新しい在留資格「興行」(興行ビザ)の許可の条件によって、海外の大物アーティストが長期間日本でツアーができるように、また新人アーティストが気軽に日本で活動ができるようになりました。

では、変更前の興行ビザからどの許可の条件が緩和され、変わるのでしょうか。

確認をしていきます。

緩和される興行ビザ基準2号の条件

興行ビザは興行の規模・種類によって4号までありました。

3号はスポーツ選手のための興行ビザ、4号は芸能活動のための興行ビザです。

歌手・バンド・演劇の方の興行ビザは1号と2号で審査をされていました。

今回の変更で1号と2号がひとつにまとまり、3号と4号が繰り上がります。

基準2号は基準1号ロとなります。

基準2号が基準1号ロになって変わったこと

1.滞在期間「30日以内」で長期ツアーが可能に

今までは報酬が1日につき50万円以上あり、かつ15日を超えない期間しか日本に滞在できませんでした。今後は30日以内の滞在ができるようになります。

2.立ち見を含め、飲食物の有償提供を認めてライブハウスなどでライブができるように

今までは客席で飲食物を有償で提供しない、入場料に飲食料金が含まれず、客の接待をしない定員100人以上の施設でないと許可は取れませんでした。

今後は客席数は立ち見を含めるようになり、お酒を提供するライブハウスなどでも開催できるようになります。

3.国や学校など公的イベントに出演

こちらの条件は変更ありません。

ひとつになった興行ビザ基準1号

上でご説明したとおり、興行ビザ基準1号と2号は1号にまとめられ、イ・ロ・ハに許可の条件がわかれました。

必要書類といっしょに確認をしていきます。

基準1号イ

申請人が次のいずれにも該当して、日本の公私の機関と締結する契約に基づく

  • 外国人の興行にかかわる業務に通算して3年以上の経験がある経営者か管理者がいる
  • 経営者・管理者が法律違反をしていない
  • 過去3年間に締結した契約で興行の在留資格を持って在留する外国人に報酬をしっかりと支払っている
  • 以上を踏まえ、外国人の興行にかかわる業務を適正に遂行する能力がある
  • 風営法第2条第1項第1号から第3号までに規定する営業を営む施設以外で興行をする

いずれにも、ですのですべてに該当していないといけません。

すべてに該当をすれば今までのような細かい条件が必要なくなります。

基準1号イは招へい会社(プロモーター)と会場が条件の興行ビザといえます。

必要書類
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 申請人の経歴、活動がわかる文書
  • 招へい会社の登記事項証明書
  • 招へい会社の直近の決算文書
  • 招へい会社の概要がわかる資料
  • 招へい会社の経営者、職員の名簿
  • 招へい会社の経営者の3年以上業務経験がわかる文書
  • 申立書その1、その2
  • 興行を行う施設の概要がわかる資料
  • 興行の各契約書
  • 滞在、公演日程表

基準1号ロ

申請人の活動が次のいずれかに該当していること

  1. 国、地方自治体、独立行政法人、学校などで行う
  2. 国、地方自治体、独立行政法人の資金援助を受けて設立された機関が主催する
  3. 外国の情景、文化を主題として観光客を招致するために外国人による演劇などの興行を常時行っている敷地面積10万㎡以上の施設で行う
  4. 客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(営利を目的としない日本の施設、または客席部分の収容人数が100人以上である者に限る)
  5. 報酬の額が1日につき50万円以上、かつ、30日を越えない期間で行う

上でご説明したとおりです。

客席において飲食物を有償で提供しない=客席ではない場所(カウンターなど)で飲食物を購入して客席に持っていくことは認められます。

今までは客席が100人以上必要でしたが、収容人数が100人以上で大丈夫です。立ち見などでも問題ありません。

滞在期間が15日から30日に伸びたことで長期ツアーが可能になりました。

基準1号ロは会場の規模が許可の条件といえます。

必要書類
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 申請人の経歴、活動がわかる文書
  • 招へい会社の登記事項証明書
  • 招へい会社の直近の決算文書
  • 招へい会社の概要がわかる資料
  • 招へい会社の従業員名簿
  • 興行を行う施設の営業許可書のコピー
  • 間取りなどがわかる施設の図面
  • 施設の写真(客席、控室、外観など)
  • 興行の各契約書
  • 滞在、公演日程表

基準1号ハ

申請人の活動が次のいずれにも該当する

  1. 申請人が次のいずれかに該当していること
    ※ただし、1日の報酬が500万円以上のときはこの限りではない。
    ・外国の教育機関で2年以上該当する活動の科目を専攻していた
    ・外国で2年以上の経験がある

  2. 申請人が20万円以上の契約をして次のいずれにも該当する
    ※ただし、主として外国の民族料理を提供する飲食店の運営者と20万円以上の契約をして、この飲食店で民族音楽に関する歌謡、舞踏、演奏をするときはこの限りではない。
    ・外国人の興行にかかわる業務について通算して3年以上の経験を持つ経営者、管理者がいる
    ・5名以上の職員を条件で雇用している
    ・経営者、管理者が法律違反をしていない
    ・過去3年間に締結した契約で興行の在留資格を持って在留する外国人に報酬をしっかりと支払っている

  3. 演劇などが行われる施設が次のいずれの要件にも適合していること
    ・不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設である
    ・風営法第2条第1項1号の営業を営む施設のときは、次のいずれの要件も適合していること
     ⑴接待をする従業員が5名以上いる
     ⑵客の接待をする恐れがない
     ⑶13㎡以上の舞台がある
     ⑷9㎡以上(出演者が5名以上のときはそれ以上)の控室がある
     ⑸施設の従業員が5名以上いる
     ⑹常勤の職員が法律違反をしていないこと

基準ハは招へい会社、会場の規模が許可の条件をクリアしていないときの条件となります。

必要書類
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 申請人の経歴、活動がわかる文書
  • 招へい会社の登記事項証明書
  • 招へい会社の直近の決算文書
  • 招へい会社の概要がわかる資料
  • 興行を行う施設の営業許可書のコピー
  • 施設の図面
  • 施設の写真(客節、控室、外観など)
  • 招へい機関の経営者、職員の名簿(5名以上雇用していることが必要)
  • 招へい機関の経営者の3年以上業務経験がわかる文書
  • 申立書1号ハ
  • 過去3年間の興行契約で支払い義務を履行したことがわかる資料
  • 興行の各契約書
  • 出演施設会社の登記事項証明書
  • 出演施設会社の直近の決算書
  • 出演施設会社の概要がわかる資料
  • 出演施設会社の職員名簿(5名以上雇用していることが必要)
  • 申立書1号ハ
  • 滞在、公演日程表

JOY行政書士事務所にできること

簡単ながら新しい興行ビザの許可の条件を確認いたしました。

  1. 大物アーティストは1回の申請で30日以内の滞在ができるようになります
  2. ライブハウスなど飲食物を有償で提供する施設で興行ができるようになります
  3. イベント主催者に3年以上の実績があり、風営法第2条第1項第1号から第3号までに規定する営業を営む施設以外であれば申請人の経験や施設の規模が免除されます

日本で多くのアーティストが活躍できるように、興行ビザでわからないことがありましたらJOY行政書士事務所までお問い合わせください。

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