今回ご依頼をいただいたのはアメリカ国籍を取得したことで日本国籍を喪失されたお母様とお子様です。
お母様はアメリカ国籍を取得した瞬間に日本国籍を喪失=外国籍者となりました。そのため日本人として日本に滞在することができないため在留資格が必要となります。
在留資格はたくさんありますが、お母様はどの在留資格を申請すればいいのでしょうか。
また外国籍のお子様の在留資格は何になるのでしょうか。
確認をしていきます。
お母様の在留資格は?
日本は二重国籍を認めていませんので、お母様はアメリカ国籍を取得した瞬間に日本国籍を喪失します。
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
国籍法
そのため日本人として日本に戻ってくることはできません。
国籍喪失届を日本大使館に提出しないと日本政府はご本人が日本国籍を喪失したことを把握できないため、日本のパスポートを使って旅行ができてしまいます。
しかし法律的には届出をしなくても外国籍を取得した瞬間に日本国籍はなくなっています、日本に戻ってくる方は国籍喪失届を提出して在留資格の許可を取らなくてはいけません。
お母様はアメリカ国籍を取得されたときにしっかりと日本国籍喪失届をされていました。国籍喪失届を提出してから戸籍に反映されるまで時間がかかります。親の介護など早急に日本に戻る必要がある方はご注意ください。
お母様は日本国籍を喪失していますが、日本人の実子という身分にお変わりはありません。
申請をする在留資格は「日本人の配偶者等」になります。
「日本人の配偶者等」はいわゆる配偶者ビザのことですが、”等”に日本人の実子が含まれます。
日本人の実子が「日本人の配偶者等」の申請をするときに必要な書類
- 除籍謄本(または親の戸籍謄本)
- ご両親の住民票
- 日本での滞在費を説明する資料
- 身元保証書
日本国籍喪失届を提出すると日本国籍とともに戸籍はなくなります。除籍謄本を提出して日本人の実子であること、ご両親との親子関係を証明します。
日本に来られた後はしばらくご両親と同居をされるかと思います。そのときはご両親の住民票が必要です。
ご両親と同居をしないときは滞在場所の説明が必要となります。
日本での滞在費を説明する資料ですが、日本人の実子で「日本人の配偶者等」の申請をする方の多くは外国に住んでいると思います。そのため課税証明書・納税証明書を提出することができません。
この場合は貯金残高がわかる資料、日本に住むご両親と同居をするときはご両親の課税証明書・納税証明書、日本で勤務が決まっているときは雇用契約書などを提出します。
今回のケースでは暗号通貨の資産があることを証明しました。給料が暗号通貨で支払われる方、資産を暗号通貨でお持ちになる方が増えていくかもしれません。
お子様の在留資格は?
日本人の実子の子ども=日系3世の在留資格は2つ考えられます。
- 日本人の配偶者等
- 定住者
1.「日本人の配偶者等」の申請ができるのはご両親のどちらかが日本国籍をもっていたときに生まれたときです。生まれた後にご両親とともに外国籍になっても日系3世(本当なら日系2世)として「日本人の配偶者等」の申請ができます。
2.「定住者」はご両親が外国籍になって日本国籍を喪失した後に生まれたときです。こちらは日系3世の在留資格になります。ご両親が日本国籍を喪失しても、日本国籍を喪失した後に生まれた子どもは「定住者」の在留資格を申請します。
日系3世の「定住者」の申請をするときに必要な書類
- 祖父母の戸籍謄本or親の除籍謄本
- 出生証明書
- 身元保証書
日系3世の身分を証明するために祖父母の戸籍謄本か親の除籍謄本が必要です。今回の申請ではお母様と同時に申請をしましたのでお母様の除籍謄本を用意しました。
ただお子様はお母様が日本国籍を喪失した後に生まれましたので、お母様の除籍謄本ではお母様が日本人であったことは証明できてもお母様とお子様の親子関係が証明できません。外国の出生証明書も必要となります。
申請代理人、身元保証人はだれになる?
在留資格の申請は日本に住む人しかできません。ご家族で外国にいるときは親族の方に申請代理人になってもらわないと出入国在留管理局に申請ができないのです。
行政書士はあくまで申請人・申請代理人の代わりに出入国在留管理局に申請をするだけです。申請代理人になることはできませんのでご了承ください。
今回のケースではご両親がご高齢ということもあり弟様に申請代理人になっていただきました。
ここで注意することは弟様もご結婚をしているときは弟様の戸籍謄本も必要になることです。
ご両親に申請人になっていただければ申請人ご本人の除籍謄本にご両親の名前も記載されていますのでご両親の戸籍謄本は必要ありません。ご本人の除籍謄本で親子関係が証明できます。
しかしご兄弟になると除籍謄本にはご兄弟の名前の記載がありませんので、兄弟関係を証明するにはご兄弟の戸籍謄本が必要となります。ご本人の除籍謄本と弟様の戸籍謄本に記載されているご両親の名前が同じことで兄弟関係を証明します。
申請代理人をお願いできましたら、身元保証人にもなっていただくとよいかと思います。
帰化申請について
無事にお母様の「日本人の配偶者等」とお子様の「定住者」の許可が取れました。しかし外国籍として日本に滞在をする限り在留資格が必要です。将来は永住許可申請ができますが、在留カードの所持義務がありますし7年ごとに在留カードを更新しなくてはいけません。
在留カードの手続きが大変だとお思いのときは帰化申請をして日本国籍を取得することもできます。
日本人の実子であるお母様は1年後に、日系3世のお子様は3年後に日本国籍を取得する帰化申請ができます。
しかし日本は二重国籍を認めていませんので、帰化申請の許可が取れましたら外国籍から離脱をしなくてはいけません。
第五条 六 日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
国籍法
離脱ができない国があるためこれは努力義務とされていますがお気をつけください。日本国籍をもっていたからといって帰化申請をすることで二重国籍になれるわけではありません。
※お子様が18歳未満のときは二重国籍が認められると勘違いをされている方がいますが間違いです。
子どもの二重国籍が認められるのは出生をしたときだけです。自己の意志(親が代理で申請をすることも含めて)で帰化申請をしたときは日本国籍を選択したのと同じで、帰化の許可が取れた後に外国籍を離脱するようにしなくてはいけません。
出生をしたときに二重国籍になるのと、帰化申請をして日本国籍を取得するのは違います。
JOY行政書士事務所にできること
外国籍を取得して日本国籍を喪失したとき、日本に滞在をするためには在留資格が必要です。
しかし外国に住んでいると自分で在留資格の申請もできません。申請代理人は必要ですが、お困りのときはJOY行政書士事務所にご連絡ください。
申請書など書類の作成から出入国在留管理局に申請するまで、JOY行政書士事務所が行います。
必要があれば除籍謄本の取得なども代行いたします。
ご面談もZOOMなどでできます。ぜひお話をお聞かせください。
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