結婚紹介所からの紹介、知人の紹介、国際結婚は短い付き合いながら結婚することがあります。それは日本人と結婚をするときと変わりません。しかし、国際結婚の場合は知らず知らずのうちに”偽装結婚”の片棒を担いでしまう可能性があります。
なぜ”偽装結婚”がなくならないのか
昔は街中の電柱を見ると「○○人を紹介します」なんて張り紙があったものです。今は張り紙をするのにも許可が必要ですのでこのような張り紙も減ってきました。しかしインターネットで検索をすると国際結婚の紹介会社はたくさんあります。
もちろん、すべての会社が”偽装結婚”をあっせんしてるわけではありません。真摯になってふたりの縁を取り持ってくださる会社がたくさんあると思います。
しかし、そのようなしっかりとした会社でも登録をしている外国人の本音まではわかりません。
評判の高い会社に登録をし、まじめなプロフィールの異性と縁があり国際結婚をします。在留資格も無事に許可が取れ、いざ日本に来ると言っていた日に空港に迎えに行くと、入国ロビーから相手が出てこない。心配になって連絡をすると、相手はすでに日本に入国をしていて別の男の家にいる。そんなケースもあるようです。
”偽装結婚”には在留資格において大きなメリットがあります。それは就労の制限がないという点です。
在留資格には就労系と身分系と区別されます。就労系は「技術・人文知識・国際業務」や新しくできた「特定技能」が含まれます。これら就労系の在留資格は日本で働くことができますが、細かい制限が定められています。
例えば「技術・人文知識・国際業務」は単純作業ができません。レストランのキッチンやホールの仕事はできず専門卒・大卒以上の学歴が必要になります。このような単純作業ができるように「特定技能」が新しくできましたが、各団体が定める技能試験に合格しなければいけません。
しかし「日本人の配偶者等」などの身分系の在留資格には就労の制限がありません。日本人と結婚するだけですべての業務で働くことができます。
また「留学」や「家族滞在」など資格外活動で行うアルバイトと違い就労時間の制限もありません。週28時間以上働くことができる身分系の在留資格は経営者にとってもありがたい存在です。
”偽装結婚”は見破ることができない!?
昔の”偽装結婚”は身分貸しが多かったように思います。自分の身分を貸して(売って)、”偽装結婚”をするのです。
この場合は日本人本人も偽装結婚に加担していることをわかっています。外国人側の結婚証明書も偽造が多いため出入国管理局によって水際で止めることもできました。
しかし最近の”偽装結婚”は上記のように、日本人は本気で結婚をしたものだと考えています。日本・海外、ふたつの国に正式の婚姻届を提出し、私的にも公的にもふたりの結婚は認められています。出入国管理局に提出する書類も正式な婚姻証明書のため、付き合った期間は短く審査は難航するかもしれませんが「日本人の配偶者等」の許可が取れます。
ここまでくると書類的には”偽装結婚”ではありません。正式な証明書を提出し、在留資格の許可もVISAの許可も取れています。日本人は本当に国際結婚したものだと考え、外国人の来る日を心待ちにしています。
しかし「日本人の配偶者等」の在留カードを手に入れた外国人はそのまま行方をくらませてしまいます。
VISAも在留カードも正式なもので、在留期限がすぎるまで警察官もわからないでしょう。
”偽装結婚”に騙されたときにすること
組織的な犯罪だった”偽装結婚”が個人的な犯罪になってきたのかもしれません。「日本人の配偶者等」の在留資格のメリットを一般の外国人もわかってきて”偽装結婚”をしようと考える外国人が増えたのかもしれません。
もし”偽装結婚”に騙された場合はすぐに離婚をするべきです。「日本人の配偶者等」は身分系の在留資格のため日本人の配偶者ではなくなると在留資格の根拠がなくなります。日本に一度上陸したらずっと「日本人の配偶者等」でいられるわけではありません。すぐに離婚の手続きをし、相手の在留資格の根拠をなくすべきです。
また在留資格はその在留資格に見合った活動をしていなければいけません。「日本人の配偶者等」の場合、同居が重要な要件となります。いくら愛し合っていても同居をしていなければ「日本人の配偶者等」が不許可になるケースもあります。
相手が日本に来て一日も同居せず行方をくらませたなら、すぐに出入国管理局に報告をするべきです。離婚には時間がかかるかもしれません。その間、相手が勝手に在留資格の更新をしても不許可になるように出入国管理局に報告をするべきでしょう。
日本人と離婚をした外国人の方は「定住者(離婚)」の在留資格の許可を取ることで日本に残ることができます。しかし「定住者」は特別な理由がない限り結婚期間が3年以上必要です。夫婦としての生活が1年も満たないときは、どのような在留資格も申請はできません。
相手はすでに在留期限の残った在留カードを持っています。在留カードを確認しただけでは不法滞在かわかりませんが、これ以上相手が日本に滞在できないような対応ができます。
まとめ
自分は本当に愛していて、正式な婚姻届を提出したのに”偽装結婚”になってしまう。お金のために自分を踏み台にした相手です。
もし騙されてしまったときは毅然とした態度で離婚をし、出入国管理局に報告をしてください。