在留資格「高度専門職」の許可が取れると、「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」にはないメリットがたくさんあります。ご自身が「高度専門職」に該当していないか、採用する外国人の方が「高度専門職」に該当していないか、在留資格を申請する前にご確認ください。

「高度専門職」とは

高度外国人材の活動内容を「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類し、それぞれの特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に、出入国在留管理上の優遇措置を与えることにより、高度外国人材の我が国への受入れ促進を図ることを目的としています。

法務省HPより

就労ビザの4つ、「研究」「教授」「技術・人文知識」「経営・管理」において高度外国人材と認められた外国人の方が日本に来てくれるようにたくさんのメリットをつけたのが「高度専門職」です。

「高度学術研究活動」(「高度専門職1号イ」)

「研究」・「教授」の高度人材に認められる活動内容です。そのため日本で行う研究、研究の指導や教育ができます。また研究成果をいかした経営事業もできます。

「高度専門・技術活動」(「高度専門職1号ロ」)

「技術・人文知識」の高度人材に認められる活動内容です。

注意点がひとつ。お気づきかもしれませんが「技術・人文知識・国際業務」の「国際業務」は含まれません。「高度専門職」のポイント計算には職歴が含まれますが、「国際業務」は外国人特有の感性をいかす活動です。感性はポイントで測ることができませんので「高度専門職」に含まれない、ということです。

そのため「技術・人文知識・国際業務」で働いていた外国人の方が「高度人材」に在留資格を変更する場合、実際は「技術」や「人文知識」ではなく「国際業務」で在留が認められていると「高度専門職」に変更はできません。

また高度技術・専門知識をいかした経営事業もできます。

「高度経営・管理活動」(「高度専門職1号ハ」)

「経営・管理」の高度人材に認められる活動内容です。

「高度専門・技術活動」で活動をしている外国人の方が同じ会社で取締役などの役員になった場合、「高度経営・管理活動」に在留資格を変更しなければいけないでしょうか?

もし「高度専門・技術活動」と同じような活動、高度な技術と専門知識が必要な活動をする場合は在留資格変更許可申請をしなくても大丈夫です。「高度専門・技術活動」でも事業経営の活動はできます。もちろん、在留期間に合わせて「高度経営・管理活動」に変更申請をしても問題ありません。

会社の規模も関係ありません。大企業でなければ申請ができないわけではありません。

「高度専門職」のポイント

ポイントの計算は、学歴・職歴・年収・年齢と各種ボーナスポイントを合計します。70ポイントを超える外国人の方は在留資格「高度専門職」の申請ができます。

たとえば

博士号取得「30」+職歴5年「10」+26歳「15」+年収500万円「15」+日本語能力試験N2「10」=70ポイント以上

になります。

ポイントについて詳しく見ていきます。

学歴

博士号取得で30ポイント、修士取得者で20ポイント、大学またはこれと同等以上の教育を受けたもので10ポイントとなります。
大学と同等以上とは短大を含み、専門学校は含まれません。

職歴

職歴が10年以上で20ポイント、7年以上で15ポイント、5年以上で10ポイント、3年以上で5ポイントです。

年齢と年収

年齢は3つに区分され、29歳以下で15ポイント、34歳以下で10ポイント、39歳以下で5ポイントになります。

収入は年齢によってポイントが変動します。29歳以下なら年収400万円でも10ポイントですが、34歳以下、39歳以下、40歳以上では0ポイントです。年収が1,000万円以上あればどの年齢層でも40ポイントになります。

年収が300万円以下の場合は「高度専門職」の申請ができません。0ポイントではなく申請ができなくなります。0ポイントでも「高度専門職」を申請するためには最低300万円以上の年収が必要です。

ボーナスポイント

日本語能力試験N2、BJT ビジネス日本語能力テスト400点以上で10ポイント、日本語能力試験N1、BJT ビジネス日本語能力テスト480点以上で15ポイントのボーナスがあります。

また卒業した大学によってボーナスがあります。世界大学ランキング上位校、スーパーグローバル大学支援事業を受けている大学、外務省の「パートナー校」の指定を受けているアジアの大学を卒業していないかご確認ください。

ほかにもボーナスポイントはたくさん用意されています。

ポイントが下がったとき

29歳から30歳になるなど在留期間の間にポイントが70ポイントを下回ることがありますが、すぐに在留資格を変更する必要はありません。しかし、ポイントが足りないため「高度専門職」の在留期間更新申請はできませんので在留期間に合わせて「技術・人文知識・国際業務」などほかの在留資格に変更申請をする必要があります。

「高度専門職」のメリット

在留資格「高度専門職」には以下のメリットがあります。

  1. 複合的な活動内容
  2. 在留期間「5年」
  3. 永住要件許可
  4. 配偶者の就労
  5. 親の呼び寄せ
  6. 家事使用人の呼び寄せ
  7. 審査が早い

複合的な活動内容

複合的な活動内容とは「高度専門職」に関する事業であれば経営活動が認められていることです。「経営・管理」や「高度経営・管理活動」の在留資格でなくても会社経営ができます。

在留期間「5年」

「高度専門職」の在留資格は法律で在留期間が「5年」と決められています。そのためほかの在留資格と違い「5年」しか認められません。

永住要件許可

就労ビザでは10年以上日本で活動をする必要がありますが(「留学」5年 + 「技術・人文知識・国際業務」5年以上)、「高度人材」は3年以上日本で活動をすれば「永住」の申請ができます。これは配偶者ビザと同じです。

さらにポイントが80点以上の「高度専門職」の外国人の方は1年で永住申請ができます。

配偶者の就労

「高度専門職」の配偶者は「家族滞在」で日本に滞在する外国人と同じように資格外活動許可を取れば週28時間のアルバイトができます。

また「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」や「興行」の要件をクリアすることでこれらの在留資格と同じように働くことができます。

親の呼び寄せ

日本に住む外国人の方が一番困るのが海外にいる親の呼び寄せです。現在、日本に親を呼び寄せる場合は一定の条件をクリアして「特定活動」の許可を取らなければいけません。

しかし「高度専門職」なら世帯年収が800万円以上であれば親と同居することを条件に日本に呼び寄せることができます。世帯年収ですので「高度専門職」外国人と配偶者の年収を合計して800万円以上あれば大丈夫です。

この年収ですが、通勤手当、扶養手当、住宅手当などは含まれません。また企業が支払った給料だけが認められます。個人で稼いだお金(株の運用など)は含まれません。

家事使用人の呼び寄せ

家事使用人は1名に限り、世帯年収が1,000万円以上あれば日本に呼び寄せることができます。家事使用人に20万円以上の給料を支払わなければいけません。

審査が早い

最近は審査が遅い出入国在留管理局ですが、「高度専門職」の審査は5日以内に結果を出すようにしています。(本当に結果が出るかはわかりませんが)

「永住者」か「高度専門職2号」がいいのか?

「高度専門職」外国人は3年(80ポイント以上は1年)をすぎると「永住者」「高度専門職2号」に在留資格の変更申請ができます。

「高度専門職2号」は在留期間が永住と同じ”無期限”となります。しかし「高度専門職」で認められた活動しかできません。会社を辞めてしまうと「高度専門職」の更新が不許可になります。

「永住者」は活動制限がありません。日本で働く必要も(世帯年収に問題がなければ)ありません。

しかし「永住者」は日本に親を呼び寄せることはできません。親が日本にいる場合、「高度専門職」で呼び寄せた親は帰国をしなければいけなくなります。

「高度専門職2号」と「永住者」のメリット・デメリットをしっかりと考え、在留資格の変更申請をしてください。

JOY行政書士事務所にできること

ハードルの高い「高度専門職」ですが、たくさんのメリットがあります。自身が「高度専門職」に該当していないか、採用する外国人の方が「高度専門職」に該当していないか、在留資格を申請する前にご確認ください。

また、在留資格が「高度専門職」でなくても(「技術・人文知識・国際業務」などでも)、ポイントが70点以上ある場合は「高度専門職」と同じように3年(80点以上なら1年)で永住許可申請ができます。ご自身のポイントを調べてみるのもいいでしょう。

「高度専門職」のポイント計算や申請などにお困りのときは、JOY行政書士事務所までご相談ください。

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