外国籍の方が日本に滞在するためには在留資格の許可を取らなくてはいけません。在留資格がないのに、在留期限がないのに日本にいると不法滞在(オーバーステイ)で捕まってしまいます。

当たり前の話ですが、日本人=日本国籍を持っているなら在留資格の許可を取らなくても日本に滞在することができます。しかし場合によっては、在留資格の許可を取らないと日本に滞在できない日本人の方がいます。

今回は在留資格が必要な日本人の方について見ていきます。

そもそも日本人とは?

日本人である条件

「あなたは何人ですか?」と聞かれることもそうそうありませんが、「あなたは何人ですか?」と聞かれたら私は「日本人です」と答えます。

では、「どうして日本人といえるのですか?」と聞かれたら困ってしまいます…

親が日本人だから? 生まれたときから日本に住んでいるから? 日本国籍を持っているから?

いろいろな答えが考えられますが、日本人である条件は国籍法という法律に書かれています。

日本の法律では、日本人である条件は『日本国籍』を持っていること、と定めています。

そして日本国籍を持っている証明として戸籍ができます。

日本に滞在する外国籍の方は日本人と結婚をしていても戸籍がありません。日本人配偶者の戸籍に名前は記載されますが、外国籍の方本人の戸籍は日本人ではないのでありません。

日本国籍を取得できるとき

国籍法では日本国籍を取得できる条件が2つ書かれています。

  1. 日本国籍を持つ親の子(認知を含む)
  2. 外国人が帰化したとき

もう少しこまかい条件はありますが、簡単にまとめるとこの2つになります。

国籍は生まれたときに決まり、国によって出生地主義血統主義にわかれます。

出生地主義は親が外国籍であってもその国で生まれた子どもにはその国の国籍を与える考え方です。アメリカは出生地主義ですので、親が外国籍でもハワイで生まれたオバマはアメリカ人として大統領になれました。(アメリカ大統領はアメリカ生まれでないとなれない)

日本は血統主義を採用しています。そのため父か母が日本人であればどこの国で生まれても日本人になります。しかし海外で生まれた日本人の子は、3か月以内に日本大使館に出生届といっしょに”日本国籍の留保”をしなければいけません。

日本国籍の留保

上に書いたように、アメリカなど一部の国は親が外国籍であってもその国で生まれた子どもにその国の国籍を与えます。二重国籍を認めている国ならいいのですが、日本は二重国籍を認めていません。そのため出生届を提出して親子関係の登録をしたからといって生まれた瞬間に外国籍を持った子どもに日本国籍を与えることはしません。国籍を留保し、いったん二重国籍になったうえで22歳までに日本国籍か外国籍か選択するように考える期間=留保をさせます。

在外日本大使館にある出生届には”国籍を留保する”のチェック項目があります。この国籍留保のチェックを忘れると、子どもは生まれたときにさかのぼって日本国籍を喪失してしまいます。親が日本人なのに日本国籍がなくなり外国籍=外国人になるのです。

国際結婚のご夫婦が日本で出産をした場合、国籍留保をする必要はありません。国籍留保は海外で生まれて、意図せず二重国籍になった子どもに将来国籍の選択をさせるための制度です。

私の子どもはタイ国籍と日本国籍を持った二重国籍者ですが、日本で生まれたために国籍の留保はしませんでした。

日本国籍と外国籍。国際結婚のご夫婦の間で生まれた子どもは、血統主義で日本国籍になります。日本で生まれたので出生地主義は関係ありません。日本で出生届を提出後、日本にある各国の大使館に出生届を提出することで二重国籍になります。

おふたりとも外国籍のご夫婦が日本で出産した場合は、出生届を提出して住民登録(戸籍ではない)をします。子どもの在留資格取得許可申請(「家族滞在」)をして、日本にある大使館・領事館にも出生届を提出します。

在留資格が必要な日本人

日本国籍がなくなるとき

父か母、どちらかが日本人の子なら自分も日本人になり日本国籍を取得できますが、日本国籍がなくなるときがあります。

国籍留保のチェックを忘れたときもその一例です。また国際結婚後に相手方の国籍を選択したときは日本国籍を失います。日本は国籍の自由が憲法で保障されていますので、日本国籍から離脱して外国籍にする自由があります。(ただし無国籍にはなれません)

在留資格が必要なとき

日本国籍をなくした日本人(元日本人というのもあれですが)は、国籍上は外国人ですので在留資格の許可がないと日本に滞在できません。

たとえば国際結婚を機に相手方の国籍を選択し、日本国籍を失った方が海外から日本に住む両親に会うためには、親族訪問の「短期滞在」の許可を取ってから来日します。

日本に住む間に日本国籍を失ったときは、国籍を失ってから60日以内に日本から出国する場合は在留資格は必要ありません。しかし60日以上日本に滞在する場合は国籍を失ってから30日以内に『在留資格取得許可申請』をしなければいけません。在留資格は日本人の子どもとして「日本人の配偶者等」を申請します。

国籍留保のチェックを忘れたときの対応

父か母が日本人である子どもは日本人ですが、外国で生まれ、日本大使館に提出する出生届に国籍留保のチェックを忘れた子どもは外国籍になってしまいます。

このような場合、両親が日本に帰国をするときに子どもの在留資格の許可を取らないと子どもは日本に滞在することができません。親(のどちらか)が日本人ですので日本人の子どもとして「日本人の配偶者等」の許可が出ますが、在留資格には一定の期間がありますので在留期間が切れる前に更新申請をしなければいけません。

これでは手続きが面倒で、子どもの負担になります。今後日本に住むのに日本国籍がないのは大変です。

そのため、このような子が未成年でしたら通常の帰化申請よりも条件を緩和して帰化(日本国籍の取得)ができるようになっています。

国籍留保のチェックを忘れた子どもの帰化申請

通常の帰化申請では

  • 5年以上日本に住んでいること
  • 20歳以上であること
  • 素行が善良であること
  • 生計能力があること
  • 日本国籍を取得することで外国籍から離脱できること

といった条件が設けられています。

しかしこの条件も、いくつかの特例があります。

国籍留保のチェックを忘れた子どもにも特例が認められています。このような子どもが未成年の間に帰化申請をするときは”日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する”だけで十分です。

家族で外国にいると日本の住所は持てませんので、一度「日本人の配偶者等」で来日し、住民票ができてから6カ月ほど経ってから帰化申請をすれば日本国籍を取得できます。

在留資格がないと来日できませんが、すぐに日本国籍を取得できますのでご安心ください。

また現地の日本大使館で出生届の追完ができるかもしれません。追完とは一度提出した届出の訂正をいいます。出生届の”国籍を留保する”を訂正することで子どもの日本国籍を取ることができます。

JOY行政書士事務所ができること

在留資格、帰化申請の書類作成は行政書士の業務です。日本国籍をなくしても日本滞在をご希望される方は30日以内に在留資格取得許可申請をしなければいけません。お時間がないときはJOY行政書士事務所までお問い合わせください。

国籍留保のチェックを忘れてしまい、お子様が日本国籍を持っていないとき、お子様は在留資格の許可を取らないと日本に来ることはできません。在留資格の申請、その後の帰化申請までJOY行政書士事務所で対応しています。書類作成などわからないことがありましたらご連絡ください。

また日本に来られる前に現地の日本大使館に相談をすることで出生届の追完ができるかもしれません。国籍留保のチェックを忘れたときは日本大使館にもご相談ください。

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