2019年8月1日、日本語教育機関の告示基準が一部改訂されました。設置基準、生徒数、在留管理など告示基準は厳しくなり、日本語学校の運営、外国人留学生の在留管理に一層の注意が必要となっています。

在留管理の告示基準

目的

在留資格の許可要件は、在留資格の該当性と上陸許可基準で判断されます。外国人留学生の場合、当たり前の話ですが日本の学校に通い勉強することが大前提となります。

しかし送り出し機関、ブローカーなどに借金をして日本に来る留学生の一部は、日本で働くために”偽装留学”をしているのも事実です。日本語学校の中には企業と結託して外国人留学生の働き先をあっせんしています。

この流れに歯止めをかけるために法務省・出入国在留管理局が動いたのが今回の告示基準と言えます。

告示基準の中身

告示基準の中でも外国人留学生とかかわりの深い「在籍管理」を見ていきます。

「在留管理」
 三十七 1か月の出席率(その月に出席した単位時間数を出席すべき単位時間数で除した数をいう。以下同じ。)が8割を下回った生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)については、1か月の出席率が8割以上になるまで改善のための指導を行い、その指導の状況を記録するとともに、当該記録を当該生徒が在籍しなくなってから少なくとも1年を経過するまで保存することとしていること。ただし、疾病その他のやむを得ない事由により欠席した生徒についてはこの限りでない。
 三十八 生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)が退学したときは、その翌月末 までに地方出入国在留管理局に対し当該生徒について報告することとしていること。
 三十九 1か月の出席率が5割を下回った生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)については、当該生徒が資格外活動の許可を受けている場合は当該許可に係る活動を行う本邦の公私の機関の名称と併せて、その翌月末までに地方出入国在留管理局に対し当 該生徒について報告することとしていること。ただし、疾病その他のやむを得ない事由に より欠席した生徒についてはこの限りでない。
 四十 生徒の在留期間並びに資格外活動の許可の有無及び内容を把握し、出入国管理法令に 違反しないよう適切な助言及び指導を行うこととしていること。また、資格外活動の許可 を受けている生徒(留学の在留資格をもって在留する者に限る。)に対して当該許可に係る活動を行う本邦の公私の機関の名称の届出を求めることとするとともに、届出のあった内容を当該生徒が在籍しなくなってから少なくとも1年を経過するまで保存することとして いること。

告示基準とともに法務省は告示基準の解釈も発表しています。

三十七は、学生指導に関する項目です。1カ月の出席が8割を切る留学生には適切な指導を行うよう求められています。これは出席率8割を目指すのではなく、”8割すら”と告示解釈で書かれています。8割は最低ラインです。

三十八は、退学した留学生の報告義務です。今までは努力義務だったと思いますが、これからは退学した留学生は必ず出入国在留管理局に報告しなければいけません。

三十九から資格外活動=アルバイトに関する報告義務が書かれています。1カ月の出席率が5割を切った留学生が出た場合、留学生が資格外活動許可を得ているときは留学生の報告とともにアルバイト先について出入国在留管理局に報告しなければいけません。不法就労は立派な犯罪ですので、通報義務(悪く言えば密告)が発生します。
出席率が5割を切る留学生は留学ビザの蓋然性が低く、不法就労の疑いがあります。出入国在留管理局は必要に応じて調査をする必要がある、と解釈されています。

これは日本語学校以上に外国人留学生を雇っている企業・アルバイト先が気をつけなければいけません。とある企業は留学生を長時間働かせた罪で300万円の罰金を支払っています。外国人留学生の労務管理がますます重要となります。

外国人留学生はひとつのアルバイトで週28時間の時間を守りますが、アルバイトをかけ持ちする留学生がたくさんいます。結果週28時間を超え、アルバイトで疲れてしまい出席率が5割を下回ります。留学生にアルバイト先を紹介する学校もありますが、紹介したアルバイト先以外で働いていないか、留学生の管理がますます大変となります。

まとめ

告示基準が改定され、外国人留学生のアルバイト先まで管理しないといけません。日本語学校は日本語試験の合格率を上げないといけなくなり、先生方の負担は増えていく一方です。

JOY行政書士事務所では、出入国在留管理局に提出する書類を作成します。在留管理の一部を外注し、先生方には日本語の教師として最大限の力を発揮していただきたいと考えます。

ぜひJOY行政書士事務所までご相談ください。