2023年10月現在、日本ではいまだに同性婚が認められていません。そのため日本で結婚証明書が用意されない=戸籍謄本にも結婚の事実が反映されません。
では、日本人が外国人と同性婚をしたとき、一緒に日本で生活することはできないのでしょうか?
そのようなことはありません。在留資格「特定活動」の許可を取ることができれば日本で一緒に生活をすることができます。裁判でも認められました。
では、どのようにすれば「特定活動」の許可が取れるのか。外国人同士が同性婚されたときのケースとあわせて確認をしていきます。
まず在留資格とは? ビザと違うの?
在留資格とは、外国人の方が中長期間日本に滞在をするために必要な許可です。在留資格の許可を取らないと外国人の方は90日を超えて日本に滞在することができません。
よく在留資格のことを”就労ビザ”・”配偶者ビザ”といいますが、厳密に在留資格とビザは別のものです。
在留資格=中長期間日本で滞在するために必要な許可で出入国在留管理局で日本で行う活動内容を審査される
ビザ=持っているパスポートが正式なものか、何のために日本に行くのかを在外日本大使館で審査される
在留資格とビザは審査の内容、審査をされる場所も違います。
一見同性婚とは関係がないかと思いますが、申請の流れを理解するうえでとても大切なことですので覚えておいてください。
在留資格は日本で行う活動内容によって違います。日本でサラリーマンとして働くなら「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を、調理師として働くなら「技能」の在留資格を、日本人の配偶者として生活をするなら「日本人の配偶者等」の在留資格を、同性婚のカップルとして生活するなら「特定活動」の在留資格を申請して、許可を取らなくてはいけません。
基本的に、中長期間日本に滞在する外国人の方は先に在留資格の申請をします。日本で働く、日本で愛する人と一緒に生活をする。このような日本で行う活動が先にあるはずです。そのため日本で行う活動内容が本当なのか、申請する在留資格で認められた活動内容なのか先に審査されます。
逆に在留資格の許可が先に取れますと、日本で何をするのかといった日本大使館で審査をされる項目を一つクリアしますので、ビザの申請は簡単になります。
申請の流れをまとめますと
出入国在留管理局で在留資格の申請をする→在留資格の許可を取る(在留資格認定証明書が発行される)→在外日本大使館でビザの申請をする→ビザが取れたら来日
これはあくまで中長期間日本に滞在するときの申請です。90日以内、旅行目的などのときは在留資格は必要ありませんので日本大使館にビザの申請をするだけで大丈夫です。
では、同性婚の「特定活動」の申請も出入国在留管理局から申請をすればいいのか、というと実は違うのです。同性婚のカップルが日本で一緒に生活をするためには、先に日本大使館でビザの申請をしてください。
同性婚の「特定活動」の申請方法
長々とご説明をしたのに、最後に反対のことをご説明してしまい申し訳ございません。
同性婚の「特定活動」は、先に出入国在留管理局に申請ができません。
なぜなら、同性婚の「特定活動」は法律に規定がない、特別な事情で認められた在留資格だからです。これを告示外特定活動といいます。
告示外=法律に規定がないため、出入国在留管理局に申請をして先に在留資格の許可を取ることはできません。法律にない在留資格なので申請がそもそもできないのです。
ではどうしたらいいのでしょうか? 日本に来ることができない、というわけではありませんのでご安心ください。
まず、日本大使館でビザの申請をします。ビザの種類はすでにご結婚をされているのでしたら親族訪問が一番なのですが、同性婚のカップルを親族として認めているのか、日本大使館の職員によって対応が変わるかと思われます。
親族訪問のビザが難しいときは、知人訪問で申請をしてください。ここで重要なのが、90日間のビザ(短期滞在)を取ることです。
親族(知人)訪問のビザで日本に来た後、中長期間日本に滞在するために在留資格の変更許可申請をビザの期限内にしなければいけません。短期滞在からほかの在留資格に変更する条件として、”90日のビザ(短期滞在)ではないと在留資格の変更ができない”というルールがあります。
これは観光目的で来た外国人の方が安易に在留資格の変更をしないようにするため、またビザの期限が短いと審査ができないためだと考えられます。必ず90日間のビザの許可を取ってください。
90日間のビザで日本に来た後、出入国在留管理局で在留資格変更許可申請をします。変更する在留資格は同性婚の「特定活動」です。
同性婚の「特定活動」の申請の流れをまとめます。
日本大使館に親族訪問(知人訪問)で90日間のビザの申請をする→来日→出入国在留管理局で「特定活動」に在留資格変更許可申請をする→在留資格の許可を取ることができれば日本で一緒に生活ができます
以上となります。
この流れを理解するためにも、在留資格とビザが別のものだと知っておいてください。
日本人と外国人カップルが同性婚の「特定活動」を申請するときの注意点
同性婚の「特定活動」の許可を取るためには、2つの点に注意をしなければいけません。
- 偽装結婚ではないことの証明
- 日本での生活費についての証明
これは在留資格「日本人の配偶者等」で証明することと同じです。そのため「日本人の配偶者等」を申請するときに出入国在留管理局に提出する質問書や身元保証書が利用できます。ほかに提出する書類も「日本人の配偶者等」と同じで大丈夫です。
- 在留資格変更許可申請書
- 質問書
- 身元保証書
- 結婚証明書
- 収入がわかる資料
- 交際がわかる資料
- ほかいろいろと
以上の書類を提出します。
ここで問題になるのが、日本人と外国人カップルです。
外国人同士の同性婚の場合、両国が同性婚を認めている国であれば両国の結婚証明書が用意できるかもしれません。結婚証明書があれば”1.偽装結婚でないことの証明”が簡単にできます。
しかし、日本人と外国人の同性婚では両国の結婚証明書が用意できません。日本は同性婚を認めていないため、日本の結婚証明書が用意できません。
この問題は日本人だけではないかもしれません。同性婚を認めていない国では結婚証明書が用意できません。これでは出入国在留管理局が求める両国の結婚証明書を提出できません。
どうしたらいいのでしょうか? 日本で一緒に住むことをあきらめるのか…その必要はりません。
実は数年前までは日本の結婚証明書がなかったため、日本人と外国人カップルの同性婚では在留資格が認められていませんでした。しかし現在では認められる可能性はあります。外国の結婚証明書があれば同性婚の「特定活動」の申請はできます。
ただし、とても難しい申請になることは間違いありません。入管法は日本の法律です。その日本の法律で許可を取るために在留資格の申請をするのですが、日本の法律で結婚をしているとは認められないカップルが在留資格の申請をするのです。残念ながらとても難しい申請になります。
しかしあきらめる必要はありません。ご夫婦の交際歴=結婚までの経緯をていねいに説明すれば「特定活動」の許可は取れるかもしれません。
「特定活動」の申請ができないときの対処法
お相手の方の国も同性婚を認めていない場合、外国の結婚証明書も取得できません。これではさすがに結婚の事実を証明できませんので、ほかの在留資格に該当しないか検討をします。
「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「留学」、「興行」…何か条件をクリアする在留資格がないか探していきます。
JOY行政書士事務所にできること
JOY行政書士事務所は同性婚をされたカップルが一緒に日本で生活ができるようにサポートいたします。在留資格にお困りのときはいつでもご連絡ください。
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