「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は一定水準以上の専門知識が必要な業務をする必要があり、単純作業・現場作業をさせると入管法違反になり、不法就労で捕まってしまいます。
しかし新入社員にいきなり専門的知識をいかせる仕事を任せることは難しいと思います。
飲食店の店長候補でしたらマネジメントの知識をいかし「技術・人文知識・国際業務」の許可は取れるかもしれませんが、新入社員がいきなり店長として働くことは難しいでしょう。
技能実習生の管理や生産管理でしたら「技術・人文知識・国際業務」の許可は取れるかもしれませんが、現場作業を知らずに管理業務は難しいでしょう。
会社としてもまずは現場作業を覚えてから管理者として働いてほしい。現場を知らないのに管理ができるのか。でも在留資格で不許可になったら意味がない。でも在留資格の許可を取るために偽装申請をしたらそれこそ不法就労で捕まってしまう。
このようなジレンマを解消するため、出入国在留管理局が”「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について”を公表しています。
入管が認める実務研修
なぜ出入国在留管理局は実務研修の審査に厳しいかというと、実務研修と称して外国人労働者に単純作業・現場作業をさせる会社が多いからです。
裏を返せば、外国人労働者だけではなく日本人労働者も同じ研修をしていれば実務研修として認められます。飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務、工場のライン業務などであっても日本人の大卒(外国人労働者と同学歴)の社員と同じ実務研修なら問題ありません。
実務研修の期間
実務研修が3年で、外国人労働者の在留期間が3年しかない場合、すべての在留期間で実務研修をしてしまい「技術・人文知識・国際業務」で認められた活動ができません。この場合は不許可になるのでしょうか?
許可・不許可は労働契約期間によります。
たとえば労働契約期間が3年で終了する場合、3年の実務研修では在留資格は不許可になります。これは在留期間が3年と決まっている中ですべての在留期間で実務研修=現場作業しかしないためです。実務研修が2年でも在留資格の半分以上を実務研修が占めるため不許可になります。
3年の労働契約で認められる実務研修は1年が限度でしょうか。
しかし、労働契約が無期(期間の定めがない)の場合、または労働期間が延長される場合は外国人労働者はその会社で10年、20年と働くことになります。「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は最長で5年ですが、トータルで考えられば20年(40年?)の在留期間であり、たとえ実務研修を3年にしたとしても在留期間の一部でしかありません。
在留期間とは一回ごとに決められる在留期間ではなく、外国人労働者が「技術・人文知識・国際業務」で活動をするトータルでの期間です。
在留資格の許可を取るために
「技術・人文知識・国際業務」の許可を取るためには研修計画やキャリアアッププランを提出します。
この研修計画で大切なポイントは、”日本人労働者と同じ”実務研修であることです。もし日本人と違う研修を行う場合は説明が必要で、その説明に合理的理由がなければ不許可になります。
許可が取れても、実務研修がしっかりと行われ「技術・人文知識・国際業務」で認められた業務を行っているか確認をするため、在留資格の許可が取れても在留期間は短くなります。日本人労働者に5年以上の実務研修をさせる会社も少ないでしょう。最終的には「技術・人文知識・国際業務」で認められた業務を行います。そのとき5年の在留期間が取れれば問題ありません。
当事務所にできること
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