が認められたほうが日本に行く審査が簡単に終わります。日本に行く目的がないのに何で日本に行くの?ということです。

在留資格の申請

そのため先に在留資格の申請をします。在留資格の申請は日本にある出入国在留管理局=入管で行います。各地方に入管はありますが、外国人に関係する入管で申請をします。就労系なら勤務先がある地域を担当する入管、身分系なら配偶者が住む地域を担当する入管です。在留資格の変更申請、期間更新申請は外国人が住んでいる地域を担当する入管になります。勤務先や配偶者の地域ではありません。

はじめて日本に行く場合=日本に呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」をします。申請する在留資格によって申請書が違いますのでご注意ください。

入管からネチネチと言われた後、許可が取れます。(不許可の場合は再申請が可能ですが、不許可理由をリカバリーしなくてはいけません)
許可が取れると「在留資格認定証明書」が入管から送られてきますのでこれを海外にいる外国人に送ります。

行政書士がサポートができるのは在留資格の申請です。ビザは海外で審査をされますのでサポートが大変難しくなります。

ビザの申請

在留資格認定証明書が届いたら、外国人は在外日本大使館にビザの申請をします。ビザは入管ではなく大使館で行います。

多くの大使館がセキュリティーのため本人申請は受け付けておらず、大使館が認めた代理申請会社でないと受け付けてくれません。大使館に確認が必要です。

すでに在留資格の許可は取れていますのでよほどのことがない限りビザの許可も取れますが、不許可になることもあります。これは在留資格は入管=法務省が審査をしているのに対して、ビザは日本大使館=外務省が審査をしているためです。審査をする省庁が違いますので不許可になることもたまにあるようです。

また就労系の場合、ネパールやフィリピンなどの国では本国の労働省庁に海外で働く許可を取る必要があります。

ご夫婦ふたりが海外にいる場合、日本の入管に在留資格の申請をすることが大変難しく、できない場合があります。その場合は在外日本大使館にご相談の上、別の方法で申請をする必要があります。

まとめ

在留資格とビザの違いをご説明しました。呼び方を覚える必要はありませんが、在留資格とビザで申請先が違うこと、申請の順番があることは覚えておいてください。

そして行政書士にご依頼をされる場合は入管に申請をする在留資格である”就労ビザ”や”配偶者ビザ”となります。