外国人美容師育成事業は、日本の美容製品の輸出促進や、インバウンド需要に対応するため、日本の美容師養成施設を卒業して美容師免許を取得した外国人留学生に対し、一定の要件の下、美容師としての就労を目的とする在留を認め、日本式の美容に関する技術や文化を世界へ発信する担い手を育成する事業です。

国家戦略特区HPより

令和3年7月30日、外国人の方が日本で美容師として働くことができる”外国人美容師育成事業”が発表されました。

外国人留学生は美容専門学校を卒業しても今までは対応する在留資格がなかったために美容院で働くことができませんでした。

しかし新しい「特定活動」ができますので今後は美容師として日本で働くことができるようになります。

では、どのような手続きをすれば日本で美容師として働くことができるのでしょうか?

美容師ビザまでの手続きの流れ

  1. 採用内定

    美容師試験に合格した外国人留学生は、育成機関に登録された美容院に採用をされる必要があります。

  2. 育成計画の作成・申請

    外国人美容師を採用する美容院は、地方自治体の認可を受けた管理実施機関育成計画の申請をします。

  3. 育成計画の送付

    管理実施機関は、地方自治体に育成計画について意見をつけて送付します。
    問題がなければ地方自治体から育成計画の認定を受けます。

  4. 在留資格変更許可申請

    外国人留学生の在留資格を美容師ための「特定活動」に変更します。
    申請は出入国在留管理局にします。

  5. 習得状況の評価

    管理実施機関は育成計画が順調に進んでいるか評価をします。
    ここで行った評価は、地方自治体に報告します。
    習得状況に問題があるときは、地方自治体は育成計画を停止させます。

以上が美容師ビザの手続きの流れです。

美容師ビザのキーワード解説

外国人美容師

美容師ビザの許可を取って美容師として働くためにはいくつかの条件をクリアしなければいけません。

  • 美容専門学校を優秀な成績で卒業した留学生
  • 美容師免許の取得(取得見込)
  • 日本語能力試験N2以上
  • 年齢が18歳以上
  • 日本式の美容の技術・文化を世界に発信する意思

美容師免許を取らなければ美容師として働くことはできませんので免許は絶対に必要です。

美容師免許よりも日本語能力N2のほうが難しいかもしれません。

最も重要な点は美容師ビザは世界に日本式の美容を発信する目的で作られました。そのため在留期間は最長5年しかありません。

5年間しか美容師として日本で働くことができませんのでご注意ください。

育成機関

育成機関とは外国人美容師が働く美容院のことをいいます。修行場所です。
法律的には美容師法に定められた”美容所”になります。

そのため外国人美容師は理容法で定められた理容院(散髪屋)で働くことはできません。あくまで美容師、美容院(美容所)で働くための在留資格です。

育成機関になる条件
  • 管理者がいる
  • 健全で安定的な経済状況
  • 法令を遵守している
  • 欠格要件に該当していない
  • 外国人美容師は3名以内
  • 日本人従業員と同等以上の給与で雇用する

管理実施機関

管理実施機関は以下の条件をクリアして地方自治体から認可を受けなければいけません。

  • 事務遂行のための人数などが確保されている
  • 健全に行うため財産的な基礎がある
  • 無料職業紹介の許可、または届出を行っている
  • 営利を目的としていない日本の法人
  • 外国人美容師や育成機関の苦情、相談を受ける窓口があって適切に対応できる体制が整っている

管理実施期間は育成計画の管理、外国人美容師の習得状況の評価をします。そのため事務遂行のための人数が確保されている説明として事業計画書、評価手法などを提出します。

また外国人美容師と育成機関をつなげるため、無料職業紹介所の許可か届出が必要となります。

外国人美容師ができる業務と育成計画

外国人美容師ができる業務

  1. シャンプー
  2. カット
  3. トリートメント
  4. ブロー
  5. セット、アイロン
  6. カラー
  7. パーマ、縮毛矯正
  8. ヘッドスパ
  9. まつ毛エクステンション
  10. ネイル
  11. エステティック
  12. 着物着付け
  13. メイク
  14. 洋装ブライダル
  15. 出張美容
  16. 美容所の経営管理など

育成計画の必要事項

  1. 育成期間(最長5年)
  2. 外国人美容師の住居の確保
  3. 外国人美容師が一時帰国をするための休暇の取り決め
  4. 生活指導を行うものの任命、管理美容師について
  5. 報酬、社会保険への加入などを担保する財政的基盤
  6. 外国人美容師との面談、相談への対応
  7. 美容師としての活動ができなくなったときの対応
  8. 在留資格、美容師ビザで認められていない活動をさせないことの誓約書

育成機関となる美容院は以上の必要事項を記載した育成計画を作成し、コピーは外国人美容師に交付しなければいけません。

育成計画は管理団体の意見書を添付して地方自治体に提出します。

地方自治体は以下の条件をクリアした育成計画を認定します。

育成計画の条件

  • 実践的な美容に関する技術、知識の向上が認められる
  • 技術が必要ない業務、反復することで取得できる技術でないこと
  • 習得状況の評価、評価の実施体制と方法、実施項目が適切である

地方自治体が認めた育成計画は管理実施機関を通して育成機関の美容院と外国人美容師に伝えられます。

美容師ビザのQ&A

Q
外国人美容師は何年働くことができますか?
A

最長5年間です。5年が過ぎる前に帰国をしなければいけません。
育成計画も5年以内で作成をします。

Q
育成機関として義務はありますか?
A

育成期間は外国人美容師の習熟度を確認し、適切な指導をしなければいけません。
適切な指導を行っていたのか確認をするため、業務日誌を記載し、外国人美容師が退職してから1年間は保存します。

Q
育成計画は全員同じでも大丈夫ですか?
A

美容院は最大3名まで外国人美容師を雇用できます。
しかし個人によって技術レベルは違いますので、ひとりひとり別々の育成計画が必要です。

Q
習熟度が想定と違いました。育成計画を変更することはできますか?
A

育成計画は変更可能です。
育成計画を変更したときは管理実施機関を通して速やかに地方自治体の承認を受けなければいけません。

Q
習得状況の評価はどうのようにしますか?
A

管理実施機関は少なくとも1年に1回、外国人美容師の習得状況を評価し、地方自治体に報告します。育成計画に1年ごとの習得目標を記載しますので、そちらに沿って評価を行います。

Q
外国人美容師と毎年面談をしなければいけませんか?
A

管理実施機関は習得状況の評価とは別に必要と認めるときは外国人美容師と面談をし、地方自治体に報告をします。
ただし最初の1年は半年に1回必ず面接をしなければいけません。

Q
外国人美容師が帰国をします。旅費を負担しなければいけませんか?
A

外国人美容師が帰国の旅費を支払えないときは育成機関が負担をします。
育成機関も負担ができないときは管理実施機関が負担をします。

Q
育成機関の美容院が倒産をしました。どうすればいいですか?
A

外国人美容師に責任がないときは、管理実施機関が新しい育成機関を探すなど努力します。

美容師ビザのまとめ

美容専門学校を卒業する外国人留学生が美容師として働くことができるようになりました。美容院もインバウンド需要を見越して外国人美容師の雇用を考えているかもしれません。

しかし手続きは簡単ではありません。

外国人留学生は美容師免許を取り、日本語能力試験N2に合格し、就職先である美容院を探さなければいけません。

外国人美容師を雇用したい美容院は育成計画を作成し、管理実施機関のチェックを受け、日々の業務日誌も作成します。

これは大変なご負担になることかと思います。

外国人美容師として働生きたい方、外国人美容師の雇用を考えている方、少しでもご負担を減らしたいときはJOY行政書士事務所までお問い合わせください。

外国人の方が在留資格で困ることがないように、JOY行政書士事務所は美容師ビザの申請をサポートしています。