今回ご依頼をいただいたのは退去強制で帰国をした外国人配偶者を日本に呼び寄せたい日本人奥様からでした。
通常、退去強制になった外国人の方は5年間日本に上陸することができません。
そのため日本人の配偶者であること、反省をしていることをしっかりと出入国在留管理局に説明をして上陸特別許可を取ります。
ご夫婦の協力もあり退去強制から3年、ご結婚をしてから2年で上陸特別許可を取ることができました。
退去強制ってどんな制度?
退去強制とは
我が国に不法に入国したり、在留許可の範囲を超えて滞在するなど入管法第24条に規定する退去強制事由に該当する外国人を強制的に国外へ退去させ、我が国の安全や利益が害されるのを防ぐのも出入国在留管理庁の重要な仕事です。
出入国在留管理局HPより
不法入国・不法滞在などをしている外国人の方が逮捕、または出入国在留管理局に出頭をすることで退去強制の手続きが始まります。
退去強制の手続きは
- 入国審査官への引き渡し
- 違反審査
- 口頭審理
- 異議の申出
- 法務大臣の採決
以上の順番で進んでいきます。
この間に特別に日本の滞在が認められる在留特別許可申請ができます。
法務大臣の決裁が終わり退去強制令書が発行されたあとは送還、または自費出国をしなければいけません。自費出国のほうがまた日本に戻ってくるときに有利ではあります。
退去強制を受けた外国人の方は5年間日本に上陸することができません。
退去強制の理由が「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられた」ときは無期限で日本に上陸できなくなります。
出国命令とは
出国命令は日本に上陸できない期間が退去強制よりも短くて1年間です。
ただし、次の条件をすべてクリアしていないといけません。
出入国在留管理局HPより
- すみやかに出国することを希望して出入国在留管理局に出頭をするor退去強制に当てはまらないと認められる、通知をされる前に出国することを希望する
- 違反が不法残留(オーバーステイ)のみ
- 懲役刑などの判決を受けていない
- これまで強制送還されたり、出国命令により出国したことがない
- すみやかに出国することが確実である
この条件をクリアしていないときは退去強制となります。
上陸特別許可の申請方法
退去強制になった外国人の方は5年間日本に上陸することができません。そのため5年以内に日本に戻ってくるためには上陸特別許可を取らなくてはいけません。
上陸特別許可申請には特別な書類や手続きは必要ありません。在留資格認定証明書交付申請と同じ書類、同じ手続きをします。
在留資格認定証明書交付申請をすると上陸特別許可もいっしょに審査されます。
在留資格認定証明書が発行されたときに上陸特別許可も取れています。
在留資格認定証明書交付申請に必要な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 戸籍謄本
- 世帯全員の記載がある住民票
- 課税証明書など収入がわかる書類
- 納税証明書
- 外国の結婚証明書
- 質問書
- 身元保証書
- おふたりの写真
- SNSのトーク歴
- 退去強制に関する反省文など
退去強制になった外国人の方はだれでも上陸特別許可が取れるわけではありません。日本人の配偶者・永住者の配偶者であれば法務大臣が人道上特別な理由があるとして許可が取れます。
許可が取れたケースの多くは退去強制をされる前に結婚をされていますが、今回のケースでは退去強制のあとに結婚をしていても許可が取れました。
またオーバーステイなどになったときに自分で出入国在留管理局に出頭をしたほうがいいです。
法務大臣は、前項の規定による許可を受けた者(中略)に対し、その者の素行、退去強制の理由となつた事実その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その者の申請に基づき、法務省令で定める日までに前項の規定による許可に基づいて自ら本邦を退去する場合に限り、その者の退去後の本邦への上陸について、別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする場合を除き、その者が退去を強制されたことを理由として上陸を拒否される期間を一年とする旨の決定をすることができる。
入管法第52条5
出入国在留管理局に出頭して、自主的に自費で日本を出国することで退去強制であっても日本に上陸できない期間を1年間に短くすることができます。
ただこれは必ずできるものではありません。日本に戻ってこられる期間は法務大臣が決めます。
ご依頼をいただいたご夫婦は退去強制をされてから1年後にご結婚をされ、ご結婚後すぐに在留資格認定証明書交付申請をしましたが一度は不許可になりました。
ご結婚から2年後(退去強制から3年後)に再申請をして在留資格認定証明書・上陸特別許可の許可が取れました。
在留資格認定証明書が発行されたあとの手続き
- 在留資格認定証明書を外国人配偶者に送る
- 現地の日本大使館でVISA申請をする
- 在留資格認定証明書の発行から3か月以内に日本に来る
- 空港で入国審査を受ける
- 空港で在留カードを受け取る
- 無事、日本に入国!
在留資格認定証明書が発行されたあとは現地の日本大使館で査証=VISA申請をします。
配偶者ビザといっているため勘違いをしてしまいますが、配偶者ビザは正確には在留資格「日本人の配偶者等」といいます。在留資格は日本に滞在をするための法務省の許可で、在留資格認定証明書は日本に上陸するための推薦状です。
そのため現地の日本大使館=外務省でVISAの申請をしなければいけません。
VISAは外国人の方が持っているパスポートが本物かどうか審査をします。めったにありませんが、在留資格認定証明書を持っていてもVISA申請で不許可になることがあります。在留資格認定証明書は法務省から外務省への推薦状のため外務省が認めないとVISAが不許可になります。
無事にVISAが発給されたあとは日本に来ます。在留資格認定証明書の有効期間は3か月です。3か月以内に日本に来なければ無効です。
空港に到着したら入国窓口で審査があります。
もともと退去強制で5年間は日本に上陸できませんでした。入国審査がスムーズになるように、在留資格認定証明書交付申請をした出入国在留管理局に「入国予定報告書」を提出します。
入国予定報告書は在留資格認定証明書といっしょに送られてきます。忘れずに提出してください。
あわせて出入国在留管理局に提出をした書類をすべて外国人配偶者にお送りし、しっかりと読むようにお伝えください。入国審査でしっかりと受け答えをできるようにしてください。
入国審査が終わると、空港で在留カードが発行されます。
JOY行政書士事務所にできること
今回は退去強制にあったご夫婦の配偶者ビザ申請でした。
無事に上陸特別許可も取れて在留資格認定証明書が発行されました。
退去強制のあとは5年間日本に上陸することができません。しかし上陸特別許可を取ることでその期間を短くすることができます。
ご夫婦の結婚がウソでないこと、反省をしていること、今後同じあやまちを繰り返さないことを説明し、在留資格認定証明書交付申請をします。
退去強制になった外国人配偶者を日本に呼び寄せたい、早く愛する人といっしょに日本で生活をしたい。
そのようなときはJOY行政書士事務所までお問い合わせください。書類の作成、必要書類の案内、出入国在留管理局の申請を当事務所がサポートいたします。
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