ベトナム人やネパール人の方が増え、外国人といえばコンビニなどでアルバイトをしている留学生をイメージするようになりましたが、一昔前は外国人といえば日系人をイメージする方が多いと思われます。

特に東海地方は自動車産業が盛んで、自動車関連の工場で働かれる日系人がたくさんいます。これは1990年の入管法改正が転機となり、たくさんの日系人が日本で働くことができるようになったためです。そして日系の子から孫、孫の子が日本に滞在しています。

そんな日系人の在留資格「定住者」をみていきます。

在留資格「定住者」とは

在留資格「定住者」は、特別な理由を考慮して日本での居住を認められるべき外国人の方を受け入れるために設けられたものです。「日本人の配偶者等」と同じ身分系の在留資格に該当するため、日本で行う活動に制限はありません。

上記”特別な理由”とは法務大臣が定めているもので、これを”定住告示”といいます。すでに告示されている条件に当てはまる外国人の方は在留資格「定住者」が許可されます。難民や残留孤児も含めて”定住告示”は8号まで設けられています。

しかし告示基準を満たさない、定住告示以外の活動を行わなければならない外国人の方もいます。さらに特別な理由によって日本での居住が認められた「定住者」のことを”告示外定住者”と呼びます。

定住には告示定住と告示外定住の2つのケースを考えなければいけません。

日系人の場合は”告示定住”となります。

日系2世、3世の告示

日系2世、3世は3号に告示されています。

日本人の子として出生した者の実子(第2号又は第8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの

自分の祖父を日本人、祖母をブラジル人と考えます。

父は日本人の子として出生した者です。そのため日本人の子として出生した者=父の実子=私は日系3世としてこの告示に当てはまります。

もし父がブラジルに移住し、のちに日本国籍を離脱しブラジル国籍になった場合、日本の国籍がなくなったため日本に滞在するためには在留資格が必要となります。この場合、父も告示3号に該当しますが、日本人の実子として「日本人の配偶者等」の在留資格にも該当します。

永住許可までの年数を考えると「日本人の配偶者等」のほうがメリットがあります。

しかし実親が日本国籍を有していた間に生まれた子は「日本人の配偶者等」の在留資格になりますが、実親が日本国籍を有していない間に生まれた子は「定住者」の在留資格になりますので注意が必要です。

追加情報

父か母、どちらかが日本国籍を持っている間に生まれた子は日本国籍を持ちますが、アメリカなど出生地主義の外国で生まれたときは二重国籍になってしまいます。日本は二重国籍を認めていませんので(罰則はありませんが)、外国で生まれたときは”国籍留保”の届出をしなければいけません。出生届と国籍留保の届出を忘れると、生まれたときにさかのぼって日本国籍を喪失します。

日本国籍を喪失した子どもは、親が日本人であっても外国籍(外国人)と同じ処遇になります。日本に来るときは「日本人の配偶者等」の在留資格が必要です。ただ、18歳までであれば帰化申請が簡単にできますのでご安心ください。

両親が日本国籍を離脱して外国籍になったあとに生まれた子どもは、祖父母が日本人ですので「定住者」の在留資格で日本に滞在できます。

それが次の日系3世の告示4号です。

日系3世の告示

日系3世の告示がもうひとつあります。それが4号です。

日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(第3号又は第8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの

実子の実子とは孫にあたります。実子ですので血縁がなければいけません。日系1世(申請人にとっての祖父母)の子ども(申請人にとっての親)日本国籍を離脱した後に生まれた実子の実子=孫(日系3世)が該当します。

日系4世は「定住者」か「特定活動」か

日系3世の子、日系4世は厳しい審査基準となります。告示6号ハ、

第3号、第4号又は前号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの

審査基準に実親の在留期限が指定され、また扶養を受けている未成年者で未婚の実子が設けられています。日系4世には就労制限があるのです。もし日系4世の方が日本で働く場合には在留資格を変更しなければいけません。しかし「定住者」は活動制限のない在留資格ですが、日本で働くために活動制限がある就労系の在留資格に変更しなければいけません。

上記の問題をクリアするためか、日本政府は日系4世の方の来日を促すために自由に就労ができる「特定活動」を新しく作りました。

  • 本国で犯罪歴がない
  • 基本的な日本語がわかる
  • 就労できる見込みがあるなど入国後の生計が維持できる
  • 帰国旅費が確保されている
  • 医療保険に加入している

などの条件をクリアした日系4世に限り、「特定活動」の在留資格が許可されます。「特定活動」では就労の制限はありません。しかし最長5年の許可で、1年ごとの更新が必要です。また日本でサポートを受けなければならず、サポートをする個人・団体は報告義務が課せられます。

この「特定活動」で来日する日系4世は大変少ないようです。すでに日本に生活基盤がある日系4世は親の帰化に合わせて自分も帰化を選ぶか、親の永住許可を待って在留資格を変更したほうがいいかもしれません。

JOY行政書士事務所にできること

日系2世、3世、4世の在留資格についてまとめました。結婚とは違い実子としての証明が必要とはなりますが、さほど申請が難しい在留資格ではないかもしれません。

しかしすべての告示で”素行が善良であるもの”とわざわざ書かれています。日本人の実子が変わることはありませんが、素行が善良とは交通ルールなど小さな法律も守ることを意味します。

納税・課税もしっかりと守り、「定住者」の在留資格を申請してください。

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