在留資格・ビザを取るために日本語能力の証明が必要になりつつあります。「特定技能」は日本語能力試験N4が必要ですし、サービス業のための「特定活動」ならN1合格が必要です。「技術・人文知識・国際業務」は日本語能力試験は必要ありませんが、N2が応募の条件となっている企業があります。
もちろん「日本人の配偶者等」などの身分系のビザも必要があれば日本語能力を証明します。

では、どのような日本語の試験があり、どれぐらいの日本語能力が必要なのか在留資格別に見ていきたいと思います。

日本語能力試験のあれこれ

日本や海外で受験できる日本語の試験を私の独断でメリット・デメリットを踏まえ紹介します。

日本語能力試験(JLPT)

世界で最も有名な日本語能力試験です。来日する外国人留学生は必ず受験をし、最低でもN2に合格できるように勉強をします。

この試験はほかの日本語の試験でも日本語能力の判断基準として使われています。

例えば
・N4(基本的な日本語を理解できる)、
・N2(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)

外国人の方に受けてほしい日本語試験です。

メリット
・日本語能力の基準となる試験のため日本語能力を証明しやすい=ビザ申請のときの証明書としてわかりやすい
・テキストが豊富なため勉強がしやすい

デメリット
・年2回のため受験チャンスが少ない
・すべてのレベルで受験日が同じのためチャレンジができない=N2合格にギリギリの留学生はN3を受験してしまう

J-CAT

コンピュータによる自動採点日本語テスト、それがJ-CATです。最初の数問で受験者のレベルを判断し、受験者のレベルに適した問題が出題されるようになります。視力検査と同じような仕組みだったでしょうか。
そのため日本語能力試験のようにN2は自信がないからN3を受験する、といったムダがなくなります。

2020年4月までは無料で受験ができるのもJ-CATの特徴です。2020年4月から有料になりますので、腕試しとして受験をしてみもいいかもしれません。

またパソコンがあれば受験ができますので、日本語能力不足のために在留資格が不許可になった方はすぐに受験してください。

メリット
・2020年4月まで無料で、何回も受験できる
・パソコンがあればどこでも(自宅でも学校でも)受験できる

デメリット
・コンピューターの判断で問題のレベルが変わるため、運よくN2に合格した、などといったことが起こりにくい
・パソコンを持っていない外国人留学生が多く、学校のサポートがより必要になる

J-TEST

J-TESTは、申し訳ありません。私が勤めていた専門学校では受験する留学生がいなかったため詳細がわかりません。
ホームページを見ると各大学と提携を結んでいるようです。年に3回ほど受験ができ、海外でも開催されています。
試験内容はA-Cレベル、D-Eレベル、F-Gレベルと3段階に分けられ、成績表にはレベルと点数が記載されるようです。

在留資格に必要な日本語能力

冒頭でも説明しましたが、在留資格・ビザによって必要な日本語能力があります。絶対ではありませんが、持っていて損はありません。日本語の証明書をお持ちの方は申請書と一緒に出入国在留管理局に提出してください。

「日本人の配偶者等」

身分系でしたらN4レベルがあるといいと思われます。私の妻もN4の証明書を出入国在留管理局に提出しました。N4は ”基本的な日本語を理解できる” レベルです。日本で生活をするために最低限必要な日本語レベルです。このレベルがあれば日常生活は困らないと出入国在留管理局に説明ができます。
もちろんN4を必ず持っていないといけないわけではありません。夫婦のコミュニケーションについて説明ができれば問題ありません。

「特定技能」

「特定技能」はN4合格レベルが必須です。日本語能力試験に落ちた場合はほかの日本語試験で挽回しなければいけません。
しかし各種技能測定試験のレベルは高く合格率もシビアに設定されています。N4レベルでは技能測定試験で落とされる可能性があります。「技能実習生」からの繰り上げ以外で「特定技能」を目指す外国人の方、特に日本語学校を卒業した留学生は日本語能力試験N4に合格したからといって日本語の勉強をおろそかにすると「特定技能」は難いでしょう。

「技術・人文知識・国際業務」

いわゆる就労ビザは学歴の基準はありますが日本語能力の基準が設けられていません。しかし就職活動では大手企業の多くがN2レベル、N1レベルの外国人留学生しか採用をしません。大手企業ほど簡単に就労ビザの許可が取れます。就職活動と将来のためにN2、N1レベルが求められます。

サービス業のための「特定活動」

新しくできた「特定活動」です。要件は日本語能力試験N1合格です。N1に合格すれば飲食・小売・宿泊などのサービス業の現場作業で働くことができます。
N1合格は外国人留学生に対応する学校の先生レベルです。サービス業に限らずどこでも就職できると思いますが、サービス業に情熱のある外国人留学生(母国で自分のお店を持ちたい)は、がんばってN1を目指してください。

「留学」

今まで留学ビザに日本語能力は関係ありませんでした。N3に合格していなくても日本語学校を卒業するなどの特例で専門学校に入学できました。N2に合格していなくても大学に入学できました。
しかし研究生の所在不明をきっかけに留学ビザの日本語能力の要件も見直されています。
すでに研究生になるにはN2合格が条件として文科省より発表されています。在学中にN2に合格しなければ研究生になれません。

N2に合格できない外国人留学生は就職もできず、研究生にもなれず、「継続就職活動のための特定活動」の許可も取れず帰国しなければならない。そんな将来になるかもしれません。

まとめ

日本に住むために日本語能力が必要なわけではありません。
しかし在留資格・ビザを考えても日本語能力はあって損はありません。日本に住むのですから、やはり日本語を話せたほうが安心できます。

ひとつのチャレンジだと思って日本語能力試験を受けてみるのもいいかもしれません。