在留資格の申請では「理由書」が必要になるときがあります。私も依頼人にヒアリングをして、提出書類では説明が足りないことを「理由書」で説明をします。作成した「理由書」を依頼人に褒められるとうれしいものです。

しかし、帰国困難な外国人の方が在留資格を変更するとき「理由書」は必要なのでしょうか。

帰国困難者に「理由書」は必要か?

在留資格の申請では「理由書」を作成して出入国在留管理局に提出します。これは申請書など通常必要とされている書類だけでは説明が足りないためです。
就労ビザでは雇用契約書だけでは説明が足りない申請人の業務内容や大学で勉強してきた専門性を説明します。
配偶者ビザでは結婚までの経緯を「理由書」に書いて偽装結婚ではないことを説明します。

しかし帰国困難者の場合、「理由書」がないからといって説明が足りなくなることはないと考えます。新型コロナウイルスの影響で飛行機が飛ばなくなって(数が減って)すでに6か月以上たっています。たとえば中部国際空港はフィリピン便と韓国便しか飛んでいないことはニュースを見ればわかることで審査官も知っています。飛行機が飛んでいないのですからわざわざ帰国ができない説明を「理由書」に書く必要はありません。

もちろん日本での活動内容の説明は必要ですので、わかりきった説明になりますが”帰国ができないために日本に滞在する”といった書類は必要になります。その帰国ができないことを証明する書類が用意できないときに「理由書」を用意しましょう。

「理由書」が必要になるとき

各国の在外日本大使館のホームページを確認すると、国際便の運休状況や上陸拒否の情報が掲載されています。

たとえば在ミャンマー日本大使館のホームページでは10月31日まで国際便の着陸拒否がされており、ミャンマーに入国できないことが記載されています。ミャンマー人は10月31日まで帰国ができないことがわかります。(さらに期限が延長されるかもしれませんが)

在ドイツ日本大使館のホームページを確認するとフランクフルト・名古屋便が全便運休していることがわかります。中部国際空港からヨーロッパに行くためにはフランクフルトを経由する必要がありますので、ヨーロッパにお住いの方は帰国ができないことがわかります。

帰国ができない証明としての書類は各国の在外日本大使館のホームページをプリントアウトすれば問題ありません。

しかし同じドイツ行きでもフランクフルト・羽田便は週3で往復運航されています。タイも入国後14日間の隔離を必要としていますが、タイ人なら帰国をすることができます。とはいえ飛行機の数も少なく簡単に航空券は取れないと思います。このような場合は航空券のキャンセルのメールをプリントアウトして提出できればいいのですが、予約さえできないときは「理由書」で説明しなければいけないでしょう。

あくまで「理由書」はほかの書類の足りない部分を説明するためか、提出できない書類を説明するために用意するものです。

当事務所にできること

名古屋出入国在留管理局は帰国困難のために在留資格変更申請をすると当日には新しい在留カードができます。「理由書」を長く書いても審査に時間がかかるだけですので、帰国ができないことがわかる書類を用意できるのでしたらわざわざ「理由書」を用意する必要はないと考えます。

ただ、飛行機が満席などの理由で航空券を予約することもできずに帰国ができないとき=帰国ができないことを証明する書類を提出できないときは「理由書」で説明をしたほうが良いでしょう。

いまだに中部国際空港の国際便は止まっています。帰国ができない外国人の方はJOY行政書士事務所までお問い合わせください。JOY行政書士事務所では申請書の作成から出入国在留管理局の申請まで行います。

ポイント

※2020年12月1日から「短期滞在」で在留する帰国ができない外国人の方も週28時間のアルバイトができるようになりました。日本でアルバイトをするためには資格外活動許可申請をしなくてはいけません。この資格外活動許可申請をするためには理由書の提出が必要となります。帰国ができないことを説明するために理由書は必要ないかもしれませんが、日本でアルバイトをするためには理由書が必要になりました。