日本の小学校・中学校・高校を卒業した外国人の方(=「家族滞在」で日本に滞在する外国人の子)は、在留資格を「定住者」に変更することで高卒でも日本で働くことができます。
また日本の高校を卒業した外国人の子は、一定の条件をクリアすることで在留資格を「特定活動」に変更をすることで高卒でも日本で働くことができます。
では、日本の小学校・中学校・高校を卒業した外国人の子が専門学校を卒業したあとに在留資格を「定住者」に変更して日本で働くことができるのでしょうか?
名古屋出入国在留管理局に問い合わせたところ、ハッキリとお答えを頂けませんでした。
「技術・人文知識・国際業務」の業務とは?
外国人の方が日本で働く場合、活動内容に合った就労ビザ=在留資格の許可を取らなくてはいけません。調理師なら「技能」、介護職なら「介護」と活動の内容によって在留資格は変わります。
日本で働く外国人の方の多くが持つ在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。これは日本の専門学校以上の学歴、母国の大卒以上の学歴が必要で、業務内容と学校で勉強した学習内容がマッチしていないと許可が取れません。
ただし、業務内容と学習内容がマッチしているからといってすべての業務で許可が取れるわけではありません。
先ほど例に出した介護職は介護の勉強をしていても「技術・人文知識・国際業務」で申請をしたら不許可になります。
「技術・人文知識・国際業務」は入管法で”理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)”と規定されているためです。
簡単に言うと、「技術・人文知識・国際業務」では理系・文系で勉強した内容しか業務として認められないのです。そのため介護職はいくら専門学校で介護を勉強しても「技術・人文知識・国際業務」では許可が取れず、在留資格「介護」で許可を取らなければいけません。
また保育などの専門学校を卒業してもその業務に対応する在留資格がないため、外国人の方は保育士として日本で働くことはできません。
日本の小中高を卒業しても保育士になれない?
「技術・人文知識・国際業務」では保育士にはなれません。もし就労ビザで認められていない仕事をしたい場合は、就労制限のない身分系の在留資格、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」や「永住者」や「定住者」の在留資格の許可を取る必要があります。
あれ、だったら日本の小中高を卒業した「家族滞在」で日本で生活をする外国人の子は在留資格を「定住者」に変更できるのだから保育士になれるかな? と思われるかもしれません。
もし高校を卒業したあとに保育士で働くのでしたら「定住者」の在留資格の許可が取れます。
しかし、保育士になるために専門学校に進学をしてしまうと「定住者」の許可は取れないかもしれません。
まず、「家族滞在」から「定住者」に在留資格を変更できる外国人の子ですが、これは高校を卒業して就職をする高校生だけに認められています。小中高を卒業した外国人の子すべてに認められているわけではありません。
”高校を卒業して就職する”と”高校を卒業して専門学校に進学をして就職をする”では、法律の条件は違ったものになります。
そのため、”私は日本の小学校・中学校・高校を卒業していて「定住者」でどんな仕事もできるから専門学校で保育を勉強したい”と「技術・人文知識・国際業務」で認められていない業務内容を勉強してしまうと、将来就職することができなくなるかもしれません。
あくまで「定住者」・「特定活動」に変更ができるのは日本の高校を卒業してすぐに就職をする外国人の子、だけかもしれません。
名古屋出入国在留管理局ではこのように難しい回答をされました。
当事務所にできること
日本の小学校・中学校・高校を卒業しても、専門学校に進学をしてしまうと日本人と同じように就職ができないのは不公平と考えてしまいますが、法律ではこのように決められています。
もし専門学校を卒業して在留資格では認められてないお仕事(保育士など)に就きたいときは、家族と一緒に永住許可申請をするしかありません。とくに日本の小学校・中学校・高校を卒業をしていれば、ご家族の方は日本で10年以上生活をしていますので、ほかの条件をクリアすれば永住の許可が取れます。
ただし、永住許可には収入要件がありますので、学生がひとりで永住許可申請はできません。ご家族の理解とサポートが必要です。ご家族が永住許可申請を考えていないときは、自分の夢を家族に説明しないといけないでしょう。
JOY行政書士事務所では専門学校の進路指導室で働いていた行政書士が在留資格の対応をしています。
専門学校に進学をして就職をすることができるのか。どのような在留資格が必要なのか。わからないときはJOY行政書士事務所までお問い合わせください。日本の高校を卒業した学生のサポートをしています。