タイ語で「アロイ」とは「おいしい」という意味です。パッタイ、カオマンガイ、マッサマンカレーなどタイには「アロイ」な料理がたくさんあります。
そんなおいしいタイ料理が日本でもたくさん食べられるようになってきました。日本で働くタイの料理人の方たちはどのようなビザで来日しているのでしょうか。

タイ料理人は特別な在留資格「技能」

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でキッチンの仕事はできません。外国人留学生がアルバイトの延長で在留資格の申請をしますが、調理だけの業務内容では不許可になります。

日本で調理師として働くためには技能ビザの許可が必要です。

「技能」の要件(調理師)はひとつです。
・技能について10年以上の実務経験(教育機関において当該料理の調理又は食品の製造にかかわる科目を専攻した期間を含む)を有するもの

10年間中華料理店、フランス料理店などで働いていた(勉強していた)調理師や、点心、パン、スイーツなどピンポイントで食品を製造していた調理師・パティシエが該当します。

外国人の方の中には、麺類やカレーは子どものころから10年以上作っている、とおっしゃられる方もいますが、”熟練した技能を有する経歴”が必要です。

調理師の在留資格「技能」は「技術・人文知識・国際業務」と同じ10年以上の実務経験が必要ですが、タイ料理人だけ要件が緩和されています。
タイ料理人は5年以上の実務経験があれば「技能」の申請ができるのです。

もちろん、5年以上の実務経験のほかに以下の要件もあります。

  1. 初級以上のタイ料理人としての証明書を取得している
  2. 来日直前の1年の期間にタイでタイ料理人として妥当な額の報酬を受けており、または受けていた

タイ料理人として技術水準を証明する書類が必要ですが、ほかの国の料理人の半分の期間で来日できるのがタイ料理人の強みです。

またタイ国が料理人の技能水準を証明していますので、日本で食べるタイ料理が「アロイ」なわけです。

ほかの「技能」の要件

在留資格「技能」は1号(調理師)から9号まで規定されています。ほかの「技能」の要件を見ていきます。

2号 建築技術者
外国に特有の建築、土木に係る技術を有する外国人の方たちです。輸入住宅では原産国のアメリカ、カナダ、スウェーデンやフィンランドがあげられます。フィンランド建築を立てるのにほかの国の外国人の方は呼べません。

3号 外国特有製品の製造・修理
「技術・人文知識・国際業務」の国際業務に近いですが、国際業務が外国の感性をいかした業務内容に対して、技能は外国製品そのものを作成する業務といえるかもしれません。ヨーロッパ特有のガラス製品、ペルシア絨毯など日本にない製品の製造、修理を行います。
シューフィッターの技術者も含まれますが、シューフィッターが日本の文化にないからでしょうか。

4号 宝石・貴金属・毛皮加工
宝石・毛皮製品を作るだけではなく、原石や動物から宝石や毛皮を作る過程も含まれます。

5号 動物の調教
動物園や水族館で働くときに必要です。サーカス団は興行ビザに該当します。

6号 石油・地熱等掘削調査

7号 航空機操縦士
操縦士の業務とは、定期運送用操縦士、事業用操縦士または準定期用操縦士のいずれかの技能証明をし、機長または副操縦士として従事する業務のことです。
そのため250時間以上の飛行経歴がないと許可が取れません。

8号 スポーツ指導者
スポーツの指導はほかの技能者と違い3年以上の実務経験があれば申請できます。
またスポーツ選手としてオリンピック、世界選手権、アジアカップなど国際的な競技会に出場したことがある方も含まれます。
プロスポーツの監督、コーチなどは「興行」に該当します。
気功は運動の指導として「技能」に含まれますが、病気治療の気功はスポーツの指導に含まれません。

9号 ワイン鑑定士など
ソムリエは実務経験が5年以上あれば申請できます。
ただし国際ソムリエコンクールで優秀な成績だった方、国際ソムリエコンクール(出場者が一国に位置名と制限された大会)に出場したことがある方などの細かい規定があります。
ソムリエですのでワインに関する幅広い業務が認められますが、食器洗いやレジなどの業務はできません。そのため食器洗いやレジをするほかの従業員が必要です。

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」の許可を取るには学校で勉強した”専門性”が必要です。
「技能」でも”専門性”が許可要件になりますが、手に職がある職人=技術者専用の在留資格となります。
実務経験、教育経験の証明が難しい申請になりますが、ご自身のスキルが日本で必要になりましたら、ぜひ在留資格「技能」を申請ください。