新型コロナウイルスの影響は日本に滞在する外国人の方にも及んでいます。出入国在留管理局からいくつかのアナウンスが出ていますが、今回は帰国困難者と申請受付期間の延長、さらに勤務日が未定となった留学生についてまとめます。

帰国困難者とは

新型コロナウイルスの影響で各空港の国際線が欠航しています。そのため予定していた航空便がキャンセルとなり、帰国できない外国人の方がいます。
出入国在留管理局ではこのような外国人の方を帰国困難者と定め、「短期滞在90日」の更新の許可を認めています。

更新の申請には以下の書類が必要だとされています。

  • 在留資格更新許可申請書
  • 帰国困難であることの説明
  • 生活支弁能力の説明(銀行通帳の残高等)
  • 滞在場所の説明

通常「短期滞在」を更新する際に必要とされる書類を用意すれば問題ありません。

ただし、ここで問題となるのが”帰国困難者”と決める方法です。
名古屋出入国在留管理局では中部国際空港から入国した外国人の場合、中部国際空港から出国できなければ帰国困難者であると認めてくれます。しかし審査官によっては関西国際空港や成田国際空港で帰国できる場合は帰国困難者と認められない、と回答しているようです。

ふつう、中部国際空港から入国したら帰国するときも中部国際空港を使いますよね?

中部国際空港は10月まで多くの国際線が欠航するとニュースになりました。この情報は今後変わる可能性がありますが、中部国際空港で入国された外国人の方は帰国困難者として「短期滞在90日」の更新をするべきだと考えます。

申請受付期間の延長

上記で在留資格の更新をするべきだと考えます、としましたが、現在出入国在留管理局は申請受付期間の延長を行っています。

これは3月~7月までに在留期間の満了を迎える(在留期限が切れる)外国人の方は在留期間から3か月後まで在留資格の更新・変更申請を受け付ける、というものです。「短期滞在」で在留中の方も認められます。

受付期間が延長されているのなら帰国困難者でも「短期滞在」を更新する必要ないのでは? と考えられます。しかしそれなら、出入国在留管理局は帰国困難者の在留資格を更新する必要はありません。なぜ在留資格の更新をする必要があるのでしょうか。

在留期間内の在留資格を持っていない場合、在留資格で認められた活動はできません。逆に有効な在留資格を持っていても在留期間が切れていては在留資格で認められた活動はできません。

これが重要です。

今回のケースでは申請期間の受付は延長されましたが在留期間が延長されているわけではありません。在留期間がすぎても出入国在留管理局はサポートをしてくれません。そのため留学生が更新申請をしないで在留期間がすぎた場合、在留期間後3か月以内に更新の申請はできますが、在留期間が切れている間学校に通っていいのかは不透明です。就労ビザで働いている外国人は在留期間が過ぎているのですから働くことができるのか不透明です。
在留期間がすぎた在留カードを持っているのですから、警察官に職務質問をされたときどうしますか? 不法滞在の疑いをかけられても出入国在留管理局がサポートしてくれるとは限りません。

今回はあくまで”入管に申請に来て新型コロナウイルスにかかりたくない人は受付期間を延長しますよ。ただし在留期間を延長するわけではないですよ”というのが出入国在留管理局のスタンスだと考えます。

そのため適正に日本に滞在をするのでしたら学校に通う留学生や働く外国人の方は在留資格を更新しなければいけませんし、帰国困難者は「短期滞在90日」の更新をしなければいけません。

勤務日が未定となった留学生の対応

緊急事態宣言とともに各企業に対して自粛要請が出されています。そのため4月から予定していた勤務体制を整えることができない企業が増えていると考えます。

4月から働く予定だった留学生も自宅待機を命じられているかもしれません。すでに学校を卒業した留学生の場合(正確には元留学生ですが)、学生のときと同じようにアルバイトはできせん。

「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを受け取ったときに資格外活動許可はなくなっています。就労ビザの許可が取れたからといってどんな仕事もできるわけではありません。生活に困っているからといってアルバイトをしてはいけません。アルバイトをするのなら資格外活動許可を取り直してください。

通常、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でアルバイトは認められません。内定先の企業に新型コロナウイルスの影響で働けない旨の嘆願書を作ってもらい、資格外活動許可を申請します。

許可を取ることができたら、勤務日が決まるまで週28時間以内のアルバイトができるようになります。

まとめ

新型コロナウイルスの影響はいろいろなところで出ています。出入国在留管理局からアナウンスがありますが、自分にとって何がベストか判断は難しいものと考えます。

お困りのときはJOY行政書士事務所までご相談ください。