外国人の方が家族を日本に呼び寄せるとき、「家族滞在」の在留資格が必要です。外国人の方のための配偶者ビザは(永住などを除けば)ありません。そのため非常に厳しい就労制限がされています。
そのような「家族滞在」の就労制限を時間と給料から考えていきます。
「家族滞在」は働くことができない
大前提として「家族滞在」は働くことができません。「家族滞在」で日本に滞在している外国人の方が働くには外国人留学生と同じように資格外活動許可申請が必要となります。
資格外活動ですので勤務時間、勤務内容が制限されています。勤務時間は包括許可の場合、週28時間以内で一部をのぞいてどんな仕事もできます。(外国人留学生と違い「家族滞在」には長期休暇がありませんので週40時間働くことはできません)
個別許可の場合、時間の制限はなくなりますが就労ビザで認められた仕事しかできません。
外国人留学生の夫婦が学費負担を減らすため、またアルバイト代を稼ぐために夫婦の一方を「留学」から「家族滞在」に変更しますが、包括許可では留学生のときよりもアルバイト時間は減ります。
上記の方法は学校に残った一方が無事に就職ができて就労ビザに変更ができれば問題ありません。しかし就職もできずに留学ビザの期限が過ぎてしまうと夫婦ふたりとも帰国をしなければいけなくなります。
就労ビザは学歴が大切です。母国で大学を卒業していない外国人留学生が学校を辞めるということは、いくら夫婦のどちらかが学校に残っているといってもとてもリスキーな選択となります。
夫婦ともに学校を卒業し、就労ビザの許可が取れるまでは一緒に勉強をがんばったほうがいいでしょう。
就労ビザの方の配偶者として日本に滞在する外国人=「家族滞在」の方も風俗営業等で働くことはできません。また週28時間しか働くことができないのは上記の説明通りです。
就労ビザの方の配偶者の注意点
ただし、週28時間以内なら問題がないわけではありません。”扶養の範囲内”で働くことが必要です。
「家族滞在」とはメインで日本に滞在する外国人の方(就労や留学)にぶら下がっている在留資格です。配偶者のことを被扶養者とも言いますが、その被扶養者が扶養者の収入を超えると立場が逆転してしまいます。扶養をしてもらう立場を守らないと「家族滞在」が不許可になるケースもあります。
税金でも働きすぎはよくありません。
名古屋を例に出すと、扶養者が1000万円以下の所得の場合、被扶養者(配偶者)の給料が103万円を超えると被扶養者(配偶者)に税金がかかるようになり、150万円を超えると健康保険・年金の支払い義務が出てきます。
(201万円を超えるパターンもありますが、201万円を超えたらオーバーワークです)
外国人の方ですと、課税証明書を見たことがあると思います。どんなことが書かれているのか難しく、日本人でも理解ができませんが…なぜ被扶養者(配偶者)の給料が103万円を超えると税金がかかるようになりるのか見ていきます。
まず給料が低い人は税金が免除されます。
給料が低いとは”給料が38万円以下”のことを言います。
38万円と聞くととても少なく思いますが、38万円に65万円を足した103万円が上限です。
これを日本では「103万円の壁」といいます。
急に出てきた65万円ですが、これは給与所得控除のお金です。よく会社の社長が”車を買うのに経費で落とす”と言っていますね。経費とは会社を運営するのに必要なお金のことです。会社に必要なお金なので会社の収入(お金)から引くことができます。
サラリーマンには経費が認められていない、とグチを言う人がいますがそれは勘違いです。サラリーマンなど会社で働いている人は給与所得控除として最初から65万円分の経費(仕事に必要なお金)が認められています。
課税証明書をご確認ください。所得が160万円だとすると、65万円が引かれた95万円が所得として書かれていると思います。その所得の95万円に所得税などの税金がかかります。
収入=働いた給料
所得=控除(仕事に必要なお金)を収入から引いたお金
オーバーワークをした外国人留学生はたまに所得の金額を見てしまいますが、オーバーワークを確認するときは収入のお金を見てください。収入が働いた分のお金です。
103万円を超えると出入国在留管理局に捕まるわけではありません。アルバイト代から税金が引かれるだけです。夫婦合わせた収入がマイナスになることはありません。
しかし上記で説明したとおり被扶養者の給料が高いと”扶養の範囲内”をオーバーしていると配偶者の会社に判断されます。会社によっては扶養手当が支給されますが、扶養をオーバーして働いてしまうと扶養手当が支給されなくなります。103万円を超えて働いたほうがお得なのか、扶養手当のほうがお得なのか配偶者の会社に確認してください。
まとめ
外国人留学生の「家族滞在」の場合、在留資格の申請では扶養者・被扶養者(配偶者)の関係ですが、健康保険や税金ではふたりを別々に扱います。扶養手当もありませんので週28時間以内であれば103万円以上働いてもふたりが税金を支払うだけで問題ありません。
しかし留学ビザから就労ビザに変更し、扶養者がサラリーマンになると注意が必要です。
扶養者・被扶養者(配偶者)とも国民健康保険から会社の健康保険に切り替わります。会社の健康保険は被扶養者(配偶者)の支払いが免除されます。ところが被扶養者の給料が103万円を超えると一定の条件で被扶養者が自分で健康保険(国民健康保険)を支払わなければいけなくなります。
扶養手当か健康保険を支払うか。
アルバイト代が一定の金額を超えると税金が高くなって夫婦ふたりの収入がマイナスになるかもしれません。
学生時代と同じようにアルバイトをすると会社にも迷惑がかかります。
十分に注意をしてください。