外国人アルバイト、外国人労働者がたくさん働いていますが、雇い主のみなさまはしっかりと在留カードの確認、オーバーワークの確認、外国人労働者の在留資格で認められた業務内容であることを確認していますでしょうか?

在留カードを持っているからといって、どんな仕事でもできるわけではありません。
アルバイトができる外国人留学生でも、週28時間しか働くことはできませんし、こっそりほかでアルバイトをしているかもしれません。

そして、外国人が持っている在留カードがホンモノとは限りません。あなたがご確認された在留カードがニセモノかもしれないのです。

(前略)いずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

入管法第73条の2

雇い主は”知らなかった”といった理由で不法就労罪を免れることはできません。”過失”とは、注意をしていてもわからなかっときのことをいいます。外国人の方を雇用するときに在留カード、在留資格について注意をして、確認をしないと”過失がないとき”とはいえません。

不法就労罪で雇い主の方が捜査されています。ぜひ以下のことにお気をつけください。

不法就労か確認をしないといけない会社について

外国人アルバイト、外国人労働者が不法就労ではないか、入管法に定められているとおり雇用する会社側は注意をして確認をしなければいけません。

外国人を直接雇用する会社でしたらわかります。会社の責任として在留カードの確認、オーバーワークの確認、外国人労働者の在留資格で認められた業務内容か確認します。

しかし、警察や出入国在留管理局は外国人を直接雇用をする会社のほかにも、外国人が働いている現場にも確認を求めているようです。

たとえば派遣会社です。外国人は派遣元である人材派遣会社に雇用されます。外国人と雇用契約を結ぶ人材派遣会社は外国人が不法就労にあたらないか確認をしなければいけません。

さらに派遣先である会社も外国人が不法就労にあたらないか確認をしなければならない、と警察や出入国在留管理局は考えています。

外国人が不法就労をすることで利益を得るのは派遣元の会社だけではありません。派遣先の会社も利益を得ます。不法就労で利益を得る立場の会社は、外国人が不法就労にあたらないか注意をして確認をする必要があるのでしょう。

同じように、Uberなど宅配代行サービスを利用している飲食店は、外国人配達員が不法就労にあたらないか確認する義務がでてきます。

外国人が働くことで利益を得る会社は、たとえ間接的な利益であっても、どんな業務であってもその外国人が不法就労にあたらないか確認をしなければいけません。

外国人アルバイトを雇うときの注意点

勤務時間に注意

外国人をアルバイトで雇うとき、勤務時間に注意をしなければいけません。

外国人留学生が持つ在留資格「留学」、家族の扶養を受ける在留資格「家族滞在」は、もともと就労が認められていない在留資格です。そのため資格外活動許可を取っても週28時間しか働くことができません。

しかし、一部の外国人留学生などはバイトをかけ持ちしています。自分のお店で勤務時間が週28時間に調整していても、よそのお店で週1時間以上でも働いていればオーバーワーク(不法就労)になってしまいます。

この場合、雇い主としては外国人留学生がバイトをかけ持ちしているなんて全く知らないことであっても、不法就労罪に問われるかもしれません。

なぜなら、”知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない”と入管法で定められているからです。”知らない”では不法就労罪を免れません。”注意をして確認”をする必要があります。

では、どうしたら外国人留学生などのバイトのかけ持ちを”注意して確認”をしたといえるのでしょうか?

まず、外国人留学生などをアルバイトで雇用する際に『誓約書』の提出を求めます。誓約書に「1.ほかでアルバイトをする際は報告をすること」、「2.ほかでアルバイトをするときは給料明細を提出すること」などと書きます。

アルバイトで雇用する外国人の方が誓約書にサインをすれば、”注意して確認”をしたといえるのではないでしょうか?

勤務時間がわからないアルバイトもあるかと思います。タイムカードなどで時間管理をせず、成功報酬で給与を支払うときです。

このように時間管理ができないアルバイトをするときは、外国人留学生でも個別許可の資格外活動許可を取らなくてはいけません。

週28時間どんな仕事もできるのが資格外活動許可の包括許可です。個別許可は時間の制約がなくなりますが、ほかの在留資格で認められた活動しかできません。外国人の方に個別許可を取ってもらって、どんな仕事も何時間でも働くことができる、とはなりませんのでご注意ください。

在留カードに注意

ニセモノの在留カードが簡単に手に入ります。普段在留カードを見ていないとホンモノとニセモノの区別は簡単につかないかもしれません。

見ただけではホンモノかニセモノかわかりませんので、出入国在留管理局から出ている在留カード等読取アプリケーションをご利用ください。

わざわざアプリを使って確認をしなければいけないのか、と疑問に思われるかもしれませんが、法律では”知らなかった”は理由にならず、”注意をして確認”をする義務があると定められています。

お気をつけください。

在留カード等読取アプリケーションの使い方はこちらからご確認ください。

外国人労働者を雇用するときの注意点

転職者を雇用するときに注意

外国人留学生を新規雇用するときは、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更しなければいけません。出入国在留管理局に申請をしますので、在留カードがニセモノでないか、外国人労働者が働くことができる業務内容か会社側で確認をする必要はないかと思います。

問題は転職者を雇用するときです。すでに「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもっているかもしれませんが、そのまま働くことができるのかはわかりません。

まず、在留カードがホンモノか在留カード等読取アプリケーションで確認をしなければいけません。

在留カードがホンモノでも、貴社で働くことができるのかは別問題になります。

在留資格は個人に許可が与えられたものですが、就労系の在留資格は会社側の条件も厳しく審査をされます。

たとえば同じ翻訳・通訳の業務でも、A会社は技能実習生が100人いて仕事量が多いのに比べて、B会社は技能実習生が2人しかいなくて仕事量が少ないとき、A会社では在留資格の許可が取れるかと思いますが、B会社で許可が取れるかわかりません。

同じ業務内容でも会社(の規模)によって許可が取れるかわからないのに、許可が取れた業務内容とは違う職種に転職をすればより許可が取れるか判断が難しくなります。

このように在留資格で認められる業務内容かどうか判断が難しいときは、就労資格証明書を取ってください。

就労資格証明書とは

就労資格証明書とは、長期間在留期間が残っているときに、新しい会社・業務内容が「技術・人文知識・国際業務」で認められた活動に該当をしているか出入国在留管理局に確認を取る申請です。

就労資格証明書は長期間在留期間が残ってる場合に申請をしますので、在留期間が3カ月以下のときは就労資格証明書を申請しません。在留期間が3カ月以下のときは在留期間更新許可申請をします。必要書類を提出し、在留期間の更新の許可が取れましたら新しい会社で働くことができます。

もし就労資格証明書を取らずに新しい会社で働くと、在留期間更新許可申請が不許可になるかもしれません。在留期間更新許可申請が不許可になれば、その働いていた期間は不法就労をしていたことになります。

「技術・人文知識・国際業務」で働くことができる仕事だと思っていた、”知らなかった”では不法就労罪を免れないのは何度もご説明をしたとおりです。

就労資格証明書は必ず申請をしなければいけないものではありません。A会社からさらに規模が大きいC会社に転職をしたときは必要ないかもしれません。

しかし、外国人労働者が働くことができる業務内容なのか、在留期間更新許可申請の許可が取れるのか少しでもご不安なときは、先に就労資格証明書を取得されることをおすすめします。

JOY行政書士事務所にできること

JOY行政書士事務所では外国人アルバイトの在留カードの確認、誓約書の作成などを行っています。外国人労働者の在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、就労資格証明書の申請を承っています。

外国人アルバイト、外国人労働者を雇用することは不法就労と密接にかかわっています。

ぜひ専門家にご相談の上、リスクを回避してください。