学校が夏休みに入りアルバイトをがんばっている外国人留学生がたくさんいることでしょう。留学ビザの場合、資格外活動許可を取ると週28時間アルバイトができます。それが夏休みなどの長期休暇になると週40時間まで緩和されますので、後期の授業料のために外国人留学生は夏休みは帰国もせず、遊ばずにアルバイトをがんばります。

ただし、必ず勤務時間を守らないといけません。オーバーワークは入管法に定められた犯罪です。

アルバイトができる留学生

留学ビザで日本に滞在している外国人留学生は、もともと働くことができません。これは海外に行く日本人も同じです。アメリカに留学する日本人はアルバイトができませんし、観光目的で海外に行ったときも働いたら現地の警察に捕まります。

在留資格は活動内容によって許可が与えられます。勉強目的の留学生は働くことができません。しかし、資格外許可申請をすることで在留資格では認められていない活動=働く許可が与えられます。

出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を付することができる。

入管法第19条2

上記の条文は、資格外活動許可申請をすれば活動の遂行を阻害しない範囲内=週28時間(長期休暇週40時間)以内で働くことができますよ、と書かれています。

資格外活動許可を取った留学生の在留カードの裏には”28時間以内の資格外活動許可”といった印鑑が押されます。この印鑑がない外国人留学生はアルバイトができませんので採用してはいけません。

企業が気をつけること

週28時間を超えるオーバーワークを留学生にさせた場合、また資格外活動許可のない留学生を働かせた場合、企業にも罰則が科されます。

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

入管法第第73条の2

アルバイト先のオーナーは入管法に詳しくないかもしれません。知らなかった、こともあるでしょう。しかし知らなかったでは済まされません。

2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可を受けていないこと。
三 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。

この場合の過失のないとき、とは注意はしていたが留学生にだまされたときでしょうか。資格外活動許可の確認をしていなかった、これでは罪に問われる可能性があります。

さらに2020年12月より「在留カード等読取アプリケーション」ができました。外国人留学生などをアルバイト・正社員で雇用する場合、この「在留カード等読取アプリケーション」を使って正規の在留カードなのか、資格外活動許可を取っているか確認をしなければいけません。雇用側の過失の範囲は狭くなっていると思われます。

長期休暇は日本人学生が帰省し特に人手不足になると思います。お盆のない、帰国をしない外国人留学生を中心にシフトを組むことが増えるでしょう。
しかし週40時間(普段は週28時間)を超えるアルバイトをさせた場合、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金となります。

十分に注意をして労務管理に取り組んでください

留学生が気をつけること

外国人留学生は学校でオーバーワークについて何度も注意を受けているはずです。しかし学費の支払いだったり、生活費だったり、母国の借金を返すためにアルバイトをたくさんしてしまいます。

気持ちはわかりますが、「特定技能」の在留資格ができてから留学ビザの更新が厳しくなりました。外国人留学生は人手不足の業界を救う労働力でしたが、今後は「特定技能」で働く外国人で人手不足を解消する予定です。友だちは年収200万超えていたけど許可が取れた、知り合いは大丈夫だった、だから自分も大丈夫だ、とはなりません。昨年とは状況が違います。

アルバイトをかけ持ちしている外国人留学生がいます。ふたつのアルバイト時間を足すと週28時間を余裕で超えてしまいます。彼らはアルバイト先のオーナーから給料は手渡しだから大丈夫、入管にはバレないと言われています。
お互いに悪いことをしているのでどっちもどっちですが、オーナーにだまされてはいけません。留学生がアルバイトをふたつしていることは税務署にも入管にもバレています。課税・納税証明書にしっかりと年収が記載されています。

外国人を採用した場合、雇用先(アルバイト先)はハローワークに報告しなければいけません。外国人を採用したのに黙っていることはできません。

ハローワークだけではありません。会社にはいろいろな報告義務があります。留学生に支払った給料などの人件費、保険、これらを報告しない会社は脱税の疑いがあります。はっきり言って、脱税をしてまで外国人留学生を守る会社はありません。

給料は手渡し、口では働いていることを内緒にすると言いながら、脱税などが怖くてちゃんと税務署に報告しています。だから課税・納税証明書の年収が200万円を超えてしまうのです。

まとめ

勉強もアルバイトもがんばっている外国人留学生にとてもやさしくしてくださるアルバイト先もあります。しかし資格外活動の範囲を超えると、留学生は日本にいることができません。卒業後はウチで雇うから問題がない、そんなこともありません。
オーバーワークでは留学ビザから就労ビザの変更も不許可になります。その前に留学ビザの更新が不許可になるでしょう。

がんばっている外国人留学生にできることはルールを守らせることです。

アルバイト先も外国人留学生も、ぜひお気をつけください。