名古屋では百貨店に入っているような飲食店でも外国人留学生がアルバイトをするようになってきました。語弊があるかもしれませんが、高級志向のレストランでさえ料理を運ぶのは外国人留学生です。

そのような現状を踏まえ、「特定技能」14業種の中で最も多く外国人留学生が就職する業種は飲食業(飲食店)だと考えられます。

慣れた環境を変えたくない留学生の感情にもマッチしていますし、いままで「技術・人文知識・国際業務」で不許可になってきたアルバイト先のニーズにもマッチしています。

しかし技能実習生の受け入れ経験のない飲食店が在留資格「特定技能」の許可を取るのは難しいものだと思われます。

アルバイトをしている外国人留学生が「特定技能」の許可が取れるように、アルバイト先の飲食店はアルバイトをしている外国人留学生と何をしたらいいのでしょうか。

飲食店が外国人留学生にさせること

飲食店が外国人留学生にさせること=外国人留学生がすべきことです。外国人留学生を採用する際は以下のことに気をつけなければいけません。

  • 日本語能力試験N4レベル相当に達していること
  • 外食業特定技能1号技能試験に合格していること
  • オーバーワークをしていないこと
  • 学校を途中で辞めないこと

技能測定試験の受験資格に”退学、除籍となった留学生”は受験資格がないと書かれています。これは在留資格「特定技能」の要件でもあります。留学生が学校を辞めて技能測定試験に集中したいといっても学校を辞めさせないでください。

学校を退学・除籍になって「特定技能」の申請が不許可になったときは、一度帰国をして呼び寄せることになります。

日本語能力

日本語能力は「日本語能力試験N4レベル」ですので、N4に合格する必要はないと言われています。しかし出入国在留管理局は”説明責任は申請人にある”といった書類主義です。どちらにしろ日本語能力を証明できる書類が必要となりますので日本語能力試験N4の合格通知書が必要です。

専門学校は外国人留学生にN2を目指すように指導します。私が勤めていた学校もN3、N4を受験させません。そのためいくらアルバイト先が「特定技能」のためにN4を受験しなさい、と留学生に伝えてもN4の受験は難しいと思われます。

日本語能力試験(JLPT)は7月、12月の年2回しか受験できません。忘れずに受験をするように勧めてください。

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)も日本語能力の証明になります。日本語能力試験の代わりに受験をしてください。

外食業特定技能1号技能試験

第1回目の外食業特定技能1号技能試験は2019年4月25日に終わりました。第1回目の試験はアルバイト先が団体で申し込んだため応募初日で定員オーバーになり、法人申請のため急遽4月26日も試験をしました。

つい先日、第2回目の外食業特定技能1号技能試験の試験日が発表されました。

試験日は
2019年6月24日(月) 札幌市、仙台市、岡山市
2019年6月27日(木) 東京都、大阪市、名古屋市
2019年6月28日(金) 東京都、福岡市

前回の試験は東京・大阪の2会場でしたが、今回は7会場で試験が行われます。試験の申し込みは5月下旬から始まります。第2回もすぐに定員オーバーになることが予想されますので、申込日は要チェックです。

外食業特定技能1号技能試験は3種類あります。
Aタイプ:標準的な採点
Bタイプ:「飲食店管理」の配点が高く、「接客全般」の配点が低い
Cタイプ:「接客全般」の配点が高く、「飲食店管理」の配点が高い

問題数は変わらず45問ですので、外国人留学生のアルバイト業務によって問題を選べます。

しかし無勉強で合格できるほど簡単な試験ではないでしょう。「特定技能」の許可要件には”一定程度の技能水準”を要する業務であること、と明記されています。誰でも合格する試験では”一定程度の技能水準”は測れません。

アルバイト先は一般社団法人日本フードサービス協会がHP上でアップしている外食業技能測定試験学習用テキストで勉強するように、外国人留学生に伝えてください。

オーバーワークの対処

在留資格更新・変更をする際に出入国在留管理局は「狭義の相当性」を確認します。
「狭義の相当性」とは、在留期間中の在留状況の良し悪しです。外国人留学生の場合は出席率・成績のほかにアルバイト状況を確認されます。

アルバイトをしている外国人留学生を「特定技能」で雇うのなら、外国人留学生が資格外活動許可を得ているか、週28時間(長期休暇期間は週40時間)を守っているか確認をしてください。

もし現在のアルバイト先で週28時間を超えている場合、「特定技能」の変更は諦めてください。留学生はもちろん勤務先も「特定技能」の許可要件に達していないため不許可となります。
「特定技能」の受入れ機関=勤務先は入管法・労働法を遵守していることが規定されています。オーバーワークは入管法違反になりますので「特定技能」で外国人を受け入れることができません。

私のところは入管法、労働法を守り外国人留学生に違法行為をさせていない!

と、お怒りのアルバイト先ばかりかもしれません。

しかし、お気つけてください。
飲食店でアルバイトをしている外国人留学生は、留学生の中でもかなり優秀です。日本に慣れています。ごまかし方も覚え、アルバイトをかけ持ちしています。内緒で2カ所、3カ所でアルバイトを行い、1カ所ずつで週28時間、合計56時間アルバイトをしている留学生もいます。

留学生は渡航費・学費と100万円以上のお金を支払って日本に来ています。そのお金は家族・親族・知り合いから借りたお金であったり、誰かに返さないといけないお金です。また日本の10万がベトナムの100万、10倍の価値があります。ほかの国ではもっと日本円の価値が高くなります。そのため1年間で200万円、300万円稼いでしまう留学生がいます。

外国人留学生を「特定技能」で採用する方法

オーバーワークは外国人留学生をアルバイトで採用する際に確認をするべきです。

  • ほかにアルバイトをしていないか
  • 必ずアルバイトの時間を守るのか

必要でしたら前年度の課税証明書を提出させて確認をします。

安全を期すなら、日本語学校や専門学校に直接アルバイト求人を出してはいかがでしょうか。学校が留学生にオーバーワークをさせることはありません。留学生がオーバーワークをすると出入国在留管理局の学校の評価に影響します。

アルバイト先と学校との関わり方ですが、留学生の能力によっては卒業後に「特定技能」で採用する場合があることを学校に伝えたほうがいいと思います。外国人留学生の就職率を上げたい専門学校なら「特定技能」の採用を見据えたアルバイト求人は喜びます。留学生のオーバーワークも学校が厳しく指導をしてくれるでしょう。

「特定技能」の受入機関は、特定技能外国人の支援をしなければなりません。登録支援機関に委託することも可能ですが、もともとアルバイトをしていた外国人留学生を「特定技能」で採用することで、支援がスムーズになります。受入機関の負担が減るはずです。