日本で働く外国人が増えていく中、転職をする外国人も増えています。特に外国人留学生は学校を卒業後、日本に残るためにどこでもいいので就職をして、すぐに辞めてしまう傾向にあります。

彼らはすでに在留カードを持っていますので、中途採用をする企業としては在留資格の心配がない、とお考えかもしれませんが、ちょっと待ってください。

本当に在留カードを持っているからといって、その外国人を雇っても大丈夫なのでしょうか。

「技術・人文知識・国際業務」とは

日本で働く外国人の多くは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の許可を取ります。この「技術・人文知識・国際業務」、ほかの就労ビザ(在留資格)と違い幅広い業務が含まれています。営業、経理、労務管理、通訳、企画、設計、開発など、一般的な会社員が行う多くの業務が(「技術」か「人文知識」か「国際業務」かわかれているとはいえ)、「技術・人文知識・国際業務」に含まれます。

一般的な会社員が行う多くの業務が「技術・人文知識・国際業務」に含まれているなら、「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを持つ外国人を雇っても問題ないのではないか、とお考えになるかもしれませんが、それは違います。

「技術・人文知識・国際業務」の大切な条件に、”学習内容と業務内容のマッチング”があります。外国人が大学などで勉強した内容と業務内容がマッチングしていないと在留資格の許可は取れません。

すでに在留カードを持っているとはいえ、工学部で勉強をした外国人がその知識(専門性)をいかせない経理や労務管理の業務はできません。その外国人は最初の申請で工学部の知識をいかせる設計などの業務で許可を取ったはずです。業務内容が変わることは、許可を取った条件が変わることと同じです。本来なら最初から申請をしなければいけません。

しかし、「技術・人文知識・国際業務」から「技術・人文知識・国際業務」に変更申請もしませんし、在留期間更新許可申請も在留期限の3か月前からしかできません。

在留資格の申請ができないので困ってしまいますが、出入国在留管理局では「就労資格証明書交付申請」をすることでその外国人が働くことができる業務内容について審査をしてくれます。

就労資格証明書交付申請とは

就労資格証明書交付申請とは、外国人が転職先の業務に就くことに出入国在留管理局がお墨付きを与えてくれる制度です。企業側が外国人を中途採用するとき、在留カードを持つ外国人がその在留カードで企業側が求める業務を行えるか事前に出入国在留管理局に審査をしてもらうことができます。

「技術・人文知識・国際業務」に含まれる業務内での転職では在留資格変更許可申請をしません。しかしこれでは万が一「技術・人文知識・国際業務」で認められない業務内容だった場合、企業側としては学習内容と業務内容がマッチしていると考え雇用したのに出入国在留管理局が認めなかった場合に、在留期間更新許可申請で不許可になってしまいます。

これでは人材管理がうまくいきません。在留期間更新許可申請まで猶予がある場合は、先に就労資格証明書交付申請をすることをおすすめします。

就労資格証明書交付申請をしたほうがいいとき

就労資格証明書交付申請は必ず提出しなければいけない書類ではありません。企業側が在留カードを持つ外国人を雇用するとき、外国人が認められた在留カードに業務内容が該当しているか不安なときに在留期限の前に出入国在留管理局に審査をしてもらいます。

そのため在留期間の更新が近い外国人は在留期間更新許可申請のときに出入国在留管理局の審査を受ければ問題ありません。在留期間更新許可申請は3か月前からできます。在留期間の残りが4~5か月のときは在留期間更新許可申請をします。就労資格証明書交付申請の審査には2か月近くかかりますので、わざわざ別々に申請をする必要はありません。

また営業職から営業職など、前職と同じ職種の場合は申請する必要はありません。

前職で違う職種で働いていた外国人の採用を考えるときは就労資格証明書交付申請をおすすめします。

特に、人材派遣会社に雇用されている(雇用されていた)外国人を受け入れる場合、中途採用する場合は就労資格証明書交付申請をおすすめします。

人材派遣会社に雇用された外国人が「技術・人文知識・国際業務」の申請をするとき、派遣元と派遣先を記載しなければいけません。在留資格は日本で行う活動によって許可が取れます。活動をしない派遣元だけでは許可が取れません。

たとえば、ベトナムの大学で食品加工を勉強した場合、派遣元では活動をしません。派遣先が食品加工会社で技能実習生の人材管理であれば「技術・人文知識・国際業務」の許可が取れる可能性があります。

在留資格の許可が取れたのはいいのですが、人材派遣会社は企業から派遣料を取ることで利益を上げます。そのため「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人を半年ほどで辞めさせて、「技術・人文知識・国際業務」を取るのが難しい会社(ホテルや工場など)に派遣し直すような悪い派遣会社がいます。

在留資格の許可が比較的簡単に取れる会社で在留カードを持つ外国人をたくさん作り、いろいろな派遣先に送り込むのです。

この場合、食品加工とベトナム語の専門性をいかして許可が取れたのに、新しい職場ではそのような専門性は使いません。派遣元は通常ですと雇用できない人材を派遣先に送り込んで派遣料を取ります。

派遣先は外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを持っているので安心かもしれませんが、悪い派遣元にだまされて不法就労の片棒を担がされているのです。

このような犯罪行為に加担をする前に、派遣社員の就労資格証明書交付申請をしてください。在留カードを持っているからといってどこでも、何でも働けるわけではありません。

当事務所にできること

もちろん悪い派遣会社ばかりではありません。入管法に詳しい派遣会社もたくさんありません。しかし、万が一に事もあります。中途採用する外国人の経歴をしっかりと調べ、それでも不安なときは就労資格証明書交付申請をしてください。

JOY行政書士事務所では企業に代わって就労資格証明書交付申請をします。不法就労をしてしまう前に、しっかりと法律で定められている条件をクリアしているのかご確認ください。