在留資格「日本人の配偶者等」(配偶者ビザ)を申請するとき、以下の2点の証明に気をつけて書類を提出しなければいけません。
- 偽装結婚ではないのか
- 生活支弁能力があるのか
偽装結婚の場合は資格該当性がなく、当たり前ですが不許可になります。
生活支弁能力とはご夫婦の生活費です。生活費がないと”安定的・継続的”な婚姻生活を送ることができないとして不許可になります。
生活支弁能力は「日本人の配偶者等」の許可要件としてとても大切です。生活支弁能力の証明について考えていきましょう。
本当に生活支弁能力は必要なのか
許可要件としてとても大切と書いておいていきなりですが、本当に生活支弁能力は必要でしょうか。お金がなくても結婚している日本人夫婦はいますし、お金がないからといって不幸なわけではありません。
また入管法別表二でも「日本人の配偶者等」の条件として ”日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者” とする身分のことしか書かれていません(そのため身分系の在留資格といわれています)。
在留資格が不許可になった場合、裁判を起こすことができます。生活支弁能力が争点になった裁判ももちろんあります。それが東京地裁平成23年9月8日の裁判です。
経済的基盤の有無は、当該外国人が本邦において行おうとする活動が日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当するか否かを判断する上での一事情に過ぎないと解される
東京地裁平成23年9月8日
生活支弁能力はひとつの事情でしかなく、その一点のみをもって不許可にするのはダメだ、と判例が示されました。お金がなくとも結婚をしたいと願う、現実の結婚の実情に沿った裁判例だと思われます。
しかし「日本人の配偶者等」などの身分系の在留資格ではいまだに生活支弁能力の証明ができなくて不許可になるケースがあります。
「経済的基盤があまりにも欠如しているときは、当該外国人が本邦において日本人の配偶者の身分を有する者としての活動を行おうとするものであることに疑いが生ずる」
上記の判例の続きです。生活支弁能力があまりに低い場合は、日本で働くための申請ではないか、本当に結婚する意志があって準備をしていたのか、偽装結婚の疑いをもたれて不許可になってしまいます。
生活支弁能力の説明
「日本人の配偶者等」を判断する一事情でしかない生活支弁能力ですが、低すぎては不許可になることがわかりました。
妻の「日本人の配偶者等」を申請したとき、私は無職でした。収入がないため生活支弁能力は説明できません。そのため銀行通帳のコピーと前年度の源泉徴収票を提出しました。
貯金残高は300万円ありました。300万円あったというか、300万円作りました。10年以上支払っていた生命保険ふたつを解約したのです。また行政書士事務所の事業計画書を作成し、1年間の売り上げの目安を200万円に設定。5年後にサラリーマン時代の年収に戻すよう計算しました。
「日本人の配偶者等」を申請する方が全員生命保険を解約する必要はありません。私の場合、ほかにお金を用意する方法がなく、また結婚するにあたって保険の見直しをし、解約すると支払った金額以上のお金が戻って来るタイミングだったので解約しました。
ほかにも生活支弁能力を高める方法はいくつかあります。
- 日本に住む両親、家族、親戚(外国人を含む)に嘆願書を書いていただき、合わせて経費支弁証明書を提出する。
- 外国人の配偶者の勤務先(アルバイトを含む)を探す。
嘆願書はよく利用される方法です。質問書にも結婚式に参加した家族、結婚を知っている家族を記入する欄があります。家族に甘えられる方は甘えてください。
※最近は家族、親族のバックアップがあっても不許可になるケースも出ているようです。同居をしていない家族、親族では証明として弱いと判断されます。
「日本人の配偶者等」の在留資格は就労制限がありません。外国籍であっても配偶者の方はどんな仕事もできます。アルバイトの場合はお住いの最低賃金から算出される月給を計算してみてください。配偶者控除も考えないといけませんが、世帯年収が100万円は高くなります。
正社員の場合、内定があると安心できます。しかしハローワークは在留資格がないと相談を受け付けてくれません。在留資格がない状態で内定を得るのは難しいので将来どのような仕事をするのか、 将来の生活設計を決めて大学などの卒業証書・成績証明書を裏付け資料として提出します。
新卒者の場合、課税証明書、源泉徴収票もないため生活支弁能力の証明がより難しくなります。
課税証明書、源泉徴収票がない場合は給料明細を代わりに提出します。給料明細もないときは勤務先に給料見込証明書をお願いしてください。労働契約書だけでは手当や賞与の詳細がわからないため証明不足となります。勤務先に事情を説明し、給料見込証明書を提出してください。
JOY行政書士事務所にできること
「日本人の配偶者等」の一事情にすぎない生活支弁能力ですが、証明を間違えると不許可になります。これはほかの身分系の在留資格「家族滞在」、「永住者の配偶者等」でも変わりません。
夫婦によって事情は異なり、その夫婦に合った証明が必要になります。
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