「特定技能」で働く外国人従業員が増えてきました。スムーズに受け入れ、働かれているかと思いますが、予期せぬトラブルに見舞われることもあります。
たとえば、特定技能1号で働く外国人従業員が妊娠をしたときはどのように対応をしたらいいでしょうか。
在留資格の変更が必要なのか? いつまで日本にいることができるのか?
簡単ながら確認をしていきます。
特定技能を続ける?
妊娠をした従業員は産休を取ることができます。これは特定技能で働く外国人従業員も例外ではありません。日本人従業員と同様の扱いとなります。
在留資格は在留資格で認められた活動を3カ月以上しないと在留資格を取り消されることがありますが、妊娠であれば在留資格が取り消されることはありません。特別な事情として認められることでしょう。
在留資格「特定技能」のまま産休を取ることはできますが、注意点がひとつ。
産休中の期間も特定技能の滞在期間に含まれます。「特定技能1号」は最長で5年間しか日本で働くことができません。この5年間に産休の期間も含まれます。産休期間の給与体系などは会社によって違いはあるかもしれませんが、産休中はたくさん給与がもらえなかったから5年以上働きたい、ということはできません。
特定技能の変更は必要?
産休中でも特定技能のまま日本に滞在することはできますので、在留資格を変更する必要はありません。ただし、上でもご説明したとおり産休中でも特定技能の在留期間(5年)に含まれてしまいます。
産休中に一定の給与が支払われるとはいえ、満額もらえないのがイヤだ、働ける期間が短くなるのがイヤだ、というときは一度会社を辞めて、在留資格を変更して産休中の期間を特定技能の期間から除く方法があります。
特定技能から変更する在留資格は個々の事情によって違いますが、一般的には「家族滞在」に変更をすることになるかと思います。妊娠中だからといって特別な在留資格に変更をすることはできませんので、「特定技能1号」のまま産休を取るのか、一度会社を辞めて「家族滞在」などほかの在留資格に変更をしたほうがメリットがあるのか考えてください。
在留資格が変更できないときは、「特定技能1号」のまま産休を取ります。
解雇をすることはできない。自主退社も大丈夫?
会社としては産休に入られては困る、とお考えになるかもしれません。
しかし特定技能で働く外国人従業員であっても日本人従業員と同じ労働法が適用されます。そのため妊娠をしたことを理由に解雇をすることはできません。解雇をしたときは労働法違反となり労働監督署はもちろんのこと、出入国在留管理局が問題とすれば特定技能外国人を雇用できなくなります。
上で在留資格を変更することで産休を特定技能の5年間から除くことができる、とご説明しましたがこの方法も注意が必要です。
特定技能で働く外国人従業員にとってもメリットがある方法ですが、自主退社であることを労働監督署や出入国在留管理局に説明できるようにしなければいけません。
日本語だけの契約書では、特定技能外国人が本当に内容を理解していたのかと要らぬ疑いをかけられる可能性があります。特定技能外国人本人が理解ができる文面で、本人の意思がしっかりと確認できる証拠を残しておかないと、いくら本人からの申し出であっても問題となるかもしれません。
まとめ
特定技能1号で働く外国人が妊娠をしたときは日本人従業員と同じように対応をします。在留資格を変更する必要はありません。特定技能1号のまま産休を取ることができます。産休後もそのまま特定技能1号で働くことができます。
ただし特定技能1号は5年間しか働くことができません。産休の期間もこの5年間に含まれます。
働く期間が短くなるのがイヤで外国人従業員から一度会社を辞めて落ち着いたら戻ってきたい、と申し出があるかもしれません。
そのときは会社を辞めますので在留資格を変更しなければいけません。また特定技能外国人が退職をしますので、ほかにも書類の提出が必要です。
また自主退職とはいえ妊娠後に会社を辞めますので労働監督署や出入国在留管理局から厳しい目が向けられることが予想されます。本人の意思がはっきりとわかる証拠を本人といっしょにご用意されたほうがよいと考えます。