今回ご依頼をいただいたのはベトナム人技能実習生の奥様と日本人配偶者のご主人でした。
技能実習生が配偶者ビザに変更をするとき、ほかの配偶者ビザの申請では求められない書類が必要です。
それが同意書です。
どうして同意書が必要なのか、だれの同意書が必要なのか確認をしていきます。
どうして同意書が必要なのか?
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
憲法 第二十四条
日本国憲法にも規定があるように、結婚は夫婦ふたりの同意があればできます。
ご両親が国際結婚に反対をされているケースがありますが、たとえだれが反対をしていてもご夫婦ふたりの同意があれば結婚は成立し、偽装結婚でない限り配偶者ビザの許可が取れます。
では、どうして技能実習生が配偶者ビザの申請をするときだけ同意書が必要なのでしょうか。
技能実習制度を確認
技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。
制度の目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されて以来終始一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。公益財団法人 国際人材協力機構のHPより
技能実習生は日本で学んだ技術・知識を母国に持ち帰るために日本に来ています。研修先の会社を変えるのも難しく、帰国後に働く会社も契約で決まっています。
たまにご相談があるのですが、結婚相談所で知り合った技能実習生が配偶者ビザの変更申請をしても不許可になるのはこのためです。
技術や知識を学ぶために日本に来た技能実習生が結婚相談所に登録をしているのはおかしな話で、このような技能実習生は日本に残るために結婚をしたのだと出入国在留管理局は判断をします。
基本的に「技能実習」から配偶者ビザに変更することは契約違反と考えられます。
そのため出入国在留管理局は技能実習生が配偶者ビザに変更申請をするときは研修先の会社と技能実習生が所属している管理組合の同意書を提出するように求めてきます。
だれの同意書が必要なのか?
結婚はふたりの同意でできますが、技能実習を途中でやめること、帰国をしないで母国の会社で働かないことは契約違反となり同意が必要です。
そのための同意書です。
上でご説明したとおり、技能実習生が研修をする会社と所属をする管理組合の同意書が必要です。
今回のケースではさらに送り出し機関の同意書を求められました。
送り出し機関とは日本で学びたい外国人を現地で募集し、日本に送り出す母国の機関です。
しっかりとした送り出し機関がある中、多額の金額を要求したり、高い違約金を設定している送り出し機関が問題となっています。
出入国在留管理局は悪徳の送り出し機関でないこと、それによって技能実習生がトラブルに巻き込まれる可能性がないことを知るために同意書を求めてきました。
しかし技能実習生と送り出し機関が違約金の設定をすることは禁じられています。
技能実習生がトラブルに巻き込まれると安定して日本で生活ができなくなる、と審査官は説明をしましたが、それをサポートするのが出入国在留管理局の役目ではないでしょうか。
私から「それは大きなお世話ではないか。ご夫婦の結婚の意思に関係がない」と説明をしましたが、ご夫婦には管理組合から確認をいただき送り出し機関の同意書を取っていただきました。
送り出し機関の同意書はめったに求められないと思いますが、研修先の会社と所属している管理組合の同意書は多くのケースで提出を求められます。
契約違反となっても問題とならないことを出入国在留管理局に説明をしてください。
育成就労ではどうなるのか?
技能実習制度が終わり、育成就労に移行していきます。
育成就労では技能実習では難しかった研修先の移動(転職)の条件がやさしくなります。
ということは、同意書がなくても配偶者ビザの変更申請ができるようになるかもしれません。
さすがに育成就労の方が結婚相談所に登録をして配偶者ビザに変更申請をするのはむずかしいと考えますが、同意書が必要なくなるだけでご夫婦の負担は少なくなります。
JOY行政書士事務所にできること
今回のケースでは送り出し機関の同意書を求められましたが、無事に技能実習から配偶者ビザに変更することができました。
結婚はご夫婦の同意で成立します。本来であれば同意書がなくても配偶者ビザの許可は取れるべきです。
しかし技能実習制度が定める契約違反になることも事実です。実際にトラブルになるケースもあるようです。
配偶者ビザの申請時期、許可が取れた後の対応などご夫婦でお話しください。
技能実習から配偶者ビザの変更申請でお困りごと、ご不安なことがありましたらJOY行政書士事務所までお問い合わせください。
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