今回ご依頼をいただいたのは、個人事業主として働く日本人の奥様と、韓国籍のご主人でした。

ご主人を日本に呼ぶため、在留資格認定証明書交付申請をしましたが、約11か月待った結果、不交付になりました。

もう一度、認定の申請をすれば、また長い間離れて暮らすことになります。

そこで、ご主人が短期滞在で来日しているときに、在留資格変更許可申請に切り替えました。

奥様の事業の収入を、確定申告と同じ形の収支表で説明し、配偶者ビザの許可が取れました。

個人事業主の方は、収入の説明に不安を感じるかと思います。

どのような書類で説明をしたのか、確認をしていきます。

認定証明書が不交付になった理由

在留資格「日本人の配偶者等」、いわゆる配偶者ビザの認定の申請は、ご主人が外国にいるあいだに日本で行います。

出入国在留管理局(入管)の不交付通知書には、次の理由が書かれていました。

提出された資料等からみて、本邦で安定的・継続的に「日本人の配偶者等」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められません。

「安定的・継続的に」とあるとおり、日本での生活費の説明が足りないと判断されました。

裁判では、生活費をもとに不交付にすることが否定されましたが、最近の配偶者ビザは、生活費の説明が非常にシビアになっています。

出入国在留管理庁に確認をしましたが、日本人の配偶者として日本で生活をする活動の中に生活費が含まれている、というわけのわからない説明をされました。

開業したばかりの個人事業主は収入を示しにくい

奥様は認定の申請をしたときは、個人事業主として開業して2か月ほどでした。

会社員の方なら、2か月間しか働いていなくても雇用契約書や給料明細で生活費の説明ができます。

しかし奥様は開業したばかりで、まだ確定申告をしていませんでした。

そのため、課税証明書や納税証明書で、事業の収入を示すことができません。

認定の審査中には、追加で次の資料を出していました。

  • 契約先との請求書と、通帳の入金の記録
  • ご主人から毎月届いている生活費の送金の記録
  • 「配偶者ビザの許可に、収入は必ずしも必要ではない」とした裁判例(東京地方裁判所 平成23年9月8日判決)

それでも、結果は不交付でした。

請求書と入金の記録で売上はわかります。

しかし経費を引いて、いくら手元に残るのかまではわかりません。

もう1年は待てないため、短期滞在から変更申請をしました

認定証明書が不交付になったときは、もう一度、認定の申請をするのが一般的です。

しかし今回の認定の審査には、約11か月かかりました。同じように待てば、ご夫婦はさらに1年近く離れて暮らすことになります。

ご夫婦は、ご主人が来日したらいっしょに事業をする予定で準備をしていました。ご家族にとって、これからさらに1年待つことはできない状況でした。

そこで、ご主人が短期滞在で来日しているときに、配偶者ビザへの変更申請をしました。

短期滞在からの変更には「やむを得ない特別の事情」が必要

短期滞在からの変更申請について、入管法には次のように書かれています。

ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。

出典:出入国管理及び難民認定法 第20条第3項

「やむを得ない特別の事情」と聞くと、難しく感じるかもしれません。

しかし私は、日本人と結婚をしていること自体がこの事情に当たると考えています。

日本人が家族といっしょに日本で暮らすことは守られるべき権利だからです。

今回は、その上で、1年近く離れて暮らすことがご家族の生活に与える影響を、申請理由書で説明しました。

変更申請をするときの注意点

短期滞在からの変更申請には、注意点もあります。

  • 申請は、短期滞在の在留期間が終わる前にしなければいけません
  • 審査中に在留期間が過ぎても、在留期間が30日を超える方は、最大2か月まで日本にいられます(特例期間。入管法第20条第6項)
  • 特例期間が終わるまでに結果が出ないと、日本にいられなくなるおそれがあります
  • 不許可になったときは、日本から出国をしなければいけません

ただ、入管もそこまでひどくありません。今回と同じように、延長された2か月間(特例期間)が終わるまでには結果を出してくれます。

今回は特例期間3日前に電話で結果が出ましたが…

確定申告と同じ形の収支表で収入を説明しました

変更申請では、不交付の理由になった生活費の説明をもう一度やり直しました。

奥様は改行したばかりでまだ確定申告をしていません。

そこで、はじめての確定申告の前に確定申告と同じような収支表をご用意いただきました。

提出した書類

書類内容
半年分の収支集計表売上高・仕入高・旅費交通費・支払手数料など、確定申告と同じ勘定科目でまとめた表
契約先ごとの明細契約先ごとの売上・交通費・宿泊費など差し引きの利益
申請理由書契約先と売上を並べ、今後の事業の分担を説明
預金の資料奥様の銀行・証券口座と、ご主人の口座の残高

収支表で大切なこと

ご用意いただいた収支表には、次の3つのポイントがありました。

  1. 売上ではなく、経費を引いた「所得」を見せる
    • 売上が大きくても、経費が多ければ生活できるお金は残りません
    • 契約先ごとに経費を引き、手元に残る金額がわかるようになっていました
  2. 確定申告で認められない経費は入れない
    • 出張中の食費のように、事業の経費として認められにくいものは外してありました
    • 所得を大きく見せようとすると、あとで確定申告の数字と合わなくなります
  3. 請求書や通帳とつながるようにする
    • 表の数字が、請求書や通帳の入金で確かめられるようになっていました

配偶者ビザの許可が取れたあとも、更新のときには課税証明書・納税証明書を出します。

そのとき、申請で説明した収入と、確定申告の数字が大きく違うと、説明を求められるかもしれません。

「確定申告に耐えられる」数字で説明しておけば、更新のときにも説明がしやすくなります。

最近は、日本でどうやって生活費をまかなうのかをとても厳しく見られています。

個人事業主の方は、その説明を数字でわかりやすく見せることが大切かと思います。

結果:配偶者ビザの許可が取れました

審査の結果、短期滞在から配偶者ビザへの変更の許可が取れました。

許可のあとは住所の届出をしてください

短期滞在から変更したときは、在留カードに住所が書かれていません。

許可が取れたら市区町村の役所で転入届をしてください。

あわせて、国民健康保険・国民年金の手続きもしなければいけません。

私が感じたこと

今回の事例で私が感じたのは、配偶者ビザの審査で生活費の説明が厳しくなっているということです。

認定の審査中には、請求書や通帳の入金の記録、裁判例まで出して説明をしました。

それでも、結果は不交付でした。

これから配偶者ビザを申請する個人事業主の方は、売上だけでなく、経費を引いて手元にいくら残るのかまで準備をしてください。

確定申告がまだの方も、確定申告と同じような収支表で説明することができます。

JOY行政書士事務所にできること

個人事業主や、開業したばかりの方の配偶者ビザ申請は、収入の説明が難しいかと思います。

JOY行政書士事務所では、売上や経費の資料をお預かりし、入管に伝わる形に整えて説明します。

私自身、過去に「無職(開業準備中)」の状態で、SNSで知り合った妻の配偶者ビザ申請を行い、許可を取得した経験があります。

当事務所で申請をした案件が不許可になったときは、再申請まで責任をもってサポートします。

今回のように、ご夫婦の事情にあわせて、認定の申請か短期滞在からの変更かをいっしょに考えます。

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