日本語学校を卒業してすぐに働きたい外国人留学生もいるでしょう。しかし日本で働くためには就労ビザの許可を取らないといけません。就労ビザにはクリアしなければいけない要件があります。在留資格によって要件は変わりますが、就労ビザのひとつ、「技術・人文知識・国際業務」では一定以上の学歴が必要です。

では、日本語学校は学歴になるのでしょうか?

日本語学校は専門学校ではない

残念ながら日本語学校は学歴になりません。日本語学校は日本の学校でも特別な学校だからです。

まず、日本の専門学校になるためには学校教育法に定められた”我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除く”をクリアしなければいけません。しかし当たり前の話ですが、日本語学校は”日本語を母語としない外国人に対して日本語教育を実施する”機関です。日本語学校は外国人しか通うことができないために専門学校になれません。

学校教育法では日本語学校は専門学校とは別に「各種学校」として扱われます。自動車学校や予備校、看護学校も「各種学校」です。

免許を取るために自動車学校に通う必要がありますが、自動車学校を学歴にしないことと同じです。日本語学校は学歴になりません。

日本語学校を定める法律

学校教育法では「各種学校」として扱われている日本語学校は、無許可で開校しているわけではありません。

  • 学校教育法の第1条に掲げるもの(一条校)でなく、学校教育に類する教育を行うものであること。
  • 当該教育を行うにつき他の法律に特別な規定のあるものでないこと。
  • 学校教育法に規定する専修学校の教育を行うものでないこと。

以上の要件をクリアすると、公立の日本語学校は都道府県の教育委員会が認可し、私立の日本語学校は都道府県知事が認可します。

※一条校とは幼稚園から大学までの各学校のことを言いますが、専修学校と各種学校は含まれません。

認可を受けている日本語学校ですが、さらに法務省の告示を受けた日本語学校へ入学しないと、在留資格「留学」が認めらないので日本語学校を選ぶときは注意が必要です。

※ちなみに、専修学校は中学を卒業した学生を対象とする高等課程と、高校を卒業した学生を対象とする専門課程、その他の一般課程にわかれます。専門課程がある専修学校のことを「専門学校」といいます。

日本で働くために

在留資格「技術・人文知識・国際業務」

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は母国大卒以上、日本の専門学校卒業以上の学歴が必要です。日本語学校は学歴になりませんので、日本語学校を卒業して「技術・人文知識・国際業務」の許可を取るためには海外の大学、大学院を卒業していなければいけません。

外国人留学生、とくにネパール人留学生は母国の大学を中退して日本に来ます。大学中退では日本語学校を卒業してすぐに「技術・人文知識・国際業務」の許可は取れません。

ベトナム人留学生の一部は機械系の専門学校を卒業していますが、海外の専門学校では「技術・人文知識・国際業務」の許可は取れません。日本の専門学校は問題ないのですが、海外の専門学校では「技術・人文知識・国際業務」の学歴要件をクリアできません。

在留資格「特定技能」

母国の大学を卒業していない外国人留学生が日本語学校を卒業してすぐ日本で働くためには、特定技能試験と日本語能力試験N4に合格をして「特定技能」の許可を取るしかありません。

「特定技能」には学歴要件がなく、特定技能試験と日本語能力試験N4に合格をすれば要件をクリアできるためです。

また会社を設立して「経営・管理」の在留資格を申請することもできますが、母国の大学を卒業していないと経営者の能力を疑われ、不許可になるかもしれません。

まとめ

日本語学校は「各種学校」のため高等教育ではなく、学歴にはなりません。海外の大学以上を卒業していなければ日本語学校を卒業しても「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の許可を取ることはできません。

海外の大学以上を卒業していない留学生が日本語学校を卒業してすぐ日本で働くためには、「特定技能」の許可が取れるように特定技能試験や日本語能力試験N4に合格しなければいけません。