在留資格「日本人の配偶者等」、いわゆる配偶者ビザを申請するとき、出入国在留管理局に証明をしないといけないことが2点あります。
- 偽装結婚ではないこと
- 安定的・継続的に日本で生活ができること
偽装結婚ではないこととは、ウソの結婚でないことを証明します。
安定的・継続的に日本で生活ができることとは、ご夫婦の収入についての証明です。出入国在留管理局は公共の負担になること=生活保護の対象となることをあまりよく思っていません。
そのため、ご夫婦の収入について丁寧な説明が必要となります。
収入はいくら必要なのか?
そもそも出入国在留管理局が考える安定的・継続的に日本で生活ができる収入の金額がわからなければ証明ができません。
出入国在留管理局は年収がいくらあれば安定的・継続的に日本で生活ができると考えているのでしょうか。
一般的には、ご夫婦ふたりで165万円以上といわれています。お子さんがひとり増えるごとに75万円がプラスされるとお考えください。
夫婦ふたり165万 + 子どもひとり75万 = 240万円の収入が必要になります。
この165万円は突然出てきた金額ではありません。国が定める最低生活費=生活保護の受給額以上が目安となります。
そして生活保護の受給額は憲法25条が規定する「生活権の保障」に基づいています。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
日本国憲法
在留資格の申請は法律に基づいて審査をされます。配偶者ビザで必要とされる収入の条件は、憲法25条が規定する”最低限度の生活”がもとになっていると考えられます。
収入を証明する方法
出入国在留管理局のホームページでは日本での滞在費用を証明する資料として以下の資料が案内されています。
- 住民税の課税証明書と納税証明書
- 預金通帳のコピー
- 雇用契約書
住民税の課税証明書と納税証明書はお住いの市役所で取得できます。前年の収入が課税証明書で、前年の納税額と滞納がないことが納税証明書でわかります。
納税証明書は慣れないと見方がわかりませんが、未到来納税額は税金の支払い日がまだ来ていません。未到来納税額に金額が書かれていても問題ありませんが、未納額があるといくら収入が165万円を超えていても安定的・継続的に日本で生活ができるとはいえませんので、申請が不許可になるかもしれません。
ご夫婦ともに外国に住んでいる場合、前年の課税証明書と納税証明書が提出できません。そのようなときは銀行の残高証明書や銀行通帳のコピー、または日本で働く会社の雇用契約書などを提出して収入の証明をします。
収入が少ない、収入がないときに配偶者ビザを申請するとき
収入が少ない、収入がないときに配偶者ビザを申請をしなければいけない方は、出入国在留管理局が指定する資料以外を用意して安定的・継続的に日本で生活ができることを証明しなければいけません。
では、どのような資料を用意すればいいのでしょうか。ひとつずつ確認をしていきます。
課税証明書の金額が少ないとき
課税証明書は”収入”と”所得”の金額が書かれています。たまに所得の金額を見て少ないと焦られる方がいますが、所得は控除が引かれた金額ですので収入よりも少なくなります。
収入 - 控除など = 所得 = 税金を計算する金額
課税証明書は必ず収入の金額を見てください。
課税証明書は前年の収入を証明しますが、毎年6月に更新されますので6月より前に取得すると2年前の収入になってしまいます。
2年前の収入が少ないときは6月より後に配偶者ビザの申請をしてみるのもひとつの方法です。2年前よりも昨年のほうが収入が多ければ、新しい課税証明書を提出すれば問題ありません。
ただお相手の方の在留期間によっては急いで申請をしないといけません。そのようなときは先に申請をして、新しい課税証明書を追加資料としてあとで提出します。
新しい課税証明書を取得しても収入が少ないとき、または前年は無職だったため収入がないときは雇用契約書や給料明細を提出します。出入国在留管理局が考える安定的・継続的とは3カ月の勤務実績です。3カ月分の給料明細を提出できるとより効果的です。
働き始めたばかりで給料明細が3カ月分も提出できないときは、追加資料としてあとで提出すれば問題ありません。
ご夫婦で長年外国にいるとき
ご夫婦が外国にいるときは課税証明書が提出できません。そのときは貯金残高や銀行通帳のコピーを提出します。
しかし出入国在留管理局は貯金は減っていくものと考えますし、金額が高くないと証明として認めてくれません。
また外国籍の方がご自身で申請をするとき、友だちからお金を借りて残高だけ高くして申請をされて不許可になるケースがあります。残高証明書や銀行通帳のコピーを提出するときは3カ月分の通帳記入をあわせて提出してください。
1番いいのは雇用契約書ですが、外国にいて就職先を探すのは大変かと思います。もしご両親のサポートを受けられるときはご両親の課税証明書と納税証明書を提出してください。
ただし、収入=世帯収入です。同居をしていないご両親ですと出入国在留管理局の審査が厳しくなります。またずっとご両親のサポートを受けることはできませんので、将来ご夫婦としてどうやって安定的・継続的に日本で生活ができるか説明をしなければいけません。
無職のとき
配偶者ビザは正社員ではないと許可が取れないわけではありません。私の依頼人はアルバイトのかけ持ちで許可が取れました。
無職で収入の証明ができないときは、アルバイトでもいいので始めてみてはいかがでしょうか。それだけでも十分に収入の証明となります。
収入が安定するまではご両親のサポートが必要になるかと思います。ご両親の課税証明書と納税証明書を提出するのは上と同じです。
ご夫婦の将来について丁寧に説明をしてください。
国家資格をもっているとき
現在無職であっても国家資格をもっているときはアピールをします。
看護師・栄養士・保育士など、今は事情があって無職でもすぐに就職ができること、就職をすれば安定した収入があることを説明します。
収入の説明は履歴書を書くことに近いかもしれません。自分がどのように収入を得ることができるのか、出入国在留管理局に説明をしてください。
会社の人の身元保証書は必要?
配偶者ビザに変更申請をするとき、日本人の方は無職でお相手の方が働いていると、お相手の方が働く会社の社長の身元保証書をご用意される方がいます。同じ国の社長がサポートをしてくれるのでしょう。
この身元保証書はあまり効果がないと私は考えます。
配偶者ビザで提出する身元保証書は、あくまで申請人である結婚相手が”滞在費”や”帰国費”に困ったときのサポート、また日本で法令を守ることを約束する書類です。
よく聞く連帯保証人などとは違いあくまで道徳的な約束ですので、お金に困ったときに会社の人がサポートしてくれます、という説明のための書類ではありません。
それよりも配偶者ビザの許可が取れたあとに雇用をしてくれるなら雇用契約書をご用意されたほうがいいと思います。
※ひとつ問題なのが、配偶者ビザの偽装申請・偽装結婚の目的は日本で働くことです。結婚相手の方がほかの在留資格で認められていない職業をしていて、配偶者ビザの許可が取れたあともそこで働くとなると偽装申請・偽装結婚を疑われるかもしれません。
現在働いている会社を収入の説明とするか慎重な判断が必要となります。
裁判の結果をしっかりと説明をする
実は収入が少ないことで配偶者ビザを不許可にした出入国在留管理局が裁判で負けたことがあるのをご存知でしょうか?
「経済的基盤の有無は、当該外国人が本邦において行おうとする活動が日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当するか否かを判断する上での一事情に過ぎないと解される」
入管法では配偶者ビザの審査基準は「在留資格該当性」しかありません。
在留資格該当性とは“申請する在留資格に当てはまっているか”、配偶者ビザでは“日本人と結婚をしているか”だけです。
それもそのはずで、お金がないからといって偽装結婚なわけではありません。収入が少ないからといって日本人と結婚をしたことを否定することはできません。
年収が少ないときに配偶者ビザの申請をするときは、この裁判の結果を説明をして出入国在留管理局にプレッシャーをかけましょう。
偽装結婚でなければ、配偶者ビザの許可は取れるはずです。
JOY行政書士事務所にできること
収入が少ない、収入がないときの配偶者ビザの申請方法について説明をしました。
配偶者ビザは安定的・継続的に日本で生活ができることを証明しなければいけません。証明の方法はご夫婦によって違います。今回ご紹介した方法とは違う方法もあります。今だとテレワークで外国の仕事をするご夫婦もいます。テレワークでも配偶者ビザの許可は取れます。
もし年収が少ないご夫婦で証明の方法がわからないときはJOY行政書士事務所にご連絡ください。
ご夫婦の現状と将来についてお聞かせください。私がおふたりに代わって証明をし、日本で楽しく暮らせるように書類を作成いたします。
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配偶者ビザの申請をするとき、ご夫婦の事情はみなさん違います。それでも許可を取れた事例をヒントに、JOY行政書士事務所がお役に立てるかもしれません。
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