在留資格認定証明書交付申請書、在留期間更新許可申請書、在留資格変更許可申請書、すべて申請書1枚目の下段に”犯罪を理由とする処分”の記載欄があります。
- 友だちとケンカをしていたら警察が来た
- 万引きで警察に捕まった
- オーバーワークでたくさんアルバイトをしていた
いづれも法令に違反していますが、”犯罪”と言えるのでしょうか。
犯罪とはなにか
デジタル大辞泉より
1 罪をおかすこと。また、おかした罪。「犯罪を防ぐ」「完全犯罪」
2 刑法その他の刑罰法規に規定する犯罪構成要件に該当する有責かつ違法な行為。
1の「罪をおかすこと」。これで考えると悪いこと=法律に違反したことをしただけで”犯罪”をしたと考えられます。まさしく”罪を犯す”と書いて犯罪です。
2の「刑法その他の刑罰法規に規定する犯罪構成要件に該当する」。これが犯罪だと考えると、裁判所で罪が確定するまでは犯罪があったとは言えなくなります。警察だって間違えることがありますからね。警察に捕まったからといって「犯罪構成要件に該当する」となったら危険です。誤認逮捕し放題です。
ちゃんと裁判をやって、本当に犯罪行為があったのか、犯罪行為があったとしてどれぐらいの罪になるのか、しっかりと考えましょうね。罪が決まったら犯罪です。
これが”犯罪”の考え方です。
例えばオーバーワーク。オーバーワークは入管法に規定される犯罪行為です。オーバーワークをしている留学生は在留期間の更新が不許可になります。しかしこれは”犯罪を理由とする処分”のために不許可になっているわけではありません。狭義の該当性=在留状況不良のため不許可になっているのです。
オーバーワークをしている留学生は別に裁判所で罪が確定しているわけではありません。
※申請書が変わり、交通違反をしたときは申請書に書かないといけなくなりました。これは裁判はしませんが行政罰として罪が確定しています。交通違反をしたときは小さなことでも忘れないで書いてください。
警察に捕まっても在留資格の許可が取れるのか
悪いことをしないのが一番ですが、友だちとケンカをして警察に捕まってしまったということもあります。居酒屋でケンカをした際に、お店の看板を壊してしまって警察に捕まってしまいました。
さて、次の在留期間の更新で許可は取れるでしょうか?
上にも書きましたが、警察に捕まっただけでは特に問題はありません。”犯罪を理由とする処分”も「無」にチェックをしてください。裁判をしていないので罪は確定していません。
お店の看板の弁償でお店の人にお金を支払ったけど大丈夫ですか?
お店の人にお金を払うことは賠償金で罰金ではありません。罰金刑とは違いますので大丈夫です。
犯罪をして在留資格が不許可になってしまった
犯罪=裁判所で刑が確定した外国人の方で、1年以上の懲役、もしくは禁固刑、このふたつに相当する刑で処分されたときは在留期間の更新、在留資格の変更はまずできません。
許可は取れないかもしれませんが、申請をするときに反省文を書いて出入国在留管理局に提出します。反省文は申請人と、留学生なら学校の先生、会社員なら社長などに書いていただきます。
一般的に更新、変更が不許可になった場合、日本に戻ってくることを考えて在留資格認定証明書交付申請書を提出して帰国をします。これは在留資格認定証明書交付申請は新しい在留資格のため在留状況が審査されないためです。
例えばオーバーワークで就労ビザの変更が不許可になった留学生は、在留資格認定証明書交付申請の許可が取れれば日本に戻ってくることができます。在留資格認定証明書交付申請はオーバーワークの審査がされないためによく利用されるリカバリー方法です。
しかし、1年以上の懲役、もしくは禁固刑、このふたつに相当する刑で処分されたときは違います。
日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。
入管法第5条4
1年以上の懲役、もしくは禁固刑、このふたつに相当する刑で処分された外国籍の方はこの法律のため日本に上陸さえできません。しかも5年間(麻薬・売春などのケースでは10年間)は入国拒否期間となり日本に上陸ができません。
上陸特別許可の申請はできますが、大変難しいケースでありよほどのことがない限り許可は取れないでしょう。
懲役1年未満、罰金刑の場合は申請書の”犯罪を理由とする処分”の「有」にチェックをし、反省文を書きます。上陸拒否事項には当てはまりませんが、在留状況不良となり許可のハードルは大変高くなってしまいます。
まとめ
とにかく悪いことはしてはいけません。
しかし
- 警察に捕まっただけでは犯罪ではありません。
- 個人に支払う賠償金は犯罪ではありません。
- 交通違反などの行政罰であっても申請書には書きましょう。
- 裁判をして罰金刑まででしたら、ハードルは高いですが反省文を提出することで在留資格の許可が取れるかもしれません。
- 1年以上の懲役刑、禁錮刑、それらに相当する刑に罰せられたときは5年(10年間)日本に来ることはできません。
- それでも日本に来たい場合は上陸特別許可を申請します。
やはり、悪いことはしてはいけません。