初期必要を抑えるために、またテレワークがメインとなり事務所が必要なくなり、バーチャルオフィスと契約をして会社を設立する方たちが増えています。
日本人経営者なら問題はありませんが、外国人取締役がバーチャルオフィスの会社に就任をして経営・管理ビザの許可は取れるのでしょうか。
確認をしていきます。
経営・管理ビザで働くことができる2つの仕事
経営・管理ビザは外国人経営者が日本で会社を設立することをイメージしますが、2つの仕事で許可が取れます。
経営と管理です。
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(入管法別表第一の二の表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。) 出入国在留管理局のホームページより
ただ「経営」と「管理」では許可の条件がちがいます。
「経営」の条件
- 申請に係る事業を営むための事業所が日本に存在していること。ただし、事業が開始されていない場合にあっては、事業を営むための事業所として使用する施設が日本に確保されていること
- 申請に係る事業の規模がいずれかに該当していること
イ その経営または管理に従事する者以外に日本に居住するふたり以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること
ロ 資本金の額または出資の総額が500万円以上であること
ハ イまたはロに準じる規模であること
1と2、いずれにも該当していないと経営の許可は取れません。
「経営」は外国人経営者が日本で会社を設立するためのビザのイメージがありますが、設立をされている会社に取締役として就任するときも「経営」の申請をします。
「管理」の条件
- 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営または管理について3年以上の経験を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
管理者とは部長、工場長、支店長などが該当します。
日本に事業所が存在しているとは?
経営・管理ビザで1番問題になるのは事業所の条件です。
「日本に事業所が存在していること」とは、一定の場所=一区画を占めて行われていること&サービスの生産または提供が人・設備を有して継続的に行われていること、とされています。
バーチャルオフィスは登記ができますが、一定の場所・区画を占めているわけではありません。
バーチャルオフィスで登記をしている会社の住所をネットで検索すると、同じ住所の会社がたくさんヒットします。
これでは「一定の場所・区画を占めている」とはいえず、登記をされていても「日本に事業所が存在していること」にはなりません。
バーチャルオフィスでは経営・管理ビザの許可は取れません。
レンタルオフィスも個室がないと難しく、フリースペースのレンタルオフィスでは経営・管理ビザの許可は取れないでしょう。
これは日本人がすでに経営をしている会社に就任する外国人取締役でも同じです。
バーチャルオフィスの会社に外国人取締役が就任するとき
日本人であればバーチャルオフィスで会社を設立して、自宅で会社経営をしても問題ありません。
バーチャルオフィスの秘書サービスを利用し、郵便のやり取りをしても経営に支障はありません。
ただバーチャルオフィスで設立をした会社に外国人取締役が就任をしても経営・管理ビザの許可は大変難しくなります。
上でご説明したとおり、日本に事業所が存在していない会社では経営・管理ビザの許可の条件をクリアできません。これは外国人経営者が会社を設立するための条件ではなく、経営・管理ビザの許可の条件だからです。
もしご自分の会社で外国人取締役が就任するのでしたら、バーチャルオフィスとは別のオフィスを設立するしかありません。レンタルオフィスでも問題ありませんので、一定の場所・区画を占める事務所をご用意ください。
この場合、本店登記の移転をする必要はありません。別に独立したオフィスがあること、外国人取締役がそのオフィスで勤務することを説明すれば許可が取れる可能性があります。
私の依頼人で許可が取れたケースがあります。
まとめ
経営・管理ビザでできる仕事と、許可の条件を確認いたしました。
バーチャルオフィスでは「日本に事業所が存在していること」の条件をクリアできません。
これは外国人経営者が会社経営を始めるときの許可の条件と勘違いされてしまいそうですが、日本人経営者がすでに設立をしている会社に外国人取締役が就任するときにも審査をされます。
バーチャルオフィスで経営をする会社に外国人取締役が就任するときでも経営・管理ビザの条件をクリアしていないといけません。
バーチャルオフィスとは別にオフィスを用意して、設備などを整えてから外国人取締役を招へいしてください。