タイ人の奥様のお友だちが日本人の方と結婚することになりました。不思議な縁です。
そのお友だちから日本人の配偶者の姓に改姓したいとご相談がありました。普段ニックネームで呼ぶタイ人の事情と改姓の方法を説明します。

※今回は在留資格と関係ない記事になります。

タイ人の本名とニックネーム

奥様を本名で呼んだことがない、なんて言うと偽装結婚かと疑われてしまいそうですが、これには深いわけがあります。
タイ人の奥様は本名で呼ばれるとイヤな顔をするんです。

「親にも友だちにも本名で呼ばれたことがない」と。

友だちはまだわかりますが、親にも本名で呼ばれたことがないとは。日本人にはかなり違和感のある発言ではないでしょうか。日本でニックネームといえば友だちにつけてもらう愛称で、親が大人になった子どもをニックネームで呼ぶことなんてまずありません。私は最初、奥様とお母さんはニックネームで呼び合う仲のいい親子だと思っていました。

タイのニックネームは日本と全然違います。
タイ人はみんなニックネームを持っていて、みんながニックネームで呼び合うんです。そもそもタイのニックネームは生まれたときに親に名付けてもらいます。

いや名前があるならニックネームいらないじゃん、となりそうですが、タイ人はニックネームのほうを大事にします。なぜならタイ人は気分次第で本名を簡単に変えてしまうからです。

「アンラッキーなことがあったら本名を変えるよ」と奥様も軽く言ってました。こうなると、ニックネームが本名で本名がニックネームの逆転現象が起きてる気もしますが、身分証明書は本名が記載されているのであくまでニックネームはニックネームなのでしょう。ニックネームにはタイ語で「ハチミツ」とか「お茶」なんてものもあります。そこはやはり “ニックネーム” です。

これからも私は奥様のことをニックネームで呼びます。そして願わくば奥様から「アンラッキーだから本名を変える」と言われないようにしたいものです。

夫婦同姓に必要な承諾書の用意

長い前置きでしたが、タイ人が”タイ国にて婚姻後、配偶者の姓に変更申請に配偶者が同行できない場合”、「承諾書(配偶者の姓への変更)」の申請が必要です。
まずは必要書類をタイ王国大阪総領事館のホームページから下記に転載します。

  1. 認証申請用紙
  2. タイ国籍夫/妻のパスポート 原本及びコピー(データ面をコピー)
  3. タイ国政府発行身分証明証 原本及びコピー(裏表を同一面にコピー)
  4. タイ国政府発行住居登録証 原本(ある場合)及びコピー
  5. タイ結婚証明書或いはタイ家族登録証或いは日本の婚姻届受理証明書(いずれか)
  6. 日本国籍夫/妻のパスポート或は自動車運転免許証(いずれか。パスポートはデータ面をコピー、自動車運転免許証は裏表を同一面にコピー)

「4.タイ結婚証明書或いはタイ家族登録証或いは日本の婚姻届受理証明書(いずれか)」が一番用意が難しい書類でしょうか。この3つの書類の中から自分たちが一番入手しやすい書類がどれか理解しないと、ムダな時間と費用がかかってしまいます。

私たちは改姓の申請と婚姻届を一緒に提出したい奥様のご意向もあり、タイで婚姻届を提出していませんでした。そのため「日本の婚姻届受理証明書」を用意しました。「日本の婚姻届受理証明書」とは婚姻届提出後の戸籍謄本で大丈夫です。しかし英訳・タイ語訳とその認証に時間とお金がかかります。

認証の手順

日本の戸籍謄本にふりがなをふり、タイにいる奥様に郵送

奥様が在タイ日本大使館に戸籍謄本を持参
在タイ日本大使館が戸籍謄本を英訳・認証してくれる(有料)
(日本政府のお墨付き)

英訳・認証された戸籍謄本を奥様がタイ語訳

タイ語訳した戸籍謄本と在タイ日本大使館で英訳・認証した戸籍謄本をタイ国外務省に持参。タイ国外務省の認証を受ける(有料)
(タイ政府のお墨付き)

以上の過程を経てタイ王国大阪総領事館に提出できる「日本の婚姻届受理証明書」が完成します。

ほかの手段として、日本の外務省で認証を受ける方法もあります。この場合は返信用封筒を同封すれば外務省に行く手間が省けます。詳細はタイ王国大阪総領事館ホームページなどでご確認ください。
(戸籍謄本の英訳は改姓の手続き申請では必要ないかもしれませんが、タイでの婚姻申請に必要なためこのタイミングで作りました。またタイ王国大阪総領事館にタイ語訳と合わせて提出しました)
ホームページを見ていろいろと確認をしたので、自分が今見ているページが「在タイ日本大使館」なのか「在日タイ領事館」なのか、婚姻申請に必要な書類なのか改姓手続きに必要な書類なのか頭がクラクラしました。

そもそも在日タイ領事館でいただく書類は配偶者の姓への変更の「承諾書(配偶者の姓への氏名変更のため)」です。改姓の手続きはまだ終わっていません。

自分が何の書類のために動いているのか、見失うと大変な目にあいます。

タイ国外務省の認証を受けた戸籍謄本が完成したら、上記1~6の書類と合わせて、タイ王国大阪総領事館に手数料と一緒に現金書留で郵送します。手数料は2,000円です。
書類は郵送で大丈夫ですが、改姓手続きの承諾書は受取にサインが必要なためタイ王国領事館に1回は行く必要があります。

以上を持って完成した「承諾書」ですが、タイで婚姻届を提出するときに私も同行していたので係の人に”不要”と言われたのは別のお話です。