まずは在留資格とビザの違い

外国人の方が日本で暮らすためには、在留資格が必要になります。ビザではないの? と勘違いをされている方がいますが、在留資格とビザは本来は別物です。

在留資格は、日本で暮らすため=日本に在留するための資格です。

日本には細かくわけると100種類近く(!?)の在留資格がありますが、外国人の方はこれら在留資格に該当する活動を日本でしなければいけません。外国人の方は勝手気ままに日本で生活をすることはできません。

私たち日本人が外国で生活ができないのと同じです。

ビザとは査証のことをいいます。

これはパスポートが有効なものか審査をすることで、パスポートが有効ならば在留資格がなくても日本に入国することはできます。ただし在留資格がなければ日本に入国ができても生活はできません。

たとえば、観光目的などで短期間日本に滞在をする場合は日本で生活するわけではありませんので在留資格は必要ありません。しかし日本に入国する必要があるためにビザ申請は必要です。

ノービザとは相手の国を信頼しているから査証(ビザ申請)は必要ありませんよ、といった制度です。日本は信頼国としてノービザで旅行できる外国はたくさんありますが、「ノー在留資格」で生活ができる外国はありません。

外国人の方も同じように、ノービザで日本に旅行ができても、ノー在留資格で日本で生活することはできません

日本人はノービザで海外旅行に行けますので、普段の生活で在留資格とビザの違いなんて意識はしませんが、外国人の方とお付き合いをするときはお相手の在留資格をお聞きになられることをお勧めします。

とくに将来ご結婚をお考えなら、お相手の方が現在どの在留資格で、いつまで在留期間があるのか意識をしないといけません。

どうして恋人の在留資格・在留期間を考えないといけないのか

上で説明したとおり、外国人の方は日本で行う活動によって在留資格が決まります。お相手の方と将来ご結婚をお考えなら、基本的に在留資格を「日本人の配偶者等」(よくいう配偶者ビザ)に変更しなければいけません。

在留資格「日本人の配偶者等」の条件は”日本人と結婚をしている外国人”です。「日本人の配偶者等」の申請をするのですから実際に結婚をしているわけで、簡単に許可が取れるのではないか、と考えてしまいますが、お相手の方の条件によっては大変難しい申請となってしまいます。

結婚を決めてから在留資格・ビザのことを調べていたら遅くなるケースがあります。お付き合いしている間に何カ月もすぎてしまい、その間にお相手の方が不法滞在になっていたり、不法就労をしていたりすると変更申請の不許可の確立がグッと高くなってしまいます。

そのため、外国人の方とお付き合いを考えている方、恋人が外国人の方はお早めにお相手の方の在留資格・在留期間をご確認することをお勧めしたいのです。

では、お相手の方・恋人の在留資格によって何を気をつければいいのでしょうか。有名な在留資格ごとに見ていきます。

恋人が「技術・人文知識・国際業務」のとき

在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは、世にいう就労ビザのことです。日本の会社で働くためにはこちらの在留資格の許可を取らなくてはいけません。

許可の条件は母国大卒、または日本の専門学校・大学を卒業し、学校で学習をした内容と業務内容がマッチングしていることです。

注意すること

  1. 転職をしていたら学習内容と業務内容がマッチングしているか
  2. 無職になって3カ月以上すぎていないか

「技術・人文知識・国際業務」は学習内容と業務内容がマッチングしていないといけません。もし恋人が転職をしていて(転職であなたの会社に来て)、学習内容と関係のない業務をしている場合は注意が必要です。次の在留期間更新許可申請で不許可になるかもしれません。在留期間更新許可申請が不許可になると帰国をしなければいけませんので、つらい交際になってしまうでしょう。

また在留期間が1年後であっても、会社を辞めてから3カ月以上がすぎているときは注意が必要です。

外国人の方は日本で認められた活動をするために在留の許可が取れます。「技術・人文知識・国際業務」とは日本で専門性のある仕事をするための在留資格です。無職=仕事をしていない状況が3カ月をすぎると在留資格を取り消される可能性があります。在留資格を取り消された場合は帰国をしなければいけません。

もし恋人が「技術・人文知識・国際業務」では認められない仕事をしているときや、無職のときは就職活動をするようにお伝え下さい。

このような状況が続くと、いざ「日本人の配偶者等」に在留資格を変更するときに不許可になるかもしれません。

恋人が「留学」のとき

在留資格「留学」は日本の学校に通うための在留資格です。外国人留学生は留学ビザと言っています。

許可の条件は日本の学校通うことです。

注意すること

  1. アルバイト時間を守っているか
  2. 学校を辞めて3カ月以上がすぎていないか

外国人留学生は週28時間(夏休みなどの長期休暇では週40時間)しかアルバイトができません。これは法律で決められていますので、違反をすればオーバーワーク(不法就労)となります。警察に捕まることはありませんが、在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請のときに在留状況が不良として不許可になります。

「留学」から「日本人の配偶者等」に在留資格を変更するときに収入の証明をすることはありませんが、万が一課税証明書の提出を求められてオーバーワークが発覚すると帰国をしなければいけません。「留学」の在留期間更新許可申請をするときにオーバーワークが発覚すると、突然のお別れとなってしまいます。

アルバイト先で知り合ってお付き合いをするケースもあるかと思いますが、オーバーワークにならないようにお伝えください。

「留学」の在留資格を持っているのに学校に行っていないときは、すぐにほかの在留資格に変更をするようにしてください。在留期間が残っていても関係ありません。

恋人が「日本人の配偶者等」のとき

在留資格「日本人の配偶者等」は、世にいう配偶者ビザです。日本人と結婚をした外国人の方が申請をします。

この「日本人の配偶者等」をお持ちの外国人の方は日本人と離婚をしているはずです。(離婚をしていなければ不倫です)

注意すること

  1. 離婚後6カ月をすぎていないか
  2. 再婚禁止期間にならないか

就労系の在留資格は3カ月以上その活動をしていないと在留資格を取り消される可能性があります。配偶者の在留資格はこの期間が6カ月になります。離婚後6カ月をすぎると在留資格を取り消されるかもしれません。

在留資格を取り消されるまでに結婚(再婚)をすればいいのですが、お付き合いを開始した時点で離婚後6カ月をすぎているときはお気をつけください。在留期間が残っていても恋人は日本に残っていてはいけない状況です。すぐに新しい在留資格に変更をするように勧めるか、結婚の準備をしてください。

在留期間が残っているからと離婚後6カ月がすぎてもお付き合いをしていると、「日本人の配偶者等」の在留期間更新許可申請をするときに難しい申請になると思います。

お相手の方が女性の場合、外国人であっても再婚禁止期間として100日間は結婚をすることができません

お相手の方の国によっては再婚禁止期間はもっと長くなるかもしれません。「日本人の配偶者等」の申請には外国の結婚証明書も必要です。再婚禁止期間中に在留期間がすぎてしまう場合はほかの在留資格の申請ができないか検討します。

恋人が「特定活動」のとき

特定活動は法務大臣が特別に認める在留資格です。特別に認められた在留資格ですのでたくさんあるのですが、その中の一つが”難民申請中”の特定活動です。

よく勘違いをされるのですが、「難民」の在留資格はありません。難民の申請が認められると「定住者」の在留資格になります。恋人に”難民”と説明をされて在留資格「特定活動」を”難民”の許可が取れたと勘違いをしてしまいますが、あくまで”難民申請中”の在留資格です。

注意すること

  1. ほぼ5年以内に不許可になる
  2. 在留資格の変更が難しい(ほぼムリ)

難民申請は審査に時間がかかりますが、ほぼ5年以内に不許可になります。知り合った時期にもよりますが、お付き合いをしていると突然恋人から難民申請が不許可になったと伝えられます。

難民申請が不許可になると帰国をしなければいけませんので、急いで「日本人の配偶者等」の変更申請をしますがほぼ認められません。

難民申請中の恋人と結婚をするときは、変更申請ではなく難民申請を取り下げてから「日本人の配偶者等」の申請をします。これも基本的には認められませんので、一度帰国をしてから日本に呼び戻すことになるかと思います。

まとめ

ほかにもたくさんの在留資格がありますが、有名なものを3つほどご紹介しました。

お相手の方、恋人の在留資格はなんでしょうか? 在留期間はいつまででしょうか?

それを知らずにお付き合いをすると、将来とても悲しくてつらい経験をすることになるかもしれません。好きな人と離れ離れになるかもしれません。

国際結婚をお考えなら、在留資格について無知でいることはできません。でも、入管法を隅々まで読んで勉強をすることは大変なことです。

そんなときこそ、専門家である行政書士にご相談ください。ご心配なこと、ご不安なことは在留資格の専門家までご相談ください。