外国人40名が不法就労の疑いをかけられ、外国人2名と行政書士1名が虚偽申請で逮捕されました。人材不足が叫ばれている日本ですが、その人材不足の現場で外国人の方は働くことができるのでしょうか。

事件のあらまし

不法就労の疑いをかけられた外国人40名は人材派遣会社に登録をしているようです。人材派遣会社の派遣先は料亭の皿洗いや運送会社などの資格外活動、いわゆる”単純作業”だったため不法就労の疑いとなりました。

外国人の方、外国人留学生も正社員での採用は非常に難しく、派遣会社に就職をすることも珍しくありません。
派遣会社に就職することが悪いわけではありません。在留資格にくわしい派遣会社は「技術・人文知識・国際業務」で働くことができる派遣先と契約をしています。とくに多いのが携帯販売やホテルです。通訳として専門性のある業務内容を提供します。

しかし外国人材=人材不足の穴埋めと単純に考えている派遣会社は在留資格にくわしくもなく、外国人の方が働くことができない派遣先と契約をしています。

今回のケースでは在留資格変更の虚偽申請で逮捕されています。もともと専門性のある業務で働くことができる外国人の方を働くことができない派遣先に転職させているのです。
もしかしたら、外国人の方が働くことができない派遣先とわかっていて派遣会社が派遣先と契約をしていた可能性もあります。

派遣先が派遣会社にだまされていた可能性もあるのです。

外国人の方が働ける業務ですか?

外国人の方は専門性のある業務内容ではないと働くことができません。

工場で働く職人さんも高い専門性があります。しかし外国人の方は工場の職人さんにはなれません。
専門学校の進路指導室で働いていたとき、アルバイトをしている外国人留学生がとても検品が上手なのでこのまま正社員として雇用したい、とご相談を受けたことがあります。留学生の天職だったのかもしれませんが、正社員として働くことはできません。

専門性のある業務とは腕の良さで証明するものではありません。専門性とは専門学校以上で学んできた学習内容、または10年以上(国際業務では3年以上)の経験値のみによって証明します。

外国人の方の採用を考えているその業務は、外国人の方が専門学校で学んできた学習内容に関連性のある業務でしょうか?

まとめ

人材不足による倒産が増えています。人材の確保は企業にとって緊急の課題です。人材派遣会社に登録をし、 外国人の方でもいいので人材確保につとめている企業も多いことでしょう。

しかし、その業務は本当に外国人の方が働ける業務ですか?

いま一度考えてみてください。外国人の方が働くことができない業務で派遣会社に登録をしても登録するだけムダになってしまいます。
人材派遣会社が紹介料ほしさに外国人の方を紹介してきても、けっきょく在留資格が不許可になりムダになってしまいます。
行政書士に虚偽申請を依頼しても、京都の事件のように不法就労の疑いで逮捕されてしまいます。

新しい在留資格「特定技能」なら大丈夫ではないのか、と思われる方がいるかもしれません。しかし「特定技能」も14職種のみ許されているだけです。すべての業務でできるわけではありません。

その業務は外国人の方が働くことができますか?

人材派遣会社に登録する前にご相談ください。