令和2年4月1日から特別養子縁組の年齢が原則15歳未満の子まで引き上げられました。今までは6歳未満までの子との特別養子縁組が認められていましたので、15歳未満に引き上げられたのは大きな改正です。

では、外国籍の子と普通養子縁組をしたとき、外国籍の子と特別養子縁組をしたときでは在留資格は違ってくるのでしょうか?
普通養子と特別養子の違いを確認し、各々の在留資格についてご説明します。

普通養子と特別養子の違い

日本の法律上、養子縁組は普通養子特別養子があります。この普通養子と特別養子は全く違う制度となっています。

普通養子、特別養子の条件を簡単ながら確認します。

普通養子

  • 養親は成人に達していること(独身でも可)
  • 専属(叔父や叔母)ではなく、養親よりも年下であること
  • 養子の年齢に制限がない(何歳からでも普通養子縁組ができる)
  • 両者の合意によって成立する
  • 市役所に届出が必要
  • いつでも離縁ができる
  • 実親との関係が存続する

特別養子

  • 養親は結婚しており、夫婦の一方が25歳以上で、もう一方が20歳以上でなければならない
  • 養子は原則15歳未満でなければならない
  • 6ヶ月の試験養育期間と家庭裁判所による審判が必要
  • 原則として離縁はできない
  • 実親との関係が終了する

特に重要なのが養親・養子の年齢制限と実親との関係でしょうか。普通養子は何歳からでもできますが、特別養子は原則15歳未満でないとできません。

また普通養子は実親との関係が続きますが、特別養子では実親との関係が切れます。そのため相続でも両者は違いますし、戸籍の表記も違ってきます。

普通養子の在留資格

外国籍の子と普通養子縁組をし、その普通養子を日本に呼び寄せるためには在留資格「定住者告示7号」の申請をします。

定住者告示7号の条件は以下のとおりです。

次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の6歳未満の養子(省略)に係るもの

・日本人
・永住者の在留資格をもって在留する者
・1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者
・特別永住者

定住者告示より


日本人、永住者、定住者(1年以上の在留期間)、特別永住者と普通養子縁組をした外国籍の子は「定住者」の在留資格で日本に滞在できます。

ここで重要なのは、”6歳未満”の養子です。

上に説明したとおり、普通養子は何歳からでもできます。養子の年齢が3歳でも20歳でも40歳でもできます。しかしこれでは日本に残りたいために40歳の外国人の方が41歳の日本人や永住者の方たちと普通養子縁組をしてしまいます。それを防止するために”6歳未満”の養子としたのでしょう。

普通養子ですので、母国の実親と縁を切る必要はありません。日本の養親に育てられながら母国にいる実親との関係を存続させたいときは「定住者」の在留資格を申請します。

特別養子の在留資格

普通養子とは違い、特別養子は母国の親との縁を切って実子と同じ関係を養親と築きます。
そのため日本人と特別養子縁組をした外国籍の子は日本人の実子と同じ在留資格、「日本人の配偶者等」の申請します。

「日本人の配偶者等」ですので、「定住者告示7号」と違い年齢制限がありません。何歳からでも「日本人の配偶者等」の申請ができます。

たとえば、外国に住んでいた日本人ご夫婦が13歳の外国籍の子を特別養子とされました。外国に3年住み、日本に戻ろうとされたとき特別養子の外国籍の子は16歳になっています。特別養子は15歳未満の子としかできませんので在留資格の申請もできないのではないか、と考えてしまいますが、そんなことはありません。

「日本人の配偶者等」の条件は日本人と特別養子縁組をしていることですので、15歳未満に特別養子縁組を完了していれば外国籍の子が何歳であっても「日本人の配偶者等」の申請はできます。

特別養子の年齢制限は「日本人の配偶者等」の在留資格に関係ありません

連れ子の在留資格

今まで養子の在留資格をご説明していたため、配偶者の連れ子を養子にしないと日本で一緒に住めない、と勘違いをさせてしまったかもしれません。

大丈夫です。養子縁組をしなくても配偶者の連れ子と日本で一緒に住むことができます。それが「定住者告示6号」の在留資格です。

「定住者告示6号」の条件は、親の扶養を受ける未成年で未婚の実子です。

実子であれば年齢制限が未成年まで引き上げられます。しかし扶養を受けることが条件ですので、親と同居をしなければならず、扶養の範囲内でしか働くことができません。

「家族滞在」の養子は?

外国人ご夫婦の養子は「家族滞在」の在留資格を申請します。外国に普通養子、特別養子の違いがあるのかわかりませんが、外国人ご夫婦と養子縁組をしていれば何歳であっても「家族滞在」の在留資格で一緒に住むことができます。外国人ご夫婦の実子と変わりません。

しかし「家族滞在」もメインとなる外国人の方の扶養に入っていなければいけませんので、同居をしなければならず、また「家族滞在」は資格外活動許可申請を行い週28時間しか働くことができません。フルタイムで働くためにはほかの「在留資格」に変更をしましょう。

JOY行政書士事務所にできること

今回は普通養子と特別養子の違いから申請ができる在留資格について確認をしてきました。在留資格によっては年齢制限もあり大変複雑です。

JOY行政書士事務所にご相談を頂けましたら適切な在留資格のご案内と申請の作成、出入国在留管理局への申請までいたします。

ただ、行政書士のため弁護士とは違い裁判所で養子の手続きなどはできません。ご了承ください。

在留資格でお悩みのときはJOY行政書士事務所までお問い合わせください。

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