国際結婚や外国で出産をすると子どもの国籍も心配しなければいけません。私もうわさで聞いていた子どもの国籍留保を忘れないでしなければ、と気を張っていましたが、タイ人との間に日本で生まれた我が子は国籍留保の必要がありませんでした。

では、どのようなときに子どもの国籍留保が必要になるのか
万が一国籍留保を忘れてしまったときはどうすればいいのか

出生届の追完という、レアケースのご説明とともに国際結婚や子どもが二重国籍になったときの対応をご説明します。

子どもが二重国籍になるケース

日本は残念ながら二重国籍を認めていません。大人になってから外国籍を取得した人は、日本国籍を離脱しなければいけません。

ただし、日本でも二重国籍が認められるケースがあります。それが出産によって二重国籍になった子どもです。

日本人の父、日本人の母のもとに生まれた子どもは自動的に日本国籍を取得します。
同じように、父か母がその国の国籍を持っていると生まれた子どもが自動的にその国の国籍を取得する国があります。

フランスや韓国、タイの方などとご結婚をしたときです。日本を含めてこれらの国は血統主義といいます。(フランスはいろいろと複雑ですが)

日本とは違いその国で生まれたことで国籍を取得する国もあります。

アメリカ、ブラジルなどの国が当てはまり、これらの国は生地主義といわれています。

生地主義の国でご出産をするときはご両親ともに日本人であっても子どもは二重国籍になります。

このように子どもが二重国籍になるパターンは2とおりあります。結婚相手国の法律、出産国の法律を理解して子どもの二重国籍にご対応ください。

*子どもは生まれながらにして二重国籍ですが、出生届を提出しないと(生まれた証明もありませんので)国籍は取得できません。

国籍留保が必要になるケース

私の子どもは日本人の父とタイ人の母の間に日本で生まれました。子どもは生まれながらにして日本国籍とタイ国籍の二重国籍です。

では、なぜ国籍留保が必要なかったのでしょうか。

第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う

国籍法

国籍法第12条には“出生により外国の国籍を取得した日本国民で「国外」で生まれたもの”と書かれています。

私の子どもは日本国内(名古屋市)で生まれましたので国籍留保は必要ありませんでした。

国籍留保は外国で生まれた子どもだけ必要です。

そのため市役所に置かれている出生届と日本大使館に置かれている出生届は違います。市役所に置かれている出生届には国籍留保のチェック項目はありません。

しかしなぜ外国で生まれたときだけ国籍留保が必要なのでしょうか。

これは私の想像ですが、外国で生まれて二重国籍になったものはずっとその国で生活をするだろう、日本国籍なんて必要ないだろう、と日本が考えているためではないでしょうか。逆に日本で生まれた二重国籍の子どもは日本で生活をするのだから日本国籍はそのまま、大人になってから選ばせてあげよう、と。

あくまで私の想像ですが、そのため外国で生まれて二重国籍になった子どもは、3カ月以内に国籍留保にチェックを入れた出生届を提出しないと出生にさかのぼって=生まれた瞬間から日本国籍を失ってしまいます。

国歴留保を忘れてしまったときどうするか

国籍留保を忘れてしまうと生まれた瞬間にさかのぼって日本国籍を失ってしまいます

そのまま生まれた外国で生活をするのでしたらその国の国籍があれば不自由をしないかもしれません。
ただ日本人学校に通うとなると日本国籍がないと入学できないかもしれませんし、ご両親が日本に帰国をすることになったら大変です。外国籍者として在留資格・ビザの申請をしなければいけません。

在留資格・ビザとは?

在留資格とは日本で生活をするための許可です。
ビザとは日本に入国をするための許可です。

ご両親が日本国籍を持っていても、本人が日本国籍を持っていなければ外国籍者として扱われてしまいます。

日本国籍がなければ外国籍者と同じように出入国在留管理局に在留資格「日本人の配偶者等」の許可を取り、日本大使館でVISAの発給を受けてから日本に来ます。

日本に行くまでの時間がないときは日本大使館でVISAの許可を取って日本に行ってから出入国在留管理局に在留管理局「日本人の配偶者等」の変更申請をします。

その後子どもの日本国籍が必要なときは、法務局で国籍再取得の届出をします。国籍再取得は日本で6カ月以上生活をして(住民票ができてから6カ月以上)、子どもが18歳未満のときにできます。

国籍再取得をすれば子どもは二重国籍になります。

18歳をすぎてしまうと国籍再取得ではなく帰化申請をしなければいけません。帰化申請のほうが条件が厳しくなるので、できれば18歳未満の内に国籍再取得をしたいところです。

また帰化申請で日本国籍を取得したあとは外国籍から離脱をする努力義務が課せられます。基本的に(外国籍から抜けられない国以外は)外国籍から抜けなければいけません。

もうひとつ、国籍留保を忘れたときの対応があります。

それが出生届の追完届をすることです。

出生届の追完とは?

出生届の追完とは、提出した出生届の訂正をお願いすることです。

市役所などに提出する書類は気をつけていますが、残念ながら記入ミスがあります。記入ミスに気がついても直せなくては意味がありません。そのため追完届を提出することで市役所などに提出した書類の訂正ができます。

国籍留保のチェックミスも追完届で訂正ができます。この追完届は日本大使館に提出ができますので、国籍再取得と違って日本に行かなくても、現地の日本大使館に提出することで手続きが完了します。日本に帰国後であればお住いの市役所でも追完届の提出ができます。

ただし、出生届の追完(訂正)の手続きをしたことがある日本大使館の職員はめったにいません。よく調べられずに「できない!」と説明があるかもしれませんが、法務局の戸籍課に確認をしていただくようにお伝えし、レアケースではあっても過去に追完届で国籍留保の記入ミスが訂正されたことを調べていただいてください。

また出生届の追完はあくまで国籍留保の記入ミスの訂正です。子どもは日本国籍が復活(?)して二重国籍者になります。20歳までに日本国籍か外国籍を選択しなければいけません、

JOY行政書士事務所にできること

国籍留保は外国で生まれて二重国籍になる子どもの出生届を提出するときに必要です。外国でご出産をされるときは配偶者の方の国の法律、出産をする国の法律にお気をつけください。

必要ない、と思っていた国籍留保も必要だったと気がつかれるケースもあります。ご両親が二重国籍で、法律が複雑で後になって気がつくケースです。

すぐに日本に行かなければいけないときは日本に行ってから日本国籍の再取得をしたほうが早いかもしれません。

日本に帰国をする予定もなく、時間に余裕があり将来子どもに国籍を選ばせてあげたい。このようなときは日本大使館に出生届の追完をすることで国籍留保ができます。

ご安心ください。

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