そろそろ3月、4月に申請をした就労ビザの結果が出るころです。残念ながら出入国在留管理局から不許可通知書が届いた外国人留学生もいることでしょう。

就労ビザが不許可になった留学生は、留学ビザの在留期間が残っていれば3か月以内に帰国しなければいけません。すでに在留期間が切れている留学生はパスポートに出国準備期間の「特定活動」が与えられ、30日(31日)の間に帰国しなければいけません。

しかし引き続き就職活動をし、日本で働きたいと考える外国人留学生もいます。そのような外国人留学生は「留学」の在留資格のまま、出国準備期間のままでは日本に滞在できませんので、就職活動のための「特定活動」に在留資格を変更しなければいけません。

まずは不許可理由を出入国在留管理局で聞き取る

就労ビザの結果は出入国在留管理局からハガキで届きます。「卒業証書を持参ください」と赤い印鑑がない場合は、残念ながら就労ビザは不許可です。(外国人留学生の場合、卒業証書と引き換えで新しい在留カードを発行するため)。

「卒業証書を持参ください」の赤い印鑑がないハガキを出入国在留管理局に持っていくと、審査官が不許可理由を簡単に説明してくれます。

留学生が不許可になる理由は以下にまとめます。

  • 在留資格の該当性がない(業務内容が就労ビザで認められていない。業務内容に安定性・継続性がない)
  • 学習内容と業務内容に関連性がない
  • 在留状況が良好ではない(オーバーワークなど)

就労ビザが不許可になった留学生全員が上記3つの理由のどれかに当てはまります。 審査官はもともと不許可理由を説明する義務がありません。そのためこちらから詳細を問いたださなければいけません。

またその場で反論をしても意味がありません。しっかりとた不許可理由を聞き取り、再申請のチャンスを見極めなければいけません。

理由によっては同じ内定先で再申請もできます。内定先の担当者は忙しくて一緒に出入国在留管理局に行ってくれないかもしれません。

JOY行政書士事務所では出入国在留管理局に一緒に出向き、審査官に不許可理由を問いただします。もう一度就職活動を行うのは大変なことです。同じ内定先で再申請ができるかチャレンジをしますのでお問い合わせください。

業務を見直すことで再申請ができる場合があります。新しい書類を添付することで同じ業務でも許可になるかもしれません。

しかしどうしても再申請ができない場合、外国人留学生は就職活動を続けるしかありません。

特定活動の申請方法

引き続き日本で就職活動をするために必要な在留資格が「特定活動」です。

「特定活動」に在留資格を変更する際に必要な書類です。(法務省HPより)

  1. 在留資格変更許可書
  2. 証明写真
  3. パスポート及び在留カード
  4. 申請人の在留中の一切の経費の生活支弁能力を証する文章
  5. 大学・専門学校の卒業証書
  6. 専門学校卒業の場合は成績証明書
  7. 在籍していた学校の推薦状
  8. 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料
  9. アルバイトをするなら資格外許可申請書

生活支弁能力とは

「4.申請人の在留中の一切の経費の生活支弁能力を証する文章」とは貯金残高、アルバイト収入がわかる書類です。銀行通帳のコピーや給料明細を提出します。

外国人留学生は銀行を信用していないのか、給料をすぐに引き出してしまうため貯金残高がありません。学校の先生は銀行にお金を預けたまま、必要な分だけ引き落とすように日ごろから留学生に指導が必要です。

いくらぐらい貯金残高が必要なのか、正解はありません。

外国人留学生は貯金残高を増やすため、友だちからお金を借ります。急に貯金残高が増えたら出入国在留管理局から指摘が入り、そのための説明文書を用意しなければいけません。在留状況=普段の生活を見せることが大切です。普段からムダ遣いをせず、貯金をしていれば問題はありません。

「特手活動」の許可が取れたら新しい在留カードが発行されます。アルバイトをするなら資格外活動許可もあわせて取らなくはいけません。貯金残高とアルバイトの給料を説明することで 「4.申請人の在留中の一切の経費の生活支弁能力を証する文章」 にします。

継続就職活動とは

「8.継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」は在学中に行っていた就職活動を証明する書類です。出入国在留管理局から届いた不許可通知書、企業から届いた不採用通知書を提出します。

アルバイト先で就職する外国人留学生が一番困ることが、この継続就職活動を証明する書類です。アルバイト先がコンビニや飲食店だと不許可になる確率が高い。なのに就職活動をしてこなかったため「特定活動」の許可も取れません。アルバイト先で就職することは就職活動でないことを外国人留学生には説明しなければいけません。

※コンビニや飲食店で就労ビザの許可を取る難しさは、企業も留学生も安易に選んだための「専門性」の証明が難しくなる点もあげられます。入社試験をクリアしたことで「専門性」の担保になります。

今までの出入国在留管理局は不許可通知書があれば継続就職活動を行っていたと判断していましたが、最近では不許可通知書だけでは不許可になる傾向があります。アルバイト先1社しか就職活動をしていない留学生が増えてきた原因かもしれません。

学校の推薦状

就職活動のための「特定活動」ならではの必要書類が「7.在籍していた学校の推薦状」です。「特定活動」に在留資格を変更しても監督責任は在籍していた学校にあります。卒業生が就職活動をしているか、所在が確認できるか、学校が監督しなくてはいけません。そのため学校の推薦状がない留学生は「特定活動」の許可が取れません。

学校の推薦状は学校の基準で発行されますので外部の人間が文句を言うことはできません。発行基準の優しい学校、厳しい学校とあるでしょう。こればかりは仕方のないことです。

「特定技能」のための「特定活動」

在留資格を「特定技能」に変更するためには技能測定試験に合格しなければいけません。

在学中に技能測定試験に合格すればいいのですが、卒業後に技能測定試験にチャレンジする留学生もいるでしょう。「技術・人文知識・国際業務」が不許可になったため「特定技能」に切り替える飲食店もいると思われます。学校を卒業したのに在留資格が「留学」のままでは不法滞在になってしまいますので「特定活動」に在留資格を変更してください。

オーバーワークのため学校から推薦状が出なかった外国人留学生はいったん帰国するしかありません。技能測定試験のときに短期滞在で来日し、合格後に在留資格認定証明書を申請して日本で働きます。

「特定活動」中に就職活動を行えば、1回のみ「特定活動」の更新ができます。1年間は日本で就職活動ができますので、就職活動をしながら「特定技能」を考えてもいいかもしれません。