在留資格「日本人の配偶者等」、いわゆる配偶者ビザは結婚をしてから3年がたち、1年以上日本に滞在をしていれば永住ビザの申請ができます(在留期間が3年か5年でないといけませんが)。
永住ビザの許可の条件は3つ
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産、または技能を有すること
- 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること
がありますが、配偶者ビザから永住ビザの申請をするときは1と2の条件をクリアしていなくても許可が取れるケースがあります。
よくいわれる年収300万円(夫婦で370万円?)なくても配偶者ビザであれば大丈夫です。
しかし3の公的義務=税金・年金・健康保険料は1日でも支払い遅れがあると配偶者ビザから永住ビザの申請をしても不許可になる可能性が高くなります。
この支払い遅れは、申請人だけではなく、日本人配偶者のほうも審査をされます。
会社で働いているときの税金・年金・健康保険の支払い
日本は会社で働いていると社会保険=税金・年金・健康保険を会社が代わりに支払ってくれます。これは会社が従業員の年金・健康保険の半分を負担していますので、会社の分とあわせていっしょに支払ってくれるのです。
会社が代わりに支払ってくれますので、支払い遅れになることはあまりありません。たまに会社が手続きを忘れて支払い遅れになることがありますが、そのようなときは出入国在留管理局に説明をすれば大丈夫です。
また会社で働くと、扶養に入っている配偶者・家族の税金・年金・健康保険も会社が支払ってくれます。
年末調整といって、毎年11月ごろになると会社から扶養家族について確認をされるかと思います。収入の少ない家族の名前を書くと扶養控除などで税金が少なくなります(働くことができない家族のために税金を安くする制度)。
では申請人、または日本人配偶者が会社で働いていないとき、個人で仕事をしていて収入が多いときはどうでしょうか?
国民年金・国民健康保険の支払い義務
ご夫婦の年金・健康保険の加入パターン
会社で働いているときは厚生年金・健康保険に加入をします。
会社が代わりに支払ってくれるのが厚生年金と健康保険(と税金)です。
会社で働いていない、個人事業主など個人で働く人たちは国民年金・国民健康保険に加入をします。
国民年金・国民健康保険は自分たちで支払う必要があります。
また配偶者・家族の社会保障も会社が支払ってくれませんので、家族全員が国民年金・国民健康保険に加入をして自分たちで支払います(子どもの分は支払う必要はありませんが)。
ご夫婦がそれぞれの年金・健康保険に加入をするパターンは5つ。
- 申請人が国民年金・国民健康保険に加入をしている(会社で働いていない)+日本人配偶者も国民年金・国民健康保険に加入をしてしている(会社で働いていない)
- 申請人が厚生年金・健康保険に加入をしている(会社で働いている)+日本人配偶者は申請人の扶養に入っている(会社で働いていない)
- 申請人が厚生年金・健康保険に加入をしている(会社で働いている)+日本人配偶者も厚生年金・健康保険に加入をしている(会社で働いてる)
- 申請人が厚生年金・健康保険に加入をしている(会社で働いている)+日本人配偶者は国民年金・国民健康保険に加入をしている(会社で働いていない)
- 申請人が日本人配偶者の扶養に入っている(会社で働いていない)+日本人配偶者が厚生年金・健康保険に加入をしている(会社で働いている)
厚生年金・健康保険にも、国民年金・国民健康保険にも加入をしていないパターンはありません。必ずどちらかに加入をしなければいけません。
2・3・5のパターンはむずかしくありません。
2と5は扶養になりますので働いている会社が家族全員の社会保障を支払ってくれます。支払い遅れになることはありません。
3も同じです。申請人、日本人配偶者の社会保障をそれぞれの会社が支払ってくれるため支払い遅れになることはありません。
4ですが、日本人配偶者が個人事業主として年収が高いと2のパターンから外れてしまい4のパターンになります。配偶者がたくさん働いて扶養から外れたときはお気をつけください。
もっとも気をつけないといけないのは1のパターンです。
まず自分の国民年金・国民健康保険を支払わなければいけません。1日でも支払いが遅れると永住ビザは不許可になります。
何度もご説明しているとおり、配偶者も国民年金・国民健康保険に加入をしなければいけません。国民年金・国民健康保険に「扶養」の考えはありません
この配偶者の年金・健康保険の支払いがちゃんとしているか、出入国在留管理局から追加資料で求められることがあります。
ご夫婦の国民年金・国民健康保険の支払い義務
国民年金法第88条
被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
国民年金はご夫婦であってもひとりひとりが加入をしますが、支払い義務は法律に書かれているとおり世帯主・配偶者にもあります。国民健康保険も同じです。
申請人がしっかりと税金・国民年金・国民健康保険を支払っていても、日本人配偶者のほうに国民年金・国民健康保険の支払い遅れがあると申請人が納付義務を守っているといえません。配偶者として申請人にも支払う義務が法律で決められています。
そのため永住ビザの許可の条件の3番目、公的義務を適正に履行していることを守っているとはいえません。
日本人配偶者が支払うべきお金を使って申請人の国民年金・国民健康保険の支払いをしていると疑われてもしかたがありません。
支払い義務は夫婦ふたりの年金・健康保険です。
JOY行政書士事務所にできること
永住ビザの不許可理由で1番多いのが税金・年金・健康保険の支払い遅れです。
1日でも遅れると永住ビザは不許可になります。
また自分がしっかりと支払っていても、配偶者に支払い遅れがあると不許可になるケースがあります。
配偶者の税金・年金・健康保険の支払い義務は自分にもあります。
配偶者の年金・健康保険の支払いは必要書類ではありません。しかし出入国在留管理局から追加資料で求められることがあります。
追加資料で求められてから配偶者の支払い遅れがわかっても間に合いません。申請をする前にしっかりと確認をしてください。
配偶者の支払い遅れがあるときは申請を待ってみるのもひとつの方法です。
日本の永住ビザの許可を取るために、ご夫婦の税金・年金・健康保険のお支払いにはお気をつけください。