「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」、ほかに「家族滞在」など結婚後に申請すべきビザがありますが、すべての配偶者ビザで重要な要件となるのが”同居をしているか”です。
配偶者ビザにおける同居の証明について見ていきます。

配偶者ビザの活動内容とは

出入国在留管理局が在留資格該当性を判断する基準は在留資格・ビザと活動内容の一致です。留学ビザは外国人留学生しか該当しませんし、就労ビザは「専門性」のある仕事をする外国人の方しか認められません。
そのため学校を辞めた外国人留学生は該当性がなくなり在留資格の更新不許可になりますし、その前に在留資格が取り消されるでしょう。
転職をした外国人の方は業務内容=活動内容が変わると在留資格の更新が認められないかもしれません。更新まで時間のある方は就労認定書を提出したほうがいかもしれませんし、場合によっては在留資格の更新ではなく変更になるかもしれません。

在留資格該当性は重要な許可要件です。

では、配偶者ビザの活動内容は何でしょうか。
婚姻の本質について最高裁平成14年10月17日判例で「両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真しな意思をもって共同生活を営むこと」と判示しています。
大切な個所は”共同生活”です。共同生活ですから”同居”が大切な要件になることがわかります。

同居を証明するには

海外にいる配偶者を日本に呼ぶとき、初めて日本に来るのですから同居の証明はできません。しかし同居の証明をしなくていいわけではありません。

例えば、ワンルームに夫婦二人が住んでいる状況をどう考えますか。

  • 夫婦二人で生活するのに狭くないのか。
  • 二人分の生活用具を置いているのか。
  • 子どもが産まれたらどうするのか。

出入国在留管理局に夫婦二人で生活することにムリがある、と思われただけで偽装結婚=活動内容を疑われてしまいます。

相手が日本人でも外国人でも、結婚をするときに部屋が狭ければ引っ越しを考えるのが通常です。
ワンルームに住んでいる方が配偶者ビザを申請するときはそれだけで不利になるかもしれません。しっかりと夫婦二人が生活できる住居を見つけるべきです。許可が出る前に引っ越しをするのは難しいですが、新生活の計画を出入国在留管理局に説明してもいいでしょう。

すでに日本に滞在している外国人の方と結婚をする場合は、同居を始めたほうが説得力が増します。現在持っている在留資格の期限が切れるまで同居をしたほうが配偶者ビザの変更許可が取りやすいと感じます。

すぐに配偶者ビザに変更をしたい気持ちはよくわかりますが、事情により夫婦が同居ができない場合は提出書類が増え、万が一にも不許可になるかもしれません。
同居を始め、生活にゆとりができるまでは配偶者ビザの変更を待ってみるのもひとつの手段です。

本当に同居は必要なのか

とはいっても、現代において夫婦のありようは人それぞれです。別居をしているからといって後ろ指をさされるいわれはありません。

別居をしていた夫婦が申請した「日本人の配偶者等」が不許可になり、京都地裁に取消訴訟が提起されたことがありました。
京都地裁平成27年11月6日の判例です。
「我が国においても、婚姻概念が多様化している今日、”同居”のみを特別扱いするのは相当ではなく、同居の有無も、婚姻関係に実体があるか否かを判断する一要素にすぎないと考えられる」とし、出入国在留管理局の判断が退けられました。

この判決では婚姻関係に実体がある限りは”同居”という特別な活動を求めない、”同居”は婚姻の実体を判断する一つの要素にすぎないと判示しています。

別居をしていても婚姻の実体を証明したのは以下の要件です。

  1. 結婚に至った経緯
  2. 共同生活の実体
  3. 真しな婚姻の意思

1.結婚に至った経緯は質問書、申請理由書で説明します。最近では証明書としてLINEのやり取りを提出することが多くなっています。LINEのやり取りはメールなどに送信できますので簡単に提出できます。

2.共同生活の実体は同居をしていないので証明が難しくなります。週に1度お互いの住居を訪れている、生活費を共有している。同居をしていない分きめ細かい説明が必要になります。

3.真しな婚姻の意思は結婚に至った経緯と同じような証明となります。別居理由がなくなったらすぐに同居を開始するなど出入国在留管理局に対しても真しな態度を示さなければいけません。

同居をしていなくても婚姻の実体=共同生活を証明できれば配偶者ビザの許可が取れるかもしれません。
しかし配偶者ビザが不許可になるかもしれない、そのような不安な日々を私は知っています。100%許可が取れる申請はありませんが、許可の確率はできる限り高めてから申請をしたほうが良いと考えます。

まとめ

入管業務をしていると、配偶者に関するビザが一番簡単ですよね、と言われます。私も国際結婚をしているので「日本人の配偶者等」は簡単に取れたよね、と言われます。

私が偽装結婚をしていないと知っている人は簡単だと言うでしょう。偽装結婚をしていないのですからご本人たちは簡単だと言うでしょう。
しかし、出入国在留管理局は面談を行ってくれません。人となりを見ずに判断をします。100%偽装結婚でないことをわかっているのはご本人たちだけです。書類で説明するには大変な労力と少しのコツが必要となります。

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